上 下
146 / 694
第2章 魔ノ国の調査隊

第222話 まだまだ強敵は存在するんだよぉぉ!

しおりを挟む
アレクから渡された親書を真剣な顔で読み進めるラヴァーナ。そして、読み終わると静かにジキタリスへと親書を渡す。ジキタリスは、その親書を受け取って読み進めていく。

「ジキタリス、どう思う?」

アレクは、親書の中身を一切知らないので、どのような内容が書かれているのかわからないのだ。

「そうですね。かなりご決断のお早い方という印象ですね。それに、裏表がない方で良い王だと窺えます」

中に書かれていたのは、会談をもってもらえるなら、すぐにでも魔ノ国へ赴きたいということと仲良くすることは願ってもない。寧ろお願いしたいくらいだということが書かれていた。だが、王国は魔ノ国に比べて小国故、魔ノ国からすると魅力がない現状だとも素直に話しているのだ。

「帝国のクソ皇帝と違っていい王だな。妾は、すぐにでも会談を開き平和条約を結ぶ手筈を整えるつもりだ。ジキタリスは、どう思う?」

「よいかと思います。小国ではありますが、今回派遣された使節団だけでも国家を壊滅するだけの力を有しております。ですので、平和条約を結ぶべきかと愚考します」

アレクは、自分が聞いていていいのかと思ってしまうのだ。本当にラヴァーナも裏表がない王だなと思うのであった。

「アレクよ。すまないが、また親書を届けては貰えないか?」

「はい!構いませんよ。それにしても、帝国とはそれ程に酷い国なのですか?」

帝国の情報が一切入ってこない王国からすると聞いていて損はないと思い尋ねる。

「そうであるな。狡猾で民を無下に扱い武力で全てを解決しようとするやつだ。魔ノ国の村や街も幾度となく襲われておる」

ここで疑問に思うアレク。ラヴァーナと四天王がいれば戦争に勝てるのではと思ったのだ。

「壊滅してしまえばいいのではないですか?」

それを聞いたラヴァーナとジキタリスは難しい顔をする。

「そうしたいのは山々なのだが...帝国にいる将軍は、妾以上に強いのだ。その所為で小競り合いが続いておるのが現状だ」

帝国からしても、ラヴァーナと四天王が攻めてくれば、大損害を被ってしまう。しかし、魔ノ国としても将軍が出てくると命の危険さえあるので、両方が迂闊に手を出せない状況にいるのだ。

「えっ?ラヴァーナ様より強いって...まさか転生者?」

思わず転生者だと声に出してしまうアレク。

「転生者ではないはずだ。純粋に強い!妾が空間魔法で異次元に閉じ込めようとも無理矢理こじ開けて出てくるのである。更に力もマクガリアス以上なのだ。防御力もジン以上である」

なに?その化け物みたいな存在はとアレクは思ってしまう。本当は、人間ではなく悪魔か何かではないかと。

「それは...反則ですね...」

アレクは、他に言葉を思い付かないのだった。

「反則級の化け物であるな。ウズベル王国も気をつけよ。最近帝国は領土を広げようとしておると密偵から報告を受けたのでな」

いやいや、もう当分殺し合いは満足しているから、そんな化け物来てほしくないんだよと思うアレクであった。

「そんなの来てほしくないですよ。当分は魔ノ国で引き受けて下さいね」

「フフッ、そんなことを平気で言えるのはアレクだけであるぞ。その辺りは、ウズベル王にも話そうと思っておる。だが、もしもの時はアレクも大事な人を守れるよう準備しておくのだぞ」

ラヴァーナは、国の為ではなく家族や大事な人を守れるようにしておくようにと伝えるのだった。

「そうですね。帝国関連以外にも危険はありますから、日々の鍛錬と準備はしておきます。それから、親書はいつ出来上がりそうですか?それに合わせて取りに来ようかと」

ゼロやその仲間が生きている以上、油断出来ないと思うアレクだった。

「あと2回鐘がなる頃には準備しよう。それまで待っていてはくれないか?」

「わかりました。リリスちゃんとウァラクくんと一緒に待っていますね」

二人にお願いされたので、戦い方を教えに行こうと考えたのである。

「おぉ~それはよいな。二人も喜ぶであろう。ジキタリス、アレクを案内してやるのだ」

ラヴァーナが嬉しそうな顔をしながら答える。母としてリリスとウァラクが強くなるのは嬉しいことなのだろう。

「畏まりました。では、タカハシ伯爵参りましょうか」

「はい。案内をよろしくお願いします」

そう言って、リリスとウァラクとアギケがいる場所に向かうのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。