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第2章 魔ノ国の調査隊

第215話 別れの挨拶とジンからのプレゼント!

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あれから時間は進み王国へ帰る日を迎えた。
今は、ワイバーンのいる大きな敷地内で別れの挨拶をしているところだ。ちなみに何故この場所かというとドリガンのところに、馬を預けたままになっているからワイバーンで運んで貰う為である。

「別れがこんな寂しく感じたのは初めてであるな。またいつでも遊びに来い」

ラヴァーナが別れを惜しむような悲しい顔をする。後ろでは、リリスとウァラクも悲しい顔をして見ている。

「私こそ寂しく感じます。ですが、陛下のお返事を近々持って参りますので、またすぐにお会いすると思いますよ」

「あ!そうであったな。ウズベル王にはよろしく伝えてくれ。それからリリスとウァラクも話したいことがあるそうだ。聞いてやってはくれないか?」

「構いませんよ。リリスちゃん、ウァラクくんどうしたの?」

「アレク様、私とお兄様に戦い方を教えて下さい!」

「僕からもお願いします」

二人は頭を下げてお願いをしてくる。

「え?俺なんかでいいの?四天王がいるしラヴァーナ様だっているじゃないか」

こんな恵まれた環境で二人は何を言ってるんだと思うアレク。

「アレク様の戦いを見て、憧れを持っちゃったんです。それに、歳が近いから聞きやすいなと思いまして。だめでしょうか?」

「アレクさん、だめかな?」

二人は、目をウルウルさせながら尋ねてくる。

「ラヴァーナ様がいいと言うならと、毎日は来れないから来た時でいいなら教えるよ。大丈夫かな?」

「はい!お母様の許可は頂いています。それと来てくれた時で大丈夫です。あと、病気だったので学校も来年からで、お友達いないのでお友達になってくれませんか?」

「僕も友達になりたいな」

アレクからしても歳の近い友達は嬉しいので願ってもないことだった。

「友達になろう!これからもよろしくな」

「はい」 「うん」

二人は、満面の笑みを浮かべて喜ぶのだった。横ではラヴァーナが「よかったわね」と二人の頭を撫でるのだった。

「アレク少年、俺もいいか?」

後ろから竜人のジンが話しかけてくる。

「えっ!?あ!はい!なんでしょうか?」

急に後ろから声をかけられて驚くアレク。どうやら話が終わるのを待っていたようだ。

「俺に勝ったアレク少年に渡したかったんだ。受け取ってくれ」

「え?これってまさか!?ジンさんの鱗ですか?」

袋いっぱいにジンの鱗が入っていたのだ。まさかの贈り物に驚くアレク。

「いつか俺に勝つやつが現れた時に渡そうと溜め込んでいた。これで、防具を作るといい」

竜人は、数年に一度脱皮をする。その際に、鱗が取れるのだが、強度が一番高そうな物をジンは溜めておいて、自分より強い者に渡そうと決めていたのだ。

「本当に貰っていいのですか?」

「あぁ、次はその防具を着けたアレク少年と戦いたい。いいか?」

「もちろんです。よろしくお願いします」

それを聞いたジンは、納得したように去って行くのであった。アレクは、こんな強度の鱗からおやっさんがどんな防具を作ってくれるのか楽しみで仕方ないという表情を見せる。

「妾とも一戦交えてもらわねばな。期待しておるぞ」

サラッと後ろからとんでもない人物がとんでもない発言をしてくる。

「えっ...あ!用事を思い出しました。では、また来ますね」

そう言ってノックス達がいる方に走っていくのだった。

「フフッ、逃げられちゃったわ。代わりにウァラク、付き合いなさい」

「えぇぇぇぇ、お母様ぁぁぁぁ。死んじゃいます~」

アレクが逃げたことによって、ウァラクに皺寄せがきてしまったのだ。ウァラクは、頭を抱えてこれから始まるだろう地獄の稽古に阿鼻叫喚するのだった。





それから、ノックス達もそれぞれの別れをし終わり、またワイバーンでドルチェの下に向かうのだった。

「ガリル隊長、またよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願い致します。では、そろそろ騎乗して下さい」

アレク達は、ワイバーンの背に乗る。そして、舞い上がっていくのだが、下ではワァァァと聞こえたり別れを惜しむ声が聞こえる。

「ありがとうございました。また来ますね~」

聞こえるかわからないが、アレクは魔ノ国に感謝して別れを告げる。
そして、ワイバーンの背中に乗ってドルチェの下へ向かうのであった。
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