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第2章 魔ノ国の調査隊

第210話 え?料理長も?アレクと同じだった!?

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アレクとヤトが店に入ろうとすると入り口に誰か立っていたのだ。

「ヤト様、お久しぶりでございます。そちらが、タカハシ伯爵様でしょうか?」

その人物は、きっちりとした正装で綺麗な挨拶をするのであった。

「はい!こちらがタカハシ伯爵様でございます」

「お初にお目にかかります。この店の支配人をさせて頂いております。カルチェと申します。以後お見知り置きを」

流石は、支配人という感じで挨拶をしてくるのと、どこか気品溢れる人物なのだ。

「こちらこそよろしくお願いします。アレク・フォン・タカハシと申します」

セバスに習った慣れない動きで挨拶をするアレク。

「これはご丁寧にありがとうございます。では、店内で料理長がお待ちです。こちらにいらしてください」

そう言うと裏口へ向かうカルチェ。まだ開店前なので正面からは入ることが出来ないのである。

「大変申し訳ございませんが、こちらからお入り下さい」

裏口も綺麗に掃除がされていて、いい店なのが窺える。
裏口から店内に入ると、開店前にも関わらず掃除が行き届いており、店内で働く人もキビキビ動いているのだ。その人達に指示を出しているのが、大柄で立派な1本の角が生えた魔族であった。

「料理長~お客様をお連れしました」

「おっ!来たな!よっしゃ!早速作ってやるから待ってろ」

そう言ってろくに挨拶もなく料理長は厨房へ向かうのであった。

「挨拶もなく申し訳ございません。今日は、魔王様が認めた方に料理を振る舞うことだけを考えていたものですから」

カルチェが頭を下げて謝ってくる。

「構いませんよ。王城以外の魔ノ国の料理気になりますし、わざわざ振る舞いたいと思ってくれる気持ちが嬉しいですからね」

アレクが、全然気にしていないと答えるとカルチェは、一安心したように胸をなでおろす。

「そう言って頂けてありがとうございます。とりあえずこちらの席にお座り下さい」

目の前にあるテーブルに案内されたのだが、綺麗なテーブルクロスが敷かれており、綺麗な花まで生けられておしゃれな感じである。

「細かいところまで行き届いているいい雰囲気のお店ですね」

マンテ爺を膝の上に乗せて頭を撫でながら言うアレク。

「そう言って頂けると、料理長も喜ぶと思います。前職を早く退任して料理の道を歩みたいとおっしゃっておりましたので」

それを聞いて前職は、何をしていたんだろうなとアレクが考えていると料理長とウェイトレスらしき人が料理を運んでやってきた。

「待たせたな!俺が愛して止まない大和料理だ。馴染みはないだろうが味は保証するから食ってくれ」

アレクは、その並べられた料理を見て目を丸くする。何故かと言うと、味噌汁と焼き魚とご飯と漬物とだし巻き卵がそこにあったからだ。

「え?味噌汁に焼き魚にご飯に漬物にだし巻き...」

「なんだ?知ってるのか?もしかして、大和ノ国に行った感じか?」

料理長は、少し残念そうな顔をしながら問いかけてくる。

「いやなんと言ったらいいか...村の人に聞いたんです。こんな料理があるよと」

「そうなのか。もう食ったあとかと思ったぞ。じゃまぁ、冷めないうちに早速食ってみてくれ」

「はい!頂きます」

転生者だとは言えないアレクは、なんとか誤魔化す。しかし、それよりも目の前の料理に釘付けになってしまったのだ。

そして、なんと箸まで用意されていたのだ。フォークもあったが、迷わず箸を手に取るアレク。

「うっま~い!はぁぁぁ、味噌汁なんて何年振りだろう?それに、白米うま~い!これだよこれ!この噛む度に甘みが口に広がるこの感じ...ってあ!これはですね...違うんです」

夢中になって日本食を楽しんでいたアレクは、つい要らないことを口走ってしまう。そして、それを聞いていた全員が一斉にアレクの方を向いていたのだ。マンテ爺は、なんとなく理解しているのでやれやれという顔をする。

「どういうことだ?さっきは聞いただけって言って...ちょっとこっちこい」

料理長は、アレクの腕を引っ張って店の隅に連れて行く。

「もしかして、転生者か転移者か?」

それを聞いたアレクは、え?っと驚く。そして、暫く沈黙が続いたあとにアレクが口を開く。

「転生者です。一応秘密にしているので内緒にしてくれませんか?」

すると料理長は、大笑いをする。

「ブッハハハハ、安心しろ!俺も転生者だ。秘密にしといてやるよ」

「え!?えぇぇぇぇ」

アレクは、大声を出して驚くのであった。

「ブッハハハハ、驚いたか?その話はあとでしてやるから、とりあえずは料理を食え」

料理長がアレクの背中をバンッと叩いて席に戻るぞと合図を送る。
アレクも、ここでする話ではないなと思い、とりあえずは落ち着こうと席に戻るのであった。

その後は、転生者のことは一度忘れようと決めて、大和料理を大満足するまで食べるのであった。
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