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第2章 魔ノ国の調査隊

第206話 追い込まれるセリッジ達と力こそ全ての魔ノ国!

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扉の向こうには、呼び出された魔族側の貴族とノックスとオレールが赤い絨毯を目印にしたように左右へ分かれる形で立っていた。アレクが入ると、忌々しい者を見るような目で魔族側の貴族が見てくる。
アレクは、そんなものどこ吹く風と言わんばかりに無視をしてノックスとオレールの下に向かう。

「魔王様入場~」

アレクが着くのを待っていたかのように列に並んだ瞬間、ジキタリスが魔王を呼ぶ。
入場の合図を受けたラヴァーナは、袖口から現れて玉座の間に腰掛ける。すると、魔王側の貴族達が一斉に片膝を突く。それを見たアレク達も遅れて片膝を突くのであった。

「皆の者、堅苦しい挨拶は不要である。楽にせよ!」

「ハッ!」

それを聞いた魔族側の貴族達は、立ち上がるのであった。それを見てまたまた遅れながらも立ち上がるアレク達。

「セリッジ侯爵!代表して聞くが、何故呼ばれたのかわかるか?」

わざと威圧を込めた言葉にたじろぐセリッジ。

「い、いえ...見当も付きません。申し訳ございません」

アレク達は、あれがセリッジなのかと思うのであった。
ちなみに、パスクとは似ても似つかない顔立ちなのだ。見るからに陰険そうな顔をしている。唯一似ているのが頭の角くらいである。

「そうかそうか!見当も付かんか...お前は、妾を馬鹿にしておるのかぁぁぁ!この魔ノ国の恥晒しがぁぁぁ」

怒りのオーラが見えるのではないかというほどにセリッジと他の貴族達に先程よりも強く威圧するラヴァーナ。
その威圧に耐えきれなかったセリッジや貴族達は、尻餅を突いて冷や汗を滝のように流して立てなくなる。

「魔王様、ど、どういうことでしょうか?」

セリッジは、この状況下でもまだ白を切るつもりのようだ。

「この期に及んでまだしらばくれると言うのか!もうよい!ジキタリス、すべて伝えてやるのだ」

ラヴァーナは、怒っているが威圧すら出すことはなかった。

「ハッ!貴方方が、魔王様を嵌めようとしたことは知っております。こちらをご覧下さい」

そう言ったジキタリスは、あるものを取り出して起動させる。すると、セリッジと他の貴族が大笑いをしながらラヴァーナを嵌めようとした計画やセリッジ達がこの国を支配するなどと話し合っている映像であった。

「まだ言い逃れを致しますか?それと、もう一つ...スペイビズ様とパスクワーレ様、ご登場して下さい」

間髪入れずにセリッジ達を追い込もうとするジキタリス。
そして、アレク達が入ってきた扉が開き、二人が入場してくる。それを見たセリッジは、驚きの顔をして目と口が開き切ってしまっているのだった。何故、この場にいるのかと。

「妾は悲しいぞ。力が全てな魔ノ国だが、やり方が汚過ぎる。二人や家族を嵌めたことも知っておる。どうだ?まだ言い逃れをするのか?呆けてないで答えよ!貴様ら」

また威圧を放って脅すラヴァーナに対してセリッジ達は、動くことすらできないのだ。
それを見たラヴァーナは、玉座の間から立ち上がってセリッジ達に近付いて、セリッジに一発顔面へと拳を叩き込む。セリッジは、自分達が入ってきた扉まで吹き飛ばされて扉にぶつかり、そのまま廊下まで投げ出される形となった。

アレク達は、急なことに驚きを隠せないが、ラヴァーナは悲しみと怒りに苛まれていたのだろうと感じるのであった。

「お前達は、全て話してくれるな?どうなのだ?」

貴族達に向かって拳を振り上げたラヴァーナは、鉄槌を受けたくなければ素直に答えろと言う。

「は、はいぃぃぃぃ!す、全てお話させて頂きますぅぅぅ」

一人の貴族が、土下座のような格好をして許しを乞う。それに続いて他の貴族も土下座をするのであった。

「ジキタリス、こいつらを連れていけ!もし、逆らうようならジキタリスの好きなようにして構わない。頼んだぞ」

「ハッ!魔王様お任せ下さい。二度と逆らいたくないと思うように致しますので。では、行きましょうか」

ジキタリスは、貴族達を連れて出ていくのであった。そして、セリッジはというと廊下で完全に気絶していたのだ。ラヴァーナは、その場に向かい、首根を掴んで中まで引きずってきて、中央へと投げる。

「セリッジ!気絶などしていないことは知っておる!早く立ち上がらんか!起きんようだな...また殴られたいのか?」

「ハッ!申し訳ございません。魔王様」

すぐに直立不動になるセリッジ。最初から素直に認めればいいのになと思うアレク達であった。

「セリッジ、一つ提案がある。魔ノ国は力こそが全てだ。そこで、パスクワーレに勝てたら全てなかったことにしてやろう。もし負けたら全てをなくし一生牢の中で過ごしてもらう。どうであろう?」

「そ、それは!?本当ですか?パスクワーレに勝てばなかったことにしてもらえるのですか?」

必死な顔をして、訴えかけるセリッジ。

「本当である。魔王アナベル・リー・ラヴァーナの名に誓おう。パスクワーレも、それで構わないな」

「はい!大丈夫です!」

パスクは、睨むではなく怒りをあらわにするでもなく、セリッジを見る。

「では、早速闘技場に向かうとしようか」

そしてラヴァーナは、その光景を楽しむかのように微笑みながら闘技場へ向かうのであった。
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