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第2章 魔ノ国の調査隊

第203話 試合後のひとときとやっとの謁見!

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アレク達は、ラヴァーナが用意してくれた部屋で飲み物や食べ物を食していた。どうやら英気を養ってくれということらしい。

「先に始めているようだな。これがノックスの勝ち金だ。さぁ、開けてみてくれ!」

袋いっぱいに詰まった金を持って現れたのは、ホクホク顔のスペイビズだった。
そして、ノックスに対して敬語を使わなくなった辺りをみると、相当仲良くなったのだろう。

「おいおい...全部白金貨か?少ないと思ったが、そういうことだったんだな。それにしても、こっちの貴族は明日から大丈夫なのか?俺達、相当恨まれそうだが...」

魔族の貴族も平民も、四天王が勝つと予想しており、大金を賭けていたのだ。それがまさかの4連敗という最悪な結末を迎えてしまったのである。

「恨まれることはないでだろう。魔ノ国は力こそが全てなのだ。だが、バカは少なからずいるから気をつける必要はある。特にうちのバカ息子とかな。あの闘技場にも来ていたが、悔しい顔をして部下に当たり散らしていたぞ。本当にどうしようもないやつだ」

パスクの兄が、来ていたようだが大負けして荒れていたようだ。スペイビズは、自分の息子だから悲しそうな顔をして話す。

「やっぱり変身薬を使っていてよかったよ。それにしても、パスクとは正反対の性格なんだね」

アレクが、呟くように答える。この時、何故かヨウスのことが頭を過ぎったのだ。理由は、うまく行かない兄弟を重ね合わせたのであろう。

「あの人は、野心家ですね。常に蹴落として自分が上に立つことしか考えていませんから。その所為で、私達家族は奴隷にされてしまったのですがね。自分自身にも同じ兄弟としても恥ずかしいばかりです」

パスクは、あの時策略に嵌らずに打破できていればと自分自身を恥じていたのだ。そして、身内として兄の行動を恥ずかしい行為であると悲しんでいるのであった。

「なんだか聞いてはいけないことを聞いてしまったな。すまない」

ラヴァーナとジキタリスが、部屋に入ってくる。どうやら部屋の前に来た時に、話が聞こえてしまったようである。

「構いませんよ。それより、わざわざどうしたのですか?」

全て聞かれたとしても、ラヴァーナと約束の会談をした時に、全て話すので問題ないと思っているのだ。

「全勝を祝いにきたのだ。まさか全て勝つと思っておらず焦ったぞ。それと、アレクとの謁見をしにきた。ジキタリスがいることは、申し訳ないが一対一とはなかなか難しいのだ」

魔王暗殺の可能性を考慮すると一対一は難しいようである。
しかし、大勢ではなくジキタリス一人であるなら、かなり融通してくれたのだとアレクは思うのであった。

「では、こちらも話に不可欠なこの二人を同行させても構いませんか?」

「わざわざ一対一を望む時点で大事な話であるのは明白。二人の同行は構わないぞ」

スペイビズとパスクの同行が認められて一安心するアレクであった。

「では、移動しましょう。案内致しますのでついてきて下さい」

ジキタリスが、アレク達を案内するようだ。

「わかりました。師匠、オレールさん行ってきます」

「おう!俺達は、ここで飯でも食いながら待っているぞ」

「私も、ノックスと一緒に待っていますね」

それを聞いたアレクは、「はい」と答えて部屋を後にするのであった。
その後は、ジキタリスについていき、闘技場内にある部屋に着いたのだが、かなり分厚い扉で物々しい雰囲気を醸し出しているのである。

「こちらになります。お入り下さい」

ギィーと音を立てて開けられた扉の向こうは、ソファーとテーブルが置かれているだけの部屋であった。

「遮音結界と侵入者防止の結界を張ったから安心せよ。まずは、座ろうではないか」

アレク達は、言われた通りにソファーに座る。すると、ジキタリスがコーヒーを入れて持ってきてくれたのだ。

「ジキタリスさん、ありがとうございます。美味しいです」

アレクは、コーヒー好きなので、受け取ってすぐに飲む。

「そう言って頂けて何よりです」

ジキタリスは、座ることなくラヴァーナが座る後ろに立って控えるような形を取るのであった。

「改めて、親善試合見事であった。それと、四天王との戦いどうであった?」

「強かったです。広範囲殲滅魔法まで使うことになりましたから。しかも、腕輪のお陰で勝ちましたが、広範囲殲滅魔法を耐えられたことに驚きました」

アレクは、跡形もなく消し去るつもりが、相手は倒れることなく立っていたのだ。そのことに悔しさと四天王の強さを垣間見たのであった。

「フフッ、アレクはおもしろい。あれより完璧な勝ちを求めておるとは、どこまで貪欲なのだ。にしても、あの魔法を魔ノ国で放つのはやめてくれ。崩壊してしまうのでな」

「そんなことしませんよ!あの時は、ジンさんが強すぎた為の苦肉の策だったんですから。それより、本題に入りませんか?」

困ったなというような顔をするアレク。ラヴァーナは、それを笑いながら聞いているのであった。

「フフッ。そうであるな。では、話してみよ」

大事な話をしないといけないので、アレクは深呼吸をしてから真剣な顔でラヴァーナを見るのであった。
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