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第2章 魔ノ国の調査隊

第201話 アレクvsジン!硬すぎる鱗!

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「次は、誰が行きますか?」

「アレク坊、行って来い。どうやら俺はマクガリアスともう一回やる必要があるらしいからな」

立ち上がったのは、別の人物でマクガリアスは、ジッとノックスを見つめている。どうやら、再戦をしたいようだ。

「わかりました。俺が行きます」

「アレク、負けるなよ!絶対に勝ってこい」

ノックスは、アレクにエールを送って送り出すのであった。

「次の選手は、前へ出てきて下さい」

アレクと槍を持った竜人がリングに上がったのだ。

「俺は、竜人のジンだ。よろしく頼む。少年だからといって手加減するつもりはない」

ねずみ男が名乗るように言う前に、ジンは先に名前を名乗る。見た目は、竜の頭に全身鱗で覆われて竜の尻尾がある2mくらいの人物なのだ。

「俺は、アレクと言います。よろしくお願いします。こちらこそ望むところです」

そう言ってアレクは、ガントレットをはめて魔力を流し込む。ちなみにマンテ爺は、マンティコア達に色々教えているので、この場にはいないのだ。

「久しぶりだな。ご主人様よ。またまた俺の力が必要になったのか?」

「うん。力を貸してくれる?」

「任せろよ。俺はご主人様の相棒だぜ。いつどんな時も力になってやるよ」

魔力を流し込むといつもの調子で話し始めるガントレット。しかも、いつの間にか相棒にされていたのである。
そして両者は、腕輪をはめる。

「これは、またおもしろい物が出てきましたぁぁぁ。なんとガントレットが喋ったのです。今回もなんだが、おもしろい戦いが見られそうな気がしてきましたぁぁ。では、両者指定の位置についておりますので、試合始め!」

ねずみ男の合図と共に、アレクとジンが走り出す。
ジンは、槍を高速でアレク目掛けて何度も刺してくる。それを、間一髪のとこで躱し続けるアレク。

「これは、何という速さ!私には何が起こっているのか全くと言っていいほどわかりません。だがぁぁぁしか~し、アレク選手は全て躱しているのです。人族の少年に、こんなことが出来ると誰が予想したでしょうか!」

アレクも、ただ避けているわけではなくタイミングを見計らっていたのだ。

「ガントレット行くよ」

そして、突くタイミングに合わせてガントレットで殴るアレク。その瞬間、槍は弾き返されてジンは少しよろめく。

「ガントレットそこだぁぁ」

「ブーストマックス」

ジンの腹に目掛けてアレクの拳が突き刺さる。そして、ドゴーンと凄い音が闘技場に響き渡る。しかし、ジンは吹き飛ぶどころか一歩も動かないのだ。

「全魔力消費!休眠開始」

ガントレットは、魔力を使い果たして灰色に戻るのであった。

「え?もしかしてダメージなし?」

「いいパンチだが、俺の鱗を貫くことは出来ない」

ノックスの大剣を折って吹き飛ばしたパンチをノーガードで受け止めて一切のダメージがないのである。

「音からして凄まじい攻撃だったのでしょうが、ジン選手は一切顔色が変わる様子がありません。流石、竜の血を引く男です」

「えっ?ちょっと!マジ!?うわぁぁぁ」

殴ったまままだ距離が取れていないにも関わらず、ジンはアレク目掛けて口から竜の息吹を放ったのだ。アレクは、避ける暇もなくまともに竜の息吹を食らう。身長差があるので、下に向けられた竜の息吹は、リングを抉り大爆発が起こる。爆発の勢いで、煙が立ち込めてパラパラと空からリングの破片が降り注ぐ。

「強烈な一撃だぁぁぁぁ!アレク選手へまともに竜の息吹が突き刺さったぁぁぁ!これは、決着がついたか!?」

加具土命カグツチ

煙の中から声が聞こえて、火の化身のような存在を具現化したものが、ジンの前に現れて一瞬にしてジンを飲み込みジン側の辺り一面を焦土化する。しかも、観客席の強力な防御結界にヒビが入るのであった。
そして、煙からアレクの姿が現れると服が溶けてなくなり短パン姿になっていたのだ。しかも、所々火傷を負っている。

「うぉっ!どうやら私も死んでいたようです。腕輪の一つが砕け散っています。それよりも、なんという威力なんだぁぁぁ!」

ねずみ男も飲み込まれてしまっていたようで、一度死んで身代わりの腕輪が発動していたようである。
それにしても、死んだにも関わらず実況できる根性はプロとしか言いようがない。

「くっ...まだまだやれる。ぐはぁ」

パキパキパキパリン

なんと消滅させる威力で放った加具土命カグツチを食らいながらも立ち上がったのだ。しかし、致命傷と判断されて腕輪が砕ける。そして、身代わりを受けて腕輪が砕け散ったことにより、ジンの傷が治る。

「ジン選手立ち上がりましたが、腕輪が砕け散ったことによりアレク選手の勝利だぁぁぁ!なんとこれで、使節団が3勝するという思いもよらない結果となりました。果たして次はどうなってしまうのかぁぁぁ」

「お母様、アレク様が放った魔法はなんなのですか?」

「母上...アレクさんは化け物ですか?」

リリスとウァラクは、あの攻撃を見て驚き目を丸くさせていた。

「あぁ、妾もあの魔法をまともに食らえば、ただでは済まないだろう。それに、見たことのない魔法である。オリジナルであろうな。ウズベル王国いや...あの者らとは敵対してはならないであろう。リリス、ウァラク、二人の時代となった時に、アレクを味方につけるようにしなさい」

「「は、はい」」

魔王からしても、敵対するだけ損をする存在だと認識されたアレク達であった。

「アレク少年、いい魔法だった。今回は俺の負けだ。またいつか手合わせしてくれ」

なんとジンから握手を求めてきたのだ。

「はい。こちらこそありがとうございました。正直、竜の息吹は焦りましたよ。また試合しましょう」

そう言ってアレクも握手を返す。

その光景を見て観客からは、ワァァァと歓声が上がり拍手喝采が巻き起こるのであった。
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