チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第2章 魔ノ国の調査隊

第191話 魔王様からの悪ふざけと魔王城到着！

「タカハシ伯爵様、王城が見えて参りました。そろそろ急降下致しますので、しっかり掴まっていて下さい」

ワイバーンが、速すぎてあっという間に魔王城まで着いたのだ。上空から見る魔都は、非常に活気があって、色々な種族が住んでいるようであった。しかも、魔王城はウズベル王国の王城の何倍もあり、ワイバーンが降り立つ専用の場所も用意されているようだ。

「はい！マンテ爺、そろそろ着くらしいよ」

マンテ爺は、いつの間にかアレクの懐に潜り込んでいたのだ。着くよと聞いて、懐から顔を出す。

「おぉ～こりゃ、凄いのぅ。壮大じゃわい。うむ...あそこから同族の力を感じるぞい」

マンテ爺は、一つのエリアに向かって小さい手を伸ばす。

「あそこに、マンティコアがいるの？」

「よくお気付きになりましたね。あそこには、マンティコアが5体おります。魔王様が趣味で飼っております」

趣味でマンティコアを飼うって、変わり者なのかなと思うと同時に、全部と戦って屈服させたのかなと考えるアレク。

「そうなのですね。もしかして、他にも魔物を飼っているのですか？」

「はい！大量に飼っていますよ。最近は、ペガサスに溺愛しております。では、急降下致します。掴まっていて下さい」

魔王様は、どうやら魔物好きのようである。
そして、急降下すると言った瞬間、直角に凄いスピードで降りるのだ。

「うっうわぁぁぁぁ」

アレクは、まさか急転直下するような降り方をすると思っていなかったので、恐怖で声を上げてしまうのだった。
その様子を見ていたガリル隊長は、満足したような顔をして、ワイバーンの首元をポンポンと叩くと、急転直下を止めてホバーリングしながらゆっくり降りるのであった。

「タカハシ伯爵様、失礼致しました。魔王様から、ワイバーン部隊の通過儀礼を体験してもらえとのことで、あのような降り方をさせてもらいました。本来、新人に対して歓迎の意味を込めて行うものなのです」

「はぁはぁはぁ、ちょっとぉぉぉ～ガリル隊長驚きましたよ。死ぬかと思いました。魔王様って、いつもこんなことをする方なのですか？」

本当に死ぬかと思ったアレクは、汗を流しながら息を切らせる。

「申し訳ございません。魔王様の指示には逆らうことが出来ないもので...本来の魔王様は、お茶目な方ですよ。ですが、最近は...いや、ご客人に言う話ではありませんね。最近にしては珍しいです。新しいお客人が来て、嬉しかったのかと思います」

魔王の性格はわかったのだが、最近は...のあとが気になってしまうアレク。しかし、ワイバーンは着陸して、どうやら魔王城に着いてしまったらしく、一旦考えるのをやめようと思うアレクであった。

「タカハシ伯爵様、お疲れ様でした。それと、最後の急降下は失礼致しました」

「ガリル隊長、ここまでありがとうございました。ハハハ、もう次からは急降下なしでお願いしますね」

それを聞いたガリルは、クスクスと笑って「わかりました。二度と致しません」と言うのだった。

「貴方が、タカハシ伯爵様でしょうか？私は、ジキタリスと申します。早速ではございますが、魔王様がお待ちですので参りましょう」

ジキタリスは、きちんとした正装に丸眼鏡というザ・真面目といった感じの魔族である。

「はい！タカハシと申します。よろしくお願い致します」

「こちらになります。お連れの方々も、こちらにお越し下さい」

そして、ジキタリスについて行くアレク達。魔王城の中は、意外にも人族の王城や屋敷と変わらない内装であった。すれ違うメイドや働く人が、角や尻尾がある魔族だということだけだ。

「こちらに魔王様がおります。中に入りましたら、椅子が用意されていますので、魔王様の了承が出るまでは、椅子の横に立っていて下さい」

そう言うとジキタリスは、重たそうな扉を押して開ける。中は、赤い絨毯が敷かれており、言われた通り椅子が用意されていた。その奥には玉座が置かれており、魔王だろう人物が座っているのだ。

「スゥ～ハァ～」

アレクは、緊張を解すために、深呼吸をして魔王のいる玉座の間に入るのであった。