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第2章 魔ノ国の調査隊

第189話 え?魔王様に会えるの!?

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あの後ノックスとマクガリアスは、屋敷に運ばれてベッドに寝かされている。
アレクは、すぐにエクストラポーションを使おうとしたのだが、ドリガンがいるので使うことが出来なかったのだ。しかし、起きた後のことを考えて念の為にアレクは、二人を診断した。結果は、お互いに打撲程度であった。そのことから、エクストラポーションも不要で後遺症も残らないとわかったので、そのままベッドに寝かしたままにしておくことにしたのである。

「ドリガンさん、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」

応接室でアレクが、ドリガンに頭を下げる。

「いえいえ、構いません。非公式ではありますが、人族がマクガリアス様に勝つ瞬間をこの目で見られたことが奇跡ですから。いまだに信じられません。それと、今は非公式な場なので構いませんが、一応私は子爵の位を頂いておりますので、名前の後に殿を付けて呼んで頂けると助かります」

貴族同士とは、さん付けではなく名前の後に役職又は殿付けをするのが普通なのである。

「大変失礼しました。ドリガン殿。なかなか貴族の習わしや常識に慣れないもので...」

申し訳なさそうにしていると、ドリガンはクスクスと笑うのだった。

「ハハハ、私も昔は、よく注意されました。タカハシ伯爵様もいずれ慣れますよ。しかし、陰で馬鹿にする貴族はどこにでもいますから、お気を付け下さい。それよりも、伯爵様と子爵二人も来ているにも関わらず、護衛がいないのも困ったものですね。印入りの書面を見せて貰うまでは、本当に使節団か疑いましたよ」

ノックス達を寝かせたあとに、全員の紹介を済ませて、書面を見せたのだ。それを見て本物の使節団だと認識はしたようだが、王国の首脳部は上級貴族を守る護衛を付けないのはおかしいと思うドリガンだった。ここにいる面々が王国一いや世界一だから護衛を不要としているとは、まったく思わないのである。

「お気遣いありがとうございます。ドリガン殿は、お優しいのですね。あと、護衛に関しては一人一人身を守る術を持っていますので陛下は付けなかったのだと思います」

いやいや、大人はまだしも目の前にいるタカハシ伯爵が強いって、そんなわけあるか!と思い顔に出てしまうドリガン。

「そいつの言う通りだ。ドリガン、人を見た目で判断しねぇことだな。そこにいる坊主は、ここにいる誰よりも強いぜ」

マクガリアスとノックスは、いつの間にか目が覚めたようで、応接室に入ってきたのだ。しかも、お互い肩を貸し合いながら支え合っている。

「なっ!?ほんとう...いや...マクガリアス様がおっしゃるなら、本当なのでしょう。タカハシ伯爵様、疑ってしまい申し訳ございません」

頭を深々下げるドリガン。
魔ノ国でも常識があるドリガンは、素直に謝ることの出来る人物なのだ。それをわかっていたからこそスペイビズは、国境から1番近い辺境伯のところではなく、ここに来たのであった。
正直何故アレク達がここへ来ることが、マクガリアスにわかったのかは謎である。

「頭を上げて下さい。そう思われるのは慣れていますから。それより...マクガリアス殿も師匠も酷い顔になっていますよ。これを飲んで下さい」

全身打撲とボコボコに腫れ上がった痛々しい顔を見てアレクは、ハイポーションを二人に渡す。

「おっ!坊主わりぃな。ゴクッゴクッ...おぉ~こりゃスゲェ!怪我をする前より体が軽いぜ。坊主、今から俺と殺り合わねぇか?」

「え・・・・」

どれだけ戦闘狂なんだよと思うアレク。さっきまで、気絶してぶっ倒れていた人とは思えない発言に対して言葉が出ないのであった。

「おいおい!後で相手してやるから落ち着け。その前に、さっき話していた魔王様に直接会わせてくれる件は大丈夫なんだろうな?」

「あぁ、そんなことも話していたな。ブッハハハハ!忘れていたぜ。魔王様には俺が話してやるが、俺が負けた話をしたら他の四天王三人が戦いを挑んでくるかもな。そんときは、自分達で対処しろよ」

アレク達がのんびりと自己紹介やなどをしている間に、ノックス達は確信に迫る話をしていたようだ。

「おい!しっかりしろよ!それと、強いやつとの戦闘は有り難いからな。願ってもない」

「ブッハハハハ、俺に勝っただけはあるな。それと、さっき連絡しといたから明日には迎えがくるはずだ。ドリガン、今日こいつらを泊めてやってくれねぇか?」

勝手にどんどん話が進んでいくので、他のみんなは呆気に取られるのであった。

「あ、はい。わかりました。部屋はすぐご用意致します。皆様、ごゆっくりくつろいで下さい」

「あ、ありがとうございます。いきなり来て泊めて頂いて申し訳ございません」

何故か、魔王様と会うことが決まり、残りの四天王との戦闘も避けられないようである。そして、勝手にどんどん話が決まっていくが、無事に魔王様に会って目的を果たせるのだろうかと心配になるアレクであった。
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