チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第1章 伯爵になったアレク

第181話 押し黙る貴族達と貴族になった者達！

「陛下お待ち下さい。彼は、まだ13歳とお聞きしました。そのことで些か思うところがございます」

この場で、物言いが入るとは、誰も予想しておらず驚く面々。

「ウォーラム伯爵、陛下の御前で不敬ですぞ」

宰相アントンが、珍しく大声を出して叱責をする。

「アントン、一度ウォーラム伯爵の意見を聞いてみようではないか」

しかし陛下は、ウォーラム伯爵の言葉に耳を傾けようとする。
アレクは、早く終わってくれないかなという気持ちでいっぱいになる。

「ハッ！ウォーラム伯爵、意見を述べてみなさい」

アントンが、ウォーラム伯爵に問いかける。

「陛下、寛大な心遣いありがとうございます。陛下のおっしゃる通り多大なる貢献をされたとは思いますが、成人もしていない子供に責任能力があるのかということを進言致します」

言っていることは、もっともらしい発言ではあるが、ここにいる貴族の何人が貴族としてまともに機能しているのだと問い返したい陛下は、額に手を当てため息をを吐く。

「はぁ～...では問うが、ウォーラム伯爵！今回のスタンピードならびに王都敵襲の際、国民を捨てて逃げた貴族達は、爵位剥奪でよいのだな？責任能力がないと取るが構わぬか？そういうことらしいぞ。アントン！再編せねばならぬようだ」

「ハッ！報告が上がっております貴族に関してまとめた物をすでに用意してございます。かなりの者を、この場で通告しなくてはならなくなります」

それを聞いて思うところがある貴族達は、騒ぎ出してウォーラム伯爵を責め立てる。

「黙らぬか！余は悲しい...この玉座から見ておるとよくわかるわ。ウォーラム伯爵の言う責任能力がある者とない者がな！ウォーラム伯爵、この状況を見ても、国の為に戦い滅亡から救ったアレクに責任能力がないと言えるか？」

ウォーラム伯爵は黙るしかなかった。ウォーラム伯爵もスタンピードの時は、屋敷に隠れて家臣や私兵達に任せていた張本人であるからだ。まだ逃げていないだけ、ましと言えるのが救いである。

「改めて、皆に問うぞ。アレクに対して認めぬ者はおるか？」

それを問われた貴族達は、誰も声を発することはなかった。

「ではアレクよ、今後とも国の為に頼む」

「ハッ！国を守る為、剣を振るい続けて参ります」

アレクは、元いた場所に戻る。

「叙爵者は、退場して下さい。この後、名前の呼ばれた者は、その場に残るように」

その後、名前を呼ばれ残された者は、1年前の出来事の際に貴族としてあるまじき行為をしたことにより、叱責される者達である。

そしてアレク達は、領地や家名などの話し合いの為に、一度先程いた控室に案内されるのであった。

「スベア卿、こちらにお越し下さい。他の方々も順に案内の者が来ますので、その者に従って下さい」

その後も、爵位の低い者から順に呼ばれていき、子爵位を与えられたノックスとオレールと伯爵位のアレクだけが残された。

「今後、俺はアレクにアレク閣下と呼ばなきゃいけなくなるんだろう？しかも、畏まった言葉遣いをしなきゃならんとはな」

冗談のように、ニヤッと笑いながら言うノックスにオレールも「そうですね」と返して相槌を打つ。

「何を言っているんですか！今までのままでいいですよ。2人に畏まられたらムズムズしてしまいます」

「フフッ。ですが、ちゃんとした場では、アレクくんを立てますよ。私達が恥を掻いてしまいますからね。ノックスも、こう見えて意外に、そのような場ではしっかりとできますから」

「意外とは失礼だな。お前とは見た目からして違うんだ。そう見られても仕方ないだろ。昔何回も、お前の従者に間違われたこと忘れてないからな」

過去に、街を歩いている時、オレールの美しい見た目から貴族と間違われることがよくあり、その時ノックスは、従者か護衛だと思われていたのだ。

「そんな過去があったのですね。確かに、オレールさんは綺麗...痛タタタ...師匠やめで～痛いですよ～」

ノックスは、アレクにヘッドロックをして絞め上げているのであった。

トントントン

「えっ？あの？よろしいでしょうか？ノックス卿とオレール卿、ご案内致しますのでお越し下さい」

「お！やっとか。また後でお会いしましょう。アレク閣下」

「アレク閣下、それでは私達は先に失礼致します」

ノックスとオレールは、わざとらしく敬語を使って部屋を出ていくのだった。アレクは、呆気に取られて返事を返すことが出来ないのであった。