チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第1章 伯爵になったアレク

第176話 連携プレーでトロール討伐！

迫りくるトロールを、素早い動きで避けるマンテ爺。トロールも、学習しているようで、アレク達に攻撃されないように、無差別に殴ってくる。

「なかなか隙が見当たらない。マンテ爺、作戦変更！毒で動きを止めてほしい。止まったら、ぶん殴って倒すよ」

「わかったんじゃ。なんとかするわい」

ジグザクに走りながら、またトロールを惑わす。

「もうまよわない」

トロールは、学習したのか、目で追うことはしない。そしてマンテ爺が、ある程度近付いたところで、今までより早いパンチを繰り出す。

「こりゃいかん。アレク、上へ飛ぶんじゃ。あとは任せたぞい」

言われた通り、上へジャンプするアレク。そして、マンテ爺はトロールの両足に毒針を刺す。しかし、トロールのパンチがもろに当たり吹き飛ぶ。

「ガントレット、行くよ」

アレクは、マンテ爺なら大丈夫だと思い、前にいるトロールに集中する。

「任せな。ダブルブーストマックス」

左右のガントレットが真っ赤になる。そして、アレクは毒で動けないトロールの顔面目掛けてパンチを繰り出す。トロールも、パンチで反撃してくるが、毒で足が使えないので力のないパンチになり、アレクは容易く避けるのだ。そして、顔面へとアレクのパンチが当たり、頭は爆散する。更に、心臓目掛けてパンチを繰り出して風穴をあける。トロールも、最後の足掻きでアレクに拳を当ててくる。力は弱まっているとはいえ、体長8mの巨体から繰り出されたパンチを、もろに食らったアレクは吹き飛んでしまうのだった。

ドガーン！
頭が爆散して胸に風穴が開いたトロールは、後ろに倒れるのであった。

「全魔力消費！休眠開始」

ガントレットは、活動を終えて灰色に戻るのだった。

「あ痛たたたぁぁ！マンテ爺大丈夫？」

「ワシは、大丈夫じゃ。倒せたかのぅ？」

2人とも、物理耐性強化薬を飲んでいたお陰で痛みはあるものの、無事に起き上がる。

「再生しないところを見ると、倒せたみたいだね。マンテ爺の毒がなかったら、今回は森に大被害を与えて倒さなきゃいけなかったよ。ありがとう」

「なんのなんの。ワシら、2人...いやガントレットもおったな。3人の勝利じゃわい」

「だね。見事のコンビプレーだったよ」

「こんび？ぷれー？なんだがわからんが、ええことを言っとるんじゃろうな。あとは、穴ぐらに生き残りがおらんか、確認したら帰る感じじゃな？」

やはり、異世界にはコンビもプレーという単語はないようで、？を浮かべるマンテ爺であった。

「魔法鞄にトロールを収納したし、いこうか」

アレクは、発光する魔道具を取り出して、洞窟の中に入って行くのであった。

「骨だらけだね。これ森の魔物を倒して食べていたから進化したのかな？」

「そうじゃろうな。同族がおらんのは、多分同族も食べたんじゃろう。更に進化しておったら手に負えん魔物になっとったかもしれんわい」

洞窟の中は、死骸だらけになっており、独特の匂いが漂っていた。アレクは、風魔法で匂いを飛ばしながら奥へと進んで行った。

「マンテ爺、これ何かわかる？」

1番奥の突き当たりに行くと、ドス黒い水溜りのような物が出来ていた。

「魔力溜まりじゃな。浄化出来る者をすぐに連れて来るべきじゃな。放って置くと魔物が溢れ出てきよるわい」

トロールによって死骸になった魔物の魔力が洞窟内に充満して魔力溜まりが出来てしまったようだ。

「じゃあ、早速冒険者ギルドに報告しに行こう。マンテ爺掴まって」

「わかったわい」

一瞬にしてギルド内に転移したアレクとマンテ爺。しかし、急にアレクと大きくなったマンテ爺が現れて、冒険者は驚いて尻餅を突くか、剣を向けてくる。

「あぁ～皆さん驚かせてすいません。アレクと従魔のマンテ爺です。緊急だったので、転移してきました」

そう言うと、冒険者は「英雄様じゃないか」とか「流石、英雄様！従魔も強そう」とか言っている。そして、いつも通りの冒険者ギルドの日常に戻るのであった。

「攻撃されないのは、有り難いけど英雄様は恥ずかしいよ...あ！それより早く知らせなきゃ」

あのことを知らせる為に、受付へ向かうアレクとマンテ爺。

「ミアさん、討伐完了しました。それと、魔力溜まりと森に大量の魔物と動物の死骸があったので、対応をお願いできませんか？」

「魔力溜まりですか？わかりました。浄化が使える者をすぐ派遣します。それと、大量の死骸ですか...こちらは、今から募集をかけて集まり次第になります」

「わかりました。でしたら、魔力溜まりのある場所まで転移で送りますので、すぐ浄化のできる人を集めてもらえますか?」

「わかりました。アレク様は、お座り頂いてお待ち下さい。集まり次第、お声掛けさせて頂きます」

アレクはその後、魔法鞄から飲み物とマンテ爺用の肉を出して、椅子に座りながら待つのであった。