上 下
59 / 695
第1章 伯爵になったアレク

第174話 やはり子供だとB級冒険者に見えないようだ。

しおりを挟む
今は、マンテ爺に乗って目的地に向かっている。最初は、転移で向かおうとしたのだが、どうやら訪れた場所以外は無理なようだ。
そう考えると、セイランさんっていいように使われてるんだなと思い、可哀想になるアレク。

「マンテ爺、前より速くなってないか?それに、一切風を感じないんだけど」

車以上の速さで走っているにも関わらず、風の抵抗がなく、寝ながら移動出来るのではないかと思うほどだ。

「ワシは、修行して防御結界を手に入れたんじゃ。その防御結界を、体全体に張っておるから、一切風の影響を受けんのじゃよ」

アレクが、陛下からの仕事に追われている頃、よく勝手に外出をしていたマンテ爺。どうやら、遊びに出掛けていたのではなく、修行をしていたようである。

「そうだったんだ。快適すぎて驚いてるよ。じゃあ、戦闘でも防御結界を張りながら戦えるし最強だね」

「そうじゃのぅ。前より接近戦が出来るようになったわい」

「トロール討伐の時に、こんなのどうかな?」

その後、アレクはマンテ爺に、今回の討伐でどう戦うかの説明をした。マンテ爺も、ノリノリのようである。

作戦会議をしながら走っていると、どうやら依頼があった村に到着したようだ。

「おい!この村になんの用だ?」

村の警備を担当しているおじさんが、マンテ爺を見て怖がりながらも聞いてくる。

「トロール討伐の依頼を受けてきた冒険者です。森に近付かないようにお願いをしに来ました」

マンティコアに乗っているとはいえ、少年がトロール討伐でやってきたことを疑うおじさん。

「冒険者証を見せてみろ」

そう言われたので、魔法鞄から冒険者証を取り出すアレク。受け取ったおじさんは、13歳の少年がB級冒険者と知り驚く。

「B級冒険者だったとは...まずは、村長に会ってはくれ。案内する」

アレクも、貴族として訪れているわけではないので、態度や言葉遣いに文句を言うようなことはない。そして、おじさんの後をついていく。

「すいません。みんなを怖がらせてしまって...」

マンテ爺が、通ると村人が家の中に逃げていくのだ。

「気にしないでくれ。トロールの所為で魔物に対して敏感になっているんだ」

そんな話をしていると。前から鍬や斧を持った集団がやってくる。

「ガンボ、その魔物はなんだ?」

どうやら、村人の大人達が害する魔物から村を守ろうとやってきたようだ。

「この子の従魔だ!安心しろ。それと、トロール討伐に来てくれた冒険者を村長宅へ案内しているところだ」

「おいおい!その子供がか?何かの間違いだろ」

さっきのガンボと同じような反応をする村の大人達。正直アレクも、仕方ないなとは思っているのだが、そろそろ見下された態度にうんざりもしていた。

「さっき確認をしたが、B級冒険者の方だ。それに、こんな魔物を従えてる時点で気付くべきだろう。そんなことより、案内してるんだ。どいてくれ」

ガンボは、邪魔だという感じで村人を手で払いのける。アレクも早く村長との話を終わらせて討伐に行きたいので、すぐさま後をついていく。

「すまない。俺もそうだが、見た目で判断して失礼なことを言ってしまったな」

「構いませんよ。どう見ても、ただの子供にしか見えませんからね」

素直に謝られて驚くアレク。
そんなことを思っていると、一軒の家の前で止まるガンボ。

「そう言ってもらえると助かる。ちなみに、ここが村長宅だ。お~い!村長いるか~?トロール討伐の冒険者を連れてきたぞ」

ガンボが呼んでから暫く待っていると、家からまだ30代の若い男性が出てきた。

「冒険者ですって?もしかして君でしょうか?」

「はい。冒険者ギルドから依頼を受けてやってきたアレクと言います」

「やはりそうでしたか。アレクさんは、かなりお強いですよね。見ただけでわかります。それに、マンティコアを従魔に従えているとは、かなり驚きましたよ。それで、早速討伐に行ってもらえるのでしょうか?」

先程までの村人とは違い好意的な反応に驚くアレク。

「そんなことはないですが、見た目で嫌悪されるかなと思いましたよ。討伐はできれば、すぐ行きたいです。それで、お願いなのですが、討伐中は誰も森に入らないようにお願いします」

「あぁ~もし、村人が何か気に障るようなことを発言したなら申し訳ございません。それと、森へは入らないよう注意させて頂きます。ガンボさん、すみませんが一緒に村人への注意喚起を手伝って頂いてもいいですか?」

アレクは、話が早くて助かるなと思う。だが、何故強さがわかったのか、気になったが、討伐後でいいかと思うのだった。

「任せときな。今すぐ知らせてくる」

そう言ってガンボは、走って村人へ注意喚起に行くのだった。

「ちょっと、ガンボさん。手分けして...って行っちゃいましたね。悪い人ではないのですが、話を聞かないところがありまして...おっと、それより討伐よろしくお願いします。豪華とはいきませんが、村の食材を使った料理を作ってお待ちしております」

「はい!任せて下さい。村への被害が出る前に、早速向かいたいと思います。料理は期待しています」

そう言って、アレクは森へとトロール討伐に向かうのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。 神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。 どうやら、食料事情がよくないらしい。 俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと! そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。 これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。 しかし、それが意味するところは……。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】

青緑
ファンタジー
 聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。 ——————————————— 物語内のノーラとデイジーは同一人物です。 王都の小話は追記予定。 修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。

大好きな母と縁を切りました。

むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。 領地争いで父が戦死。 それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。 けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。 毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。 けれどこの婚約はとても酷いものだった。 そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。 そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ? コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。 (あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw) 台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。 読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。 (カクヨムにも投稿しております)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。