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第1章 伯爵になったアレク

第166話 久しぶりの実家は、やはりいいものだった!

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アレクは、転移をしてストレン領の屋敷へと帰ってきた。
屋敷の庭に転移したのだが、ちょうどカリーネがノアとカレンと一緒に散歩をしているのを発見した。

「お母さん、ただいま~」

その声を聞いたカリーネは、すぐさま振り向く。

「え?アレクちゃん!?いつ帰ってきたの?」

あの事件が終結した時以来、1年振りに帰宅したのだ。その所為もあってカリーネは、かなり驚いている。

「今さっき転移で王都から帰ってきたところだよ」

そう言うとカリーネは、双子の乗った乳母車を押しながらやってきて、アレクをギュッと抱きしめるのであった。

「アレクちゃん、お帰りなさい。ずっと待っていたのよ」

カリーネは、泣きながらアレクの帰宅を喜ぶ。

「お母さん、遅くなってごめんなさい」

それでもなかなか泣き止んでくれず、背中をポンポンと優しく叩いていると、ヨゼフとセバスがやってきた。

「お~アレクもマンテ爺も帰っておったんじゃな。ん?馬車もないがどうやって帰ってきたんじゃ?」

アレクが転移を使えることをまだ打ち明けていなかったので、疑問に思うヨゼフ。

「セイランさんという方に転移魔法を学んで、転移で帰ってきたんだよ」

「ヨゼフ、久しぶりじゃな。あとで軍棋をやるぞい」

マンテ爺は、アレクとカリーネの胸の間から顔を出して言う。

「転移じゃと!またアレクは、凄くなりよったのぅ。ホッホマンテ爺、ワシを前のワシだと思わんことじゃ。返り討ちにしてやるわい」

「ほぉ~それは楽しみじゃな。その自信ごと粉砕してくれるわ」

何故かマンテ爺とヨゼフは、笑いながら火花を散らせている。思わず仲良すぎだろと思うアレクであった。

「お帰りなさいませ。アレク伯爵様!セバスは、嬉しゅうございます。こんなにご立派になられて」

セバスは、ハンカチを目頭に当てて嬉し涙を拭っていた。

「もう、セバスまで~伯爵はやめてよ。なんか恥ずかしいでしょ。それより、そろそろお母さん離してよ。ノアとカレンにただいまの挨拶をしたいんだから」

カリーネは、「ゔぅ」と渋りながらも離してくれた。そして、乳母車に乗るノアとカレンの前に行って屈むアレク。

「ノア、カレン、ただいま。元気にしてた?」

ほっぺたをツンツンとしながら話しかける。「えへへ」と笑う2人に、アレクはメロメロになるのであった。

「今日は、泊まっていくんじゃろ?」

「うん。1週間くらいはいる予定だよ。その後は、叙任式があるから王都に帰るかな。あと、大事な話があるから夜時間を空けてくれないかな?」

アレクは、ヘルミーナとの結婚を考えていることと、まだ打ち明けていない秘密を話そうとしているのだ。

「なにかのぅ?ワシだけが聞けば良いのかのぅ?」

「お父さんとお母さんとセバスと師匠とパスクとオレールさんとマンテ爺とナタリーには話しておきたい」

「うむ。わかったのじゃ。セバス、ノックスとパスクとオレールとナタリーには、夕食後会議室に集まるように言っておいてくれんか?」

「畏まりました。では私は、お伝えして回りますので失礼致します」

そして、忍者のようにスッと消えるのであった。

「そうじゃった。ノックスもパスクもオレールもアレクに会えるのを楽しみにしておったぞい」

「俺も楽しみだよ。冒険者として鍛え直すって言ってから1年だもんね。でもちょうど帰ってきてたんだ。よかった」

あの出来事があってから、いつかルシファーとの戦いがあるとわかった3人はスベアを連れて各地を回って鍛え直しに出掛けた。
そして、1年が経ち冒険者ギルドに届いた叙任式の通知の手紙を受け取って戻ってきたのだ。

「2日前に戻ってきておったぞい。なんでもS級になったという話じゃ。それより、中に入ってお茶でも飲みながら話さんか?」

「そうだね。色々話したいことも沢山あるからね」

「私は、ノアとカレンともう少し散歩をしたら戻るわね」

「わかったわい。少し肌寒くなってきよったから、体を冷やす前に戻るんじゃぞ」

カリーネは、「は~い」と返事をして散歩の続きに戻る。アレクは、いまだに仲がいい2人を見て自然と笑みが溢れるのであった。

それから、ヨゼフと屋敷の中に戻ると、メイドがアレクの帰宅に驚いていた。教育が行き届いているのか?すぐに姿勢を正して「アレク様、お帰りなさいませ」と挨拶をする。アレクも笑顔で「ただいま」と言ってヨゼフの書斎へと向かうのだった。

書斎に着いてアレクとヨゼフが席につくと、すぐにメイドがやってきてお茶の用意をしてくれる。

「そうじゃった!家名はどうするんじゃ?」

アレクは、伯爵となりヴェルトロ家からは独立したことになる為、新しい家名を付けなければならないのだ。

「夜みんなに話す内容でわかることなんだけど、高橋って付けようと思ってるんだ」

「タカハシ?珍しい家名じゃのぅ。じゃが、アレクにとっては意味のある家名なんじゃろう。詳しくは夜に聞こうかのぅ」

高橋とは、生前の名前である。もし、家名をつけるなら前からこれだと決めていたのだ。

その後は、他愛もない話をして、マンテ爺vsヨゼフの軍棋対決を観戦するのであった。
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