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第11章 王国に迫る脅威

第155話 王都に迫りくる黒き集団と王都の貴族の末路!

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黒いローブを身に纏った集団が、王都の空へ順に集結している。

「各地の様子はどうだ?」

NO.1が、集まったNO.2とNO.4とNO.7とNO.8とNO.9に聞く。

「私の担当地域は、全て壊滅致しましたが...魔物は全て殲滅されておりました」

NO.2は、頭を下げながら答える。

「あらやだ。貴方のところも壊滅していたの?私もよ。それに、人間は生き残ってしまったわ」

NO.4は、野太い声だが、女性のような口調で話す。

「俺も同じだ。俺自ら破壊してやろうとした時に、NO.1から連絡が来てよ」

NO.7は、俺の破壊の邪魔をしやがってとNO.1を睨みつける。だが、実力差があるので突っかかっていこうとはしない。

「魔物壊滅、人間死んでない、私の任務失敗...」

NO.8は、いつも通り変わった話し方で報告する。任務失敗を悔やんでいるようだ。

「皆様もですか...私の担当地域もです。広範囲殲滅魔法を連発でぶっ放して魔物を殲滅させられました。私では勝てないと判断して引かせて頂きました」

NO.9は、アレクの無尽蔵の魔力量と実力差に勝てないと判断して逃げたようだ。

「またしても...失敗に終わったと言う訳か...このままでは、ゼロ様に申し訳が立たんな。NO.9は、本拠地に戻り引き続きNO.3の治療に当たれ!そして、ゼロ様が引き入れたNO.10に王都へ来るように伝えろ。広範囲殲滅魔法を連発出来る存在が気掛かりだ。それからNO.6が、合流した段階で王都殲滅を開始する。いいな?」

「畏まりました」「わかったわよ」「やっと破壊できるんだな」「私、役立つ、壊す」「了解致しました」

それぞれが、NO.1に対して返答をする。



その頃、王城では歓喜の声が上がっていた。
近くの街から順に使者が訪れてアレクがスタンピードを阻止したという知らせが舞い込み始めたのだ。

「よし!なんとか間に合ってくれたか。しかし、アレク曰くまだ終わってはいないと言うことだったが、アントンはどう思う?」

以前、ストレン領を襲撃した存在が王都周辺にいるということを懸念しているようだ。

「そうですね。このスタンピードは、明らかに人為的な物でしょう。それを考えれば、今すぐに市民を避難させ、警戒度を最大に上げて騎士団を総動員しいつでも事に当たれるよう準備が必要かと思います」

宰相アントンは、これ以上犠牲者を出させないと強く心に誓っているのだ。
しかし、そこにまた横槍が入る。

「陛下、王都の危機は去りました。今すぐに各地へ人員を派遣すべきではないでしょうか?そして、先程の少年を呼び戻し警戒をさせればよろしいかと。あの少年に全てを任せていれば、王国の国力を疑われますぞ。ここは、王国の力を見せつける為、騎士団を派遣すべきです」

全てをアレクに任せれば、自分達貴族の無能さを知らしめるだけと考えた男は、国力という言葉を出して陛下の考えを変えさせようとする。

「そうです。それは、いい考えです。今すぐに騎士団を派遣すべきです」

それに乗っかるように幾人かの貴族達が騒ぎ出す。

「いい加減にせんかぁぁぁ!余は、アントンに聞いておるのだ。王国の危機をなんだと思っておる!そこまで、国力を知らしめたいのであれば、お前達も出兵させてやろう。今すぐ準備し騎士団の下に付き国を守るのだ!あれ程、国力を考えておるお前達なら期待通りの成果を出してくれると思っておるぞ」

どうしようもない貴族に、一度くらい苦労を味合わせようと考えた陛下は、一兵士として貴族達を送り出そうとした。

「へ、陛下!なにをおっしゃっているのですか?我々に、出兵しろというのですか?」

「私達は、兵を率いたことがございません。何卒お考えを改め直して下さい」

他の貴族達も、顔を見合わせてあたふたしながら、どうしようかと話し合っている。

「兵を率いる?何を言っておるのだ?騎士団の下に付き一兵士として戦場にいけと言っておろう。これは、決定事項だ。もし、行かぬというなら廃爵とする。また、騎士団に対して脅すような真似をした場合、相応の罰があると思え!いいな?わかったら今すぐに準備をせい」

廃爵という言葉を聞いた貴族達は慌てて会議室から出ていく。

「アントン、やっと鬱陶しいやつらを追い出すことが出来たな。それより、騎士団にあ奴らの事を伝えておいてくれんか。それと、警戒度を上げるようにし、いつでも戦える準備をさせておいてくれ。王都守備隊と警備兵達には王都の市民を避難させるように伝えてくれ。あとギルバートを召集し、パスクと共に敵を迎え撃てる準備をさせておくのだ」

「ハッ!」

アントンは、会議室を出て急ぎ走り出す。陛下は、ふぅ~と一息吐いてから窓から王都を眺めるのであった。
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