上 下
72 / 694
第10章 クラス対抗戦

第148話 1回戦終わりの暫しの休息!

しおりを挟む
1年Sクラスの圧倒的な戦いが終わってから、観客席では先程の試合を振り返って盛り上がりを見せている。アレク達は控え室に戻り、次の対戦までのんびりしていた。そこに、偵察を終えたスローとレティーがやってくる。

「みんな~お疲れ~2回戦進出おめでとう」

レティーが、いの一番に声をかけてきてくれる。

「レティーもスローも、偵察お疲れ。それで早速だけど、次の対戦相手の情報を教えてくれない?」

「次の対戦相手はFクラスだよ。Bクラスが勝つと思ったんだけど、一瞬で負けてたの...だから、なんで負けたかわからなくてごめんなさい」

まさかの大番狂わせで、1番下のクラスが勝ってしまったのだ。しかも、スローとレティーすらもわからない攻撃とは、どういうことなんだと思うアレク。

「あ!そうだ。俺、パスクさんから伝言を預かってるんだった。透明化のスキルを魔法と組み合わせて使ってくるから気を付けて下さいと言ってた」

「見えない、わからないとは、そういうことか!でも、なんでそんな奴らがFクラスなのかな?」

みんなは、確かにと思う。高度なスキルを有しているなら頭が悪くてもFはないだろうと。

「筆記が0点に近くて魔力量があまりにも少なければ1番下のクラスになる可能性はありますよ。それに、スキルは実技試験項目にはないですから」

「そうか!スキルは、実技では実演しないし、加点にもならないもんね。うっかりしてたよ。でも、スキルを使ってくるのは厄介だね。透明化スキルをどうやって対応するか...あ!全員透明化スキルを使ってたの?」

「私とスローが見たのは三人だけど、三人ともわからない攻撃だったよ。あとの二人はわからない」

アレクは、顎に手をやって考える。暫く悩んでから答えが出たのだろう。話し始める。

「先鋒は俺が行く。次鋒がエリーゼで中堅がレオナードでいこう。副将がレティーで大将がスロー。レティーとスローは、決勝で戦ってもらいたいから、次の戦いは雰囲気を味わってほしい。ランスとセトも観客席から見といていいよ。パスク達にも、偵察は必要ないと伝えておいて」

この時アレクは、薬学スキルが使えたら苦労しないのになと嘆くのであった。

「俺とレティーが、副将と大将?無理無理無理無理」

「私も無理だよ~」

「大丈夫。中堅までに試合を決めるから。それと決勝は、スローが先鋒でレティーが次鋒だから、次の戦いを見て試合の感覚を掴んでほしい。厳しいことを言うけど、そろそろ無理って言うのやめない?君達は、俺達が勝利して掴んだ優勝で喜べるの?」

スローとレティーは、痛いところを突かれたのか?下を向いてしまう。だが、二人は悔しかったのだろう。下唇を噛み拳をグッと握り締めている。

「クソッ!ごめん!俺が間違ってた。お前らと一緒に優勝したい」

「私も!せっかく選ばれたんだから頑張らないとだめだよね。みんな、ずっと弱気でごめん」

二人は、補欠に選ばれたことで、どこか引け目と自分達は関係ないという感じでいたのだ。だが、改めて言われて悔しさと一緒に優勝したい意志が芽生えたのだ。

「俺達と一緒に勝利しようぜ。でもアレク、俺とセトは偵察に行かなくていいのかよ?」

「昨日までは、対策を考えて戦おうとしたけど、本当の敵って急に現れるし、知らないで戦う経験も必要かなって」

これを期に、全員のレベルアップをしようと考えているアレクであった。

「よっしゃー、そういうことなら俄然やる気出てきたぜ。全員ぶっ飛ばしてやるぜ」

ランスが、右腕を高らかと上げて宣言している。

「もうランスは、またですか?だから、一人じゃあ全員ぶっ飛ばせないでしょ。本当馬鹿ですね」

レオナードが、そう言うと「何回も馬鹿って言いやがって、許さねぇ」と言って首を締めるランス。いつもの、じゃれ合いを始めるランスとレオナードであった。

「出場選手の方は、そろそろ準備を始めて下さい。まもなく二組目の試合が終わります」

みんなで話していると、次の試合が始まろうとしていた。アレク達は、一人一人再度気合いを入れ直して試合へと向かうのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。