上 下
66 / 694
第9章 学園での再会と新たな出会い

第142話 陛下のお裁きと地獄に落とされる貴族二人!

しおりを挟む
デジールとブルゴーは、何故ここに呼ばれたのか、訳が分からないといった感じであった。しかし、陛下の前である為、片膝を突き礼を取る。

「ここからは余が仕切ろう。学園長、すまぬが先生方と生徒を連れて退出してくれぬか?」

「はい!畏まりました陛下」

それから、学園の者は出ていき、陛下と宰相と護衛騎士とデジールとブルゴーだけが会議室に残った。

「デジールとブルゴー、いつまでそうしておるのだ?早く座らぬか。座ったらそこにある手紙と羊皮紙を見るがよい」

二人は立ち上がって席に着き、言われた通りに手紙と羊皮紙を見始める。すると、見る見るうちに顔が青褪めていく。ブルゴーに至っては、この世の終わりといった顔になり始める。

「もうよいか?本来なら王城に呼び付けるところだが、ブルゴーの息子の件もあったのでな。ここで終わらせようと思ったのだ。何か弁解はあるかな?」

デジールとブルゴーは、予想だにしていなかった出来事に一切頭が回らない。見事な陛下の不意打ちである。

「へ、陛下、こ、これは誰かの陰謀でございます。このような契約書や手紙など知りません。どうか信じて下さい」

デジールは、苦し紛れにそう答えるしかなかった。王城に呼ばれていれば、色々な可能性も考慮して準備も出来ただろうが、デジールもブルゴーも息子の件で呼ばれた為、何も準備をしていなかったのだ。

「そうであったか...それは災難、などと言うと思ったか!この戯け共が!反省するならまだしも、この期に及んでまだそんな戯言を申すか!アントンあれを聞かせてやれ」

「ハッ!只今」

録音の魔道具をデジールとブルゴーの前に置いて再生すると、デジールの屋敷で二人がワインを飲んでいる日の会話が流れる。その中には、酔いが回り口を滑らせた麻薬の話や息子の件で学校に手を回したことや陛下の悪口などが録音されていた。そう、契約書とは王都で流行っている麻薬のことだったのである。

「これでもまだ白を切るつもりか!白状せい」

これを出されてはデジールもブルゴーも、言い返すことすら出来ない。肩からガクッと力が抜けて抜け殻のようになるのであった。

「もうよい!こ奴らを引っ捕らえよ!今すぐ王城に連れて行き全てを白状させるのだ!」

「ハッ!」

護衛騎士は、すぐにデジールとブルゴーを縛り上げる。デジールもブルゴーも抜け殻状態で、一切の抵抗もしなかったのである。
しかも、前代未聞なのはデジールとブルゴーは、学園の生徒に見られながら連れて行かれたのだ。



一方その頃アレクはというと。
身の潔白が証明されたので、学園長から授業の出席は今日か明日どちらからでも構わないと言われて、今日から出席しますと告げたのであった。すると、ササッと一筆書き出す学園長。

「ワシは、今からあのクズ共の処罰を決めねばいかんからな。これを、ギルバート先生に見せなさい」

そこには、アレクの身の潔白が証明されたことと復学させる旨が書かれていた。
ちなみに、今回関わった先生とアロイスは、自宅待機を言い渡されて、後日処罰を言い渡されるとのことらしい。

「ありがとうございます。では、授業に行って参ります」

「頑張るんだぞ。それと、自宅待機中の欠席扱いも全て出席扱いにするよう明日ギルバート先生に伝えておくから心配せんようにな」

「はい!ありがとうございます」

そう言ってアレクは、教室に向かうのであった。

「人間とは愚かな生き物じゃな。全て決闘で決めればええのにのぅ」

マンテ爺は、魔物の目線で話しかけてくる。

「アハハハ、マンテ爺らしいね。でもそれをしちゃうと常に争いが絶えなくて、みんなが不幸になっちゃうんだよ。それより、マンテ爺ご飯食べる?」

「そうじゃった。ずっと腹が減っておったんじゃ。薬と飯をくれんかのぅ」

アレクは、薬の副作用も知ることが出来るようになって、以前から言っていたマンテ爺専用の薬を作ったのだ。また、異世界の変な薬師?ポーション職人?が作り出した魔物専用薬剤であり、マンティコア専用【なんでもおいしくナール】というネーミングセンスの欠片もない薬であった。そして、その情報を元に作ってみて、マンテ爺に食べてもらったところ何に振りかけても人間を食べているような感覚になり凄く美味になったようである。

「マンテ爺、お待たせ」

オークのブロック肉の塊に薬を振りかけてマンテ爺に与える。マンテは、「こりゃうまいわい」と言いながらブロック肉あっさり食べてしまうのだった。

「ふぅ~満足じゃわい。食材によって人間の味が変わるからおもしろいのぅ」

「それは、よかったよ。他にも最上級においしくナールとかいうやつもあったから作っておくね」

人間のアレクからしたらよくわからないが、マンテ爺曰く一人一人人間の味は違うらしい。

「それは楽しみじゃのぅ」

いつもよりテンションが高いマンテ爺にやっと満足させられてよかったと思うアレクであった。

それから教室に向かい、なんの躊躇もなくドアを開ける。開けた瞬間、みんなが一斉にアレクを見る。

「ギルバート先生終わりました。それと、これを渡してくれと言われました」

ギルバートは、手紙を受け取り内容を読み進める。

「アレクお疲れ様だな。じゃあ、アレクが席に着いたら授業再開だ」

ギルバートは、安堵した表情でアレクに言葉をかける。内心どのような結末を迎えるのかドキドキしていたのである。
そして、アレクはというと、そろそろ普通の学園生活を送らせてくれと思うのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。