チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第9章 学園での再会と新たな出会い

第139話 ギルバートとルーヘンの酒場での話！

ここは、王都にあるとある酒場である。色んな人がいる中でも特に冒険者が多く酒場は賑わっている。その中に見慣れた二人が酒を飲みながら話していた。

「久しぶりだな。お前から誘われた時は、どうしたかと思ったぞ」

「ハハハ、そうですか？久しぶりにギルバート騎士団団長と飲みたくなりましてね」

どうやらルーヘンがギルバートを誘って飲みに来たようである。

「元騎士団団長だ。ギルバートと呼べ。それに、今は王立学園の教師だよ。お前こそ聞いた話では、勲章を受け取ったらしいな。あの遊び人のルーヘンが？とその時は、ぶったまげたぞ」

「少し気に入ったやつがいましてね。死なれては困ると思い、陛下にお願いをして助けに行っただけです。ですが、私など不要でしたけどね。上には上がいると痛感しました。それよりギルバートさん、まだ教師を続けていたんですね」

ルーヘンとギルバートは、酒を一気飲みして、次の酒を給仕の女性に注文する。

「あぁ、教師は、彼女から託されたことであり俺への戒めだからな。それより、助けたいと思えるやつが現れたか...以前のお前なら考えられないことだな。それに、どうだ？敵わぬ相手を前にして訓練がいかに大切かわかっただろう？俺が何度言っても、以前のお前はいつも抜け出していたからな」

「ですか、もう彼女の受け持っていた生徒は5年も前に卒業したではありませんか！そろそろ騎士団に戻ってきてはどうですか？みんな待っていますよ！」

いきなり席を立って叫ぶように言うルーヘン。周りが何事だと一斉にギルバートとルーヘンの方を見る。ギルバートは、咄嗟に「皆様、迷惑をかけて申し訳ない。ここにいる全員にエールを一杯ずつ奢らせてもらうから注文してくれ」と言う。それを聞いた客達は、先程のことは忘れて大盛り上がりでエールを注文する。

「すいません。取り乱してしまいました。ですが、戻ってきて貰いたいのは事実です。何故、そこまで執着す「黙れ！それ以上は、お前でも容赦しないからな」」

静かなトーンでルーヘンを威圧するギルバート。どうしても忘れられない過去があるようである。ギルバートの逆鱗に触れてしまったルーヘンは、その威圧を受けて黙るしかなかった。

「ふぅ～ルーヘンすまない。過去を思い出してしまった...もうこの話は終わりだ。最近うちの学園におもしろいやつが現れてな。入学試験で演習場を破壊するわ。学園をめちゃくちゃにするわ。最近も授業初日に問題を起こすわで大変なことになってるんだ。まぁ、おもしろい生徒だな」

ルーヘンは、この時アレクの顔が頭をよぎった。最近入学してあの演習場をめちゃくちゃに出来る人物は一人しかいないじゃないかと。

「あの...その生徒ってアレクと言いませんか？」

それを聞いたギルバートは、まさかその名前がルーヘンの口から出ると思っておらず驚く。

「何故、お前が知ってるんだ。もしかして知り合いか？」

「やはりそうでしたか。先程話した助けたい人物とはアレクのことです。近々入学すると聞いていたので、そうかなと思いまして...でも、いきなりやらかしているとはアレクらしいですよ」

「なんだ、そうだったのか。確かに俺よりも強い少年ならルーヘンが目をかけるのもわかるな。それに、アレクは退学に対して恐れを抱いていないからか、正義を貫こうとしているようだ。俺が、どこまで守れるかわからんが、出来るだけのことはしてやりたいと思うやつだ」

「え？ギルバートさんより強いのですか？」

酒を飲んでいた手が止まり目を丸くして驚くルーヘン。

「あぁ、遥かに強いと思うぞ。スキルと経験でどうにか出来るレベル差ではないな...あれを騎士団に誘うのはやめておけ。持て余すだけだ。それなら、騎士団をやめてルーヘンが、アレクの部下になった方がいいと思うぞ。まぁ、冗談だけどな。ガッハッハッハ」

ルーヘンは、「部下か...将来的には悪くないね」と独り言のように呟き始める。

「お、おい。相手は強いと言っても12歳だぞ。本当に部下になるつもりか？まだ将来どうなるかもわかってない少年の！」

「やることがなくて給料面で騎士団になりましたからね。将来、アレクが必要としてくれるなら部下もやぶさかではありませんよ」

ギルバートは、冗談で言ったつもりが、結構本気で考え始めるルーヘンに、冷静になって考え直せと思うのだが、酒も入っているし明日になったら忘れているだろうと思い、それ以上何も言わないで聞き流す。

「まぁ、将来おもしろいやつになっているのは間違いないし、それまでは俺達大人が陰で支えてやらないとな」

「そうですね。ギルバートさん、今日はとことん飲み明かしましょう」

「おい。俺は明日も仕事だ。飲み明かせるかぁぁ！」

そう言いながらも朝方までルーヘンに付き合うギルバートであった。そしてその日は、二日酔いになり、まともな授業ができなかったのは言うまでもない。