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第9章 学園での再会と新たな出会い

第132話 え?フラグ...俺は回収したくありません!

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卒業後、まさかの爵位を貰うことになったアレク。だが何故、12歳かつストレン領を救っただけで爵位が与えられるんだという疑問も抱いていた。

「え?えぇぇ~~!ちょっ、ちょっと待って下さい。私に爵位ですか?」

「そうだ。爵位は男爵位にするつもりだ。更に、数年後には伯爵位まで昇爵するつもりでおるから、何か功績を立ててくれんと困るぞ」

おいおい!この目の前にいるおっさんは、何を言い出してるんだと思うアレク。

「へ、陛下、どういうことですか?流石に、伯爵位と聞いては、何かあると思ってしまいますよ。詳しくお聞かせ下さい」

「やはり、わかってしまうか。エリーゼはわかるな?エリーゼが、アレクくん以外とは結婚したくないと言うのだ。余としては、エリーゼの幸せを考えてやりたいのだが、最低でも伯爵でないと結婚は認められん。だから、アレクくんには伯爵になってもらいたいと考えている」

エリーゼはこの数年間、着々と外堀を埋めていたのだ。陛下も、エリーゼが本気だとわかると、どうすればエリーゼの願いを叶えれるのかと考えていたのである。

「ちょ、ちょっと待って下さい。私とエリーゼ王女様がですか?しかし私は、すでに別の女性と婚約をしているのですが...」

「何か問題があるのか?エリーゼとその女性二人と婚約して結婚すれば問題なかろう。対外的に、エリーゼが第一夫人になるが、それ以外に何があるというのだ?」

「まだエリーゼ王女様のことをよく知りませんし、婚約するというのは...」

「余のかわいい娘と結婚できんというのか?どうなんだ!アレクくん」

アレクに、ズイッと顔を近付けて話し出す陛下。顔は笑っているが、わかっているだろというような圧力をかけてくるのである。

アレクは、脅迫地味た感じが凄く不快に感じる。もうどうにでもなれという思いで陛下に進言する。

「そんな圧力をかけても、今婚約している相手しか見れません。決して、エリーゼ王女様が悪い訳ではなく、私は、よく知らない相手とは婚約できません。それに、爵位もいりません」

「な、それはまことか?うむ...少し思うところはあるが...そこまで、ハッキリ言われると余からこれ以上言ったところで変わりはせぬか...エリーゼも聞いておったな?」

「はい...お父様...ですが私は諦めません。振り向かせてみせます。だって、お互いを知ればいいということですから」

隠し部屋のようなところから、ノソっと出てくるエリーゼ。今までの話を全て聞いており、この全てが陛下とエリーゼとの策略だったのだ。アレクは、この父にしてこの娘ありだな思うのであった。

「エリーゼ王女様!そこで何をしているのですか?陛下も、これはどういうことですか?」

「エリーゼが、アレクくんが来るなら気持ちを確かめたいと言っておってな。仕方なくなんだ。悪かったと思っておる。すまなかった」

陛下は、膝に手を突きながらアレクに謝る。それを見たアレクは、まさか謝られるとは思っていなかったので慌ててしまう。

「陛下、頭をお上げください。しかし、今はまだ私の気持ちは変わりません。エリーゼ王女様、仲のいい友人として付き合って頂けると嬉しいです」

「アレク様、今は友人としてお付き合いします。でも、諦めたくないのです。片思いでいさせて下さい」

諦めてほしいなと心の中で思いながらも、人の気持ちまで否定はできないなと思うアレク。

「片思いに関しては、何も言えません。でも、気持ちは変わらなければエリーゼ王女様を悲しませてしまいますよ」

「大丈夫です。私強いですから」

「アハハ、そうですか~」

アレクは、その強いエリーゼに対して笑うしかなかった。これから、どうなるのだろうと思うのであった。



「アレク様、災難でしたね。話を聞いていると、このままでは終わりそうにないですが...」

波乱だらけだった王城から解放されて、今は帰りの馬車の中にいる。

「諦めてくれないかな?王女様なんて荷が重いよ。それに、こんなモテたことないからどうしたらいいかわからないし」

「そうですよね。私でもお断りします。畏れ多すぎます。それから、学園でも色々大変になると思いますよ?」

「もうその話やめて...十分わかってるから。今は、何も考えずにマンテ爺のモフモフを楽しむよ」

マンテ爺を手でモフモフしながら顔を埋めるのであった。マンテ爺とパスクは、目が合い
ヤレヤレと言う顔をするのだった。
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