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第9章 学園での再会と新たな出会い

第131話 卒業後にまさかの...成り上がり?

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見事入学が決まったアレクであるが、まだ難題が一つ残っているのだ。何かと言うと陛下と会うことである。普通なら、貴族の子息が陛下と直接会うなど有り得ないからだ。

「アレク様、お似合いですよ。これでやっと貴族らしくなりましたね」

「パ・ス・ク~貴族らしいってなに?普段は見えないってこと?」

「はい!冒険者にしか見えませんよ。う~ん?でも顔はかわいいですから、貴族に見えなくもない...ですかね」

「ブホッ!なんちゃって貴族にしか見えないって。一応伯爵の息子なんだけどな。まぁ、貴族にこだわりはないからいいんだけどさ。それより、何度着ても着慣れないよ。ゴワゴワする...」

ブロケードコート・ベスト・ズボンを着たアレクは、首元を触りながら不快な顔をする。ちなみに、ブロケードコート・ベスト・ズボンとは、シルクやベルベットなどの生地に金糸や銀糸で模様を刺繍した豪華な服である。

「将来、何があるかわかりませんから、今のうちから慣れておきましょう。では、そろそろ時間ですのでそろそろ参りましょうか?」

それから、アレクとパスクは馬車に乗り込み、私兵のゼクとエリックを護衛につけて王城に出発するのであった。

ちなみに、オレールとスベアは、おやっさんの所に行っており、スベアの装備を揃えに行っている。

「ねぇ~パスク、王城にマンテ爺を連れて行っても大丈夫かな?」

「向こうに着きましたら、私と一緒に行動を共にすればよろしいかと。私と私兵達は、別室で待機だと思いますので」

「そうか。マンテ爺、長くなるかもだけどごめんね」

マンテ爺を膝の上に乗せながら謝る。最近マンテ爺が癒やしになっていて、出来れば一緒に連れて行きたかったなと思っているアレクであった。

「ワシのことは気にせんでええぞい。パスクと軍棋でもして待っておるわい」

軍棋とは、チェスと将棋を混ぜたようなゲームで、昔からこの世界で流行っているのだ。アレクが昏睡状態にいる間、ヨゼフがマンテ爺に教えたところ、見事にのめり込んでしまった。

「マンテ爺は、軍棋好きだよね。もう父上より強いんでしょ?」

「人間も面白い物を考えよるわい。うむ。ヨゼフには210勝205敗くらいじゃったかな?じゃが、パスクには負け越しておるわい」

400戦以上ってやり過ぎだろうと思う。しかし、パスクが、そんなに強いとは思っていなかったアレクは驚くのであった。

「パスクって、そんなに強かったの?」

「魔族の間なら普通だと思いますよ。小さい頃から軍棋を与えられて、遊びながら学ぶのです。魔族の貴族は、軍を率いてやっと1人前になれますから。だから、文官より武官の方が重宝されます」

魔族の貴族も大変だなと感じるアレク。
人族よりも戦に強いのは、こういう文化あるからである。

「へぇ~、人族とは全然違うね。軍棋は、貴族の娯楽で用いられるし、文官も武官も同じように重宝されるからさ」

トントントン

「お話し中のところ申し訳ございません。王城に着きましたので、手続きの準備をお願い致します」

私兵のエリックが知らせてくれたので、話を切り上げて貴族証と王印が捺された手紙を用意して門番に見せる。門番が、王印入りの手紙を確認すると、すぐに門番の一人が王城内に知らせに行く。
暫くすると、宰相のアントンがやってくる。

「アレクくん、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。陛下は、すでにお待ちですので参りましょう。お連れ様は、私の横にいるバトラーがご案内致しますので、バトラーについて行って下さい」

バトラーは、パスク達に挨拶をして別室に向うのであった。

「宰相様、お久しぶりです。色々ありましたが、今は元気に過ごしております」

「私もですが、陛下も昏睡状態にあると聞いた時は、心配しておりました。本当にお目覚めになられて何よりです」

アントンと他愛もない話をしていると、陛下が待つ部屋に着いたのか、アントンがノックをして入室の許可を求める。

トントントン

「アントンです。アレク様をお連れ致しました」

「入室を許可する」

陛下からの許可がおりたので、アントンとアレクは、陛下が待つ部屋へと入る。

「アレクくん、久方ぶりであるな。もう体の方はよいのか?」

「はい!お陰様で、以前よりも体調は良いくらいです。陛下もお元気そうで何よりです」

事前にアントンから何も言われていないのと、陛下もラフな格好をしているので、公式の場ではない為、膝をついての挨拶などはない。

「元気にしておる。それよりも、話したいことがあるから座ってくれ」

「では、失礼します」

言われた通りに座って、陛下が話し始めるのを待つ。普通なら使用人がお茶を淹れてくれるのだが、アントンが代わりに淹れているということは、大事な話なのだろうと察するアレク。

「アントンすまんな。アレクくん、茶でも飲みながら話をするとしよう。まずは、此度のストレン領襲撃に対し、身を挺して撃退してくれたこと感謝する」

「いや...それは、仲間がいてくれたからこそです。それに、陛下が第3騎士団を派遣して頂かなければ、今頃どうなっていたか...」

「それについては、ルーヘンから話は聞いておる。それに、アレクくんが寝ている間に、第3騎士団と今回関わった者には勲章と褒賞金を授与しておる。あとは、アレクくんだけなのだ。そこでアレクくんには、卒業後すぐに叙爵することにした」

アレクは、驚きのあまり心の中で「えぇぇ~」と叫ぶのであった。
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