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第9章 学園での再会と新たな出会い

第126話 パスクの家族の症状が明らかに!

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木でできた車椅子のような物に乗せられた2人の女性と虚ろな顔をした少年と虚ろな顔をした壮年の男性が立っていた。
女性二人と少年には、目立った外傷はない。壮年の男性は片腕が無く、元は立派だったでろう角が真ん中から折れている。

「本当に、お買いになられるのでしょうか?父親の魔族は、もう使い物にならないでしょうし、他の魔族も外傷はなくとも立つことが出来ない者もいます。それに、呪いも掛けられており全員が虚ろな状態ですよ」

「大丈夫です。ドルチェさんだから言いますが、パスクの家族なんですよ。だから、どんな状態だろうと連れ帰りたいと思います」

それを聞いたドルチェは、頷いて納得する。それから、手続きはパスクと同じように、契約書のようなものが置かれてアレクと奴隷になる人物の血を垂らす流れであった。奴隷紋も同じで手の甲に刻まれる。

「これで手続きは終わりです。ご不明点が無ければパスク様を奴隷から解放したいと思うのですが、いかがでしょうか?」

「はい!パスクを解放してあげてください」

ドルチェが呪文のようなものを唱えて手のひらをパスクの奴隷紋にかざすと奴隷紋は綺麗に消えて無くなる。

「これで終わりです」

「ありがとうございます。パスクおめでとう。これで自由だよ。でもまだまだ働いて貰うけどね」

アレクは、パスクの顔を見ながら自由になったことを心から喜ぶ。パスクも、そんなアレクの喜ぶ姿を見て自然と笑みが溢れる。

「はい!嫌と言われても一生アレク様に付いていきます。それと、家族をありがとうございます」

「いいよ。大事な家族なんだから当たり前でしょ。それより、ドルチェさん代金を払っていないのですが...」

スムーズに奴隷契約が完了してしまった為に、代金を払うことをすっかり頭から抜けていたアレク。

「代金は不要です。昔セバス様にお世話になったことがありまして、その時の恩返しだと思って頂ければと思います」

「う~ん...それは流石に悪い気がします。なので、足りるかわかりませんが、金貨5枚をここにいた間の食事代としてお渡し致します」

流石に、無償は悪いなと感じたアレクは、断れないように金貨5枚をドルチェの手に握らせて渡す。

「不要と言いながら受け取ってしまい申し訳ないのですが、有り難くちょうだい致します」

手に握らされてしまっては断ることができなかったのだ。
その後は、パスクと二人で車椅子を押しながら、少年と壮年の男を連れて行く。

「本日はありがとうございました。また奴隷が必要でしたら、いつでもお越し下さい」

「普段は、ストレン領にいますが、王都に来た際は寄らせて頂きます」

そう言って、お店を後にする。
奴隷を連れて宿に戻る道中も、パスクの家族は虚ろな目をして一言も話さない。更に、パスクのことがわかっていないのか、パスクを認識する素振りすらない。

「心配だろうけど宿に着いたら、ちゃんと診断をするから。まぁ診断しなくてもエリクサーで治してしまえばいいんだけどさ」

アレクは、パスクを心配させないように話しかける。

「ありがとうございます。アレク様が、ご主人様で本当によかったです」

「もうパスクは、奴隷じゃないからご主人様とは思わなくていいのに」

「いえいえ、そこはお譲りできません。アレク様は、私にとって一生ご主人様です」

何故か、これでもかと胸を張って自慢気に言ってくるパスクに、アレクはアハハと笑うのであった。

そして宿に着くと案の定、汚い奴隷は泊まらせることができないと言われる。アレクは、その場でクリーンをかけて奴隷を綺麗にして、すぐに服を買ってくるようにパスクに命令をする。
仕方ないことだとわかってはいるが、宿屋の対応と差別をするような目に苛立ちを覚えたアレクは、貴族の証を見せて部屋を用意するように言う。宿屋の主人も、貴族とわかると手の平を返したように対応が変わる。そして、すぐに部屋が用意される。アレクは、そんな対応を見ていると嫌気が差して、宿屋の主人には顔を合わさずに用意された部屋へと奴隷を連れて行くのであった。

「診断」

患者:スペイビズ・ディ・ジャンティリ
病名:呪いレベル8 左腕欠損 魔角欠損 
症状:レベル低下、能力低下、魔力欠乏、衰弱
感染:媒介確率なし
余命:1年

患者:アギケ・ディ・ジャンティリ
病名:呪いレベル8
症状:レベル低下、能力低下、魔力欠乏
感染:媒介確率なし
余命:462年

患者:マスカレード・ディ・ジャンティリ
病名:呪いレベル8 肝臓損傷 両足アキレス腱断裂
症状:レベル低下、能力低下、魔力欠乏、衰弱、血圧低下、意識混濁、内出血、歩行不可
感染:媒介確率なし
余命:3ヶ月

患者:エメラルダ・ディ・ジャンティリ
病名:呪いレベル8  両足アキレス腱断裂
症状:レベル低下、能力低下、魔力欠乏、衰弱、歩行不可
感染:媒介確率なし
余命:423年

パスクの父親と母親らしい人物は、かなり危険な状態で、すぐにでもエリクサーを飲ませないといけない状態であった。

「これはパスクが帰ってきたら、すぐに治療しないと。それにしても、なんでこんな酷い状態なんだろう...」

アレクは、酷い状態の家族を見ながら呟くのであった。
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