上 下
22 / 28
第2章 新たなお客様登場

第22話 無邪気の裏に隠された悪巧み!

しおりを挟む
「精霊王様、申し訳ございません!」

獣王の息子が、会談に訪れた精霊王に対して頭を下げて謝罪をする。

「う~ん!?どうしたの?また獣王が遅れるとかかな?」

色白の金髪で10代前半くらいの見た目をした美少年が、微笑みながら話し出す。

「そ、それが、大魔法使いガンダルフ様とどこかに行かれたみたいでして、私と会談するよう言い残して消えてしまいました」

精霊王を前にして、緊張しながら申し訳なさそうに話す。しかし、精霊王は一切気にする様子もなくニコニコ微笑み話を聞いているのだ。

「ん~、ガンちゃんとかぁ~!見つけたよ!結構遠くにいるね!へぇ~加護を持った少女を護衛するフェンリルと魔物達かぁ~おもしろいなぁ」

緑色だった精霊王の目が金色に変わって、何かを見るように遠くを見据えたあと、香菜達の様子を語りだす。

「加護を持った少女とフェンリル様ですか!?そのような場所に、父は何をしに行かれたのでしょうか?」

獣王の息子は、父親が何かに巻き込まれているのか?何か大変な場所にいるのではないか?と心配になる。

「アッハハハ、心配いらないよ。和やかな様子だしね。う~ん?どうしようかな?このまま行ってもおもしろくないしなぁ!あっ!そうだ!」

精霊王は、何かを思いついて目を瞑る。そして、暫く経つと部屋の扉が開いて、ドレスを着た綺麗な顔立ちの人狼の女性が入ってきた。

「精霊王様、遅くなってしまい申し訳ございません!」

人狼の女性は、ドレスにも関わらず片膝をついて精霊王の前に行き挨拶をする。

「ドルシー久しぶり!獣王とガンダルフが、ある場所に行っちゃってね。会談が出来ていないんだよね。それで、今から行こうと思うんだけどついてきてくれないかな?」

精霊王は、念話を使ってドルシーを呼び出したのだ。

「精霊王様、誠に申し訳ございません!あの馬鹿を引きずってでも連れ帰ります!今すぐ、私とケイリックを連れて行ってください」

ドルシーは、息子のケイリックとともに、獣王を連れ戻すと豪語する。それを見た精霊王は、微笑みながら手をかざして待つような仕草をする。

「向こうに着いたら、加護持ちの少女とフェンリルがいるから、その二人には手を出さないようにね」

「フェンリル様がいらっしゃるのですか?それに、加護持ちの少女!?うちの旦那は、何をしてるのよ......」

ドルシーは、驚きを通り越して呆れてしまう。そして、頭を抱えたまま小声で呟くのだ。

「それじゃあ、僕の近くに集まって!転移を使うからさ」

それを聞いたドルシーとケイリックは、慌てるように精霊王に駆け寄る。二人が来るとすぐに、呪文を唱えて転移の準備をする。

「じゃあ、行くよ」

精霊王が、そう言うと三人は、その場から姿を消すのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界屋台経営-料理一本で異世界へ

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
松原 真人(35歳)は、ある夜に自分の料理屋で亡くなってしまう。 そして、次に目覚めた場所は、見たことない木で出来た一軒家のような場所であった。そこで、出会ったトンボという男と異世界を津々浦々屋台を引きながら回り、色んな異世界人に料理を提供していくお話です。 更新日時:不定期更新18時投稿 よかったらお気に入り登録・感想などよろしくお願いします。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

ああああ
恋愛
クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

エロゲーの悪役に転生した俺、なぜか正ヒロインに溺愛されてしまった件。そのヒロインがヤンデレストーカー化したんだが⁉

菊池 快晴
ファンタジー
入学式当日、学園の表札を見た瞬間、前世の記憶を取り戻した藤堂充《とうどうみつる》。 自分が好きだったゲームの中に転生していたことに気づくが、それも自身は超がつくほどの悪役だった。 さらに主人公とヒロインが初めて出会うイベントも無自覚に壊してしまう。 その後、破滅を回避しようと奮闘するが、その結果、ヒロインから溺愛されてしまうことに。 更にはモブ、先生、妹、校長先生!? ヤンデレ正ヒロインストーカー、不良ヤンキーギャル、限界女子オタク、個性あるキャラクターが登場。 これは悪役としてゲーム世界に転生した俺が、前世の知識と経験を生かして破滅の運命を回避し、幸せな青春を送る為に奮闘する物語である。

処理中です...