5 / 28
第1章 転生したら少女になった
第5話 フェンリルと香菜の共同作業!フェンリルも、調理しちゃうよ!
しおりを挟む
「まずは、玉ねぎを切っていこう」
玉ねぎを大量に用意して、軽快にみじん切りしていく。しかし、いつものように涙で目が真っ赤になってしまう。
「うぅ......目が痛いよぉぉぉ!まだまだ玉ねぎいっぱいだよ」
いつもならば、玉ねぎ100gくらいをみじん切りにすればいいだけなのだが、今回はそうも言っていられない程の量を用意しなくてはならないのである。
「うむ!辛そうであるな!それを細かく切ればよいのか?」
「え!?もしかして、フェンリルさん!?」
香菜は、驚きながら声のする方を見ると、そこには小さい真っ白なモフモフのワンちゃんがいたのだ。
「そうだが!ん?あぁ、この姿か!俺くらいになると大きさなど自由に変えられるのだ!それで、こいつをこのように切ればよいのだな?」
「うわぁぁぁぁ!可愛いぃぃぃ」
香菜は、包丁を置くと、すぐに小さくなったフェンリルを抱えてモフモフしだす。
「ぐふぉ!おい!やめるのだ!離せ~」
フェンリルは、抵抗するが香菜は一切離す気がない。フェンリルも、香菜が悪意を持った行動ではないとわかっているので、攻撃ができないでいる。
「ヤダ!モフモフを堪能するまで離さないもん」
香菜は、長い時間モフモフを堪能して、やっとフェンリルを離す。
「ハァハァハァ、やり過ぎだ!やられる方の身になってみろ」
フェンリルは、ヨタヨタ歩きでグッタリとしてしまう。
「ごめんなさい!こんなふわふわで可愛いワンちゃん初めてだったから......」
香菜は、悪いことをしてしまったなと、下を向いて落ち込む。
「次から気を付けるのだぞ!それと、俺は神獣である!そこらの獣と同じではない!わかったな」
「気を付けます!でも、我慢できない時は、モフモフさせてください!ん?神獣?ってなに?」
フェンリルは、肉球を額に当ててヤレヤレといった感じで呆れてしまう。
「もうよいわ!神獣については、あとで教えてやる。それよりも、料理を作っていたのであろう?これを、切ったらよいのだな?」
フェンリルは、香菜に何を言っても駄目だと察して、話を戻すことにした。
「あっ!料理をしていたのすっかり忘れていた!えっと......フェンリルさんが、玉ねぎを切るの?その手だと包丁握れないよ?」
「包丁など使わん!ここに、玉ねぎとやらを放り込むのだ!投げてみろ」
フェンリルが、前足を上げると空中に、球体が現れた。中をよく見ると竜巻のように風がクルクルと回転している。
「うん!よくわからないけど投げるね」
香菜は、球体に向かって玉ねぎを投げる。すると、球体が勢いよく回転して、気付いたらまな板の上にみじん切りになった玉ねぎが出来上がっているのだ。
「えっ!?えぇぇぇ!どうなってるの!?」
香菜は、玉ねぎが一秒くらいでみじん切りになっている光景を目の当たりにし、目を丸くして驚く。
「風魔法である!そんなことはよい!さっさと玉ねぎを投げるのだ」
「魔法!凄い凄い!私も、魔法使いたいよぉぉぉ」
香菜は、どんどん球体に玉ねぎを放り込んでいき、山のような玉ねぎのみじん切りが出来上がっていく。
「お主には、無理であるな!魔力が一切ない!それと、武の才能も皆無である。何故、この森で生き残っておるのかが、不思議なくらいであるぞ」
「そっか......魔法使いたかったけど、ないなら仕方ないね。ん~と、ここに来た経緯は、あとで話すね」
香菜は、女神の言葉を思い出す。自分が魔法や戦闘に必須なスキルを一切願わず、生きるために特化したお願いをしたことで、魔力がなく武の才能もないことを理解するのだ。
「うむ!あとで、聞かせてもらうとしよう!それより、もう玉ねぎとやらは良いのではないか?」
気付くと、玉ねぎのみじん切りは大量に出来ており、まな板からはみ出るくらい山盛りになっているのだ。
「あっという間に出来上がったから、ついつい楽しんじゃったよ。やり過ぎちゃったね」
香菜は、エヘヘと笑って照れた顔をする。それから香菜は、バターをフライパンに入れて溶かす。その後、玉ねぎを入れてあめ色になるまで炒めるのだ。
「うむ!不思議なことをするのであるな!俺は、生でしか食さんのでな!これが、人間の言う調理なのだな」
フェンリルは、香菜の行動をジーっと見ながら観察をしている。
「よりおいしくするために調理をするんだよ。あとは、人間は弱いから、物によっては、生で食べるとすぐお腹を壊しちゃうからね」
「ほう!弱いからこその知恵と探究心の賜物というわけであるな!」
フェンリルは、頷きながら感心しているようだ。香菜は、そんなフェンリルを見て可愛いなと思いながら、牛豚合い挽きとパン粉と卵を入れてかき混ぜる。すると、フェンリルがひょこっと顔を覗かせて見てくるのだ。
「俺も、手伝ってやろう」
「え?嬉しいけど、毛が入っちゃったら駄目だから、今回は見ていてくれると嬉しいな」
流石に、フェンリルの可愛い肉球とモフモフでは、こねる作業を任せられないと思う香菜。
『香菜とリルちゃん、これをプレゼントしちゃうね!あ!ちゃんと、私の分もお供えしてね。じゃ、またね~』
どこからともなく女神の声が聞こえたと思ったら、フェンリルの手にフェンリルの可愛い似顔絵付きの料理用手袋がはめられていたのだ。
「え?女神様!?」
「うむ!女神様であったな!それよりも、女神様が待っておるのなら、早く作らねばならぬ!香菜よ、急ぐのだ」
初めてフェンリルが、香菜と名前で呼ぶ。そして、女神様から授かった料理用手袋をキュッとはめ直して、フェンリルはやる気満々の顔をするのだった。
玉ねぎを大量に用意して、軽快にみじん切りしていく。しかし、いつものように涙で目が真っ赤になってしまう。
「うぅ......目が痛いよぉぉぉ!まだまだ玉ねぎいっぱいだよ」
いつもならば、玉ねぎ100gくらいをみじん切りにすればいいだけなのだが、今回はそうも言っていられない程の量を用意しなくてはならないのである。
「うむ!辛そうであるな!それを細かく切ればよいのか?」
「え!?もしかして、フェンリルさん!?」
香菜は、驚きながら声のする方を見ると、そこには小さい真っ白なモフモフのワンちゃんがいたのだ。
「そうだが!ん?あぁ、この姿か!俺くらいになると大きさなど自由に変えられるのだ!それで、こいつをこのように切ればよいのだな?」
「うわぁぁぁぁ!可愛いぃぃぃ」
香菜は、包丁を置くと、すぐに小さくなったフェンリルを抱えてモフモフしだす。
「ぐふぉ!おい!やめるのだ!離せ~」
フェンリルは、抵抗するが香菜は一切離す気がない。フェンリルも、香菜が悪意を持った行動ではないとわかっているので、攻撃ができないでいる。
「ヤダ!モフモフを堪能するまで離さないもん」
香菜は、長い時間モフモフを堪能して、やっとフェンリルを離す。
「ハァハァハァ、やり過ぎだ!やられる方の身になってみろ」
フェンリルは、ヨタヨタ歩きでグッタリとしてしまう。
「ごめんなさい!こんなふわふわで可愛いワンちゃん初めてだったから......」
香菜は、悪いことをしてしまったなと、下を向いて落ち込む。
「次から気を付けるのだぞ!それと、俺は神獣である!そこらの獣と同じではない!わかったな」
「気を付けます!でも、我慢できない時は、モフモフさせてください!ん?神獣?ってなに?」
フェンリルは、肉球を額に当ててヤレヤレといった感じで呆れてしまう。
「もうよいわ!神獣については、あとで教えてやる。それよりも、料理を作っていたのであろう?これを、切ったらよいのだな?」
フェンリルは、香菜に何を言っても駄目だと察して、話を戻すことにした。
「あっ!料理をしていたのすっかり忘れていた!えっと......フェンリルさんが、玉ねぎを切るの?その手だと包丁握れないよ?」
「包丁など使わん!ここに、玉ねぎとやらを放り込むのだ!投げてみろ」
フェンリルが、前足を上げると空中に、球体が現れた。中をよく見ると竜巻のように風がクルクルと回転している。
「うん!よくわからないけど投げるね」
香菜は、球体に向かって玉ねぎを投げる。すると、球体が勢いよく回転して、気付いたらまな板の上にみじん切りになった玉ねぎが出来上がっているのだ。
「えっ!?えぇぇぇ!どうなってるの!?」
香菜は、玉ねぎが一秒くらいでみじん切りになっている光景を目の当たりにし、目を丸くして驚く。
「風魔法である!そんなことはよい!さっさと玉ねぎを投げるのだ」
「魔法!凄い凄い!私も、魔法使いたいよぉぉぉ」
香菜は、どんどん球体に玉ねぎを放り込んでいき、山のような玉ねぎのみじん切りが出来上がっていく。
「お主には、無理であるな!魔力が一切ない!それと、武の才能も皆無である。何故、この森で生き残っておるのかが、不思議なくらいであるぞ」
「そっか......魔法使いたかったけど、ないなら仕方ないね。ん~と、ここに来た経緯は、あとで話すね」
香菜は、女神の言葉を思い出す。自分が魔法や戦闘に必須なスキルを一切願わず、生きるために特化したお願いをしたことで、魔力がなく武の才能もないことを理解するのだ。
「うむ!あとで、聞かせてもらうとしよう!それより、もう玉ねぎとやらは良いのではないか?」
気付くと、玉ねぎのみじん切りは大量に出来ており、まな板からはみ出るくらい山盛りになっているのだ。
「あっという間に出来上がったから、ついつい楽しんじゃったよ。やり過ぎちゃったね」
香菜は、エヘヘと笑って照れた顔をする。それから香菜は、バターをフライパンに入れて溶かす。その後、玉ねぎを入れてあめ色になるまで炒めるのだ。
「うむ!不思議なことをするのであるな!俺は、生でしか食さんのでな!これが、人間の言う調理なのだな」
フェンリルは、香菜の行動をジーっと見ながら観察をしている。
「よりおいしくするために調理をするんだよ。あとは、人間は弱いから、物によっては、生で食べるとすぐお腹を壊しちゃうからね」
「ほう!弱いからこその知恵と探究心の賜物というわけであるな!」
フェンリルは、頷きながら感心しているようだ。香菜は、そんなフェンリルを見て可愛いなと思いながら、牛豚合い挽きとパン粉と卵を入れてかき混ぜる。すると、フェンリルがひょこっと顔を覗かせて見てくるのだ。
「俺も、手伝ってやろう」
「え?嬉しいけど、毛が入っちゃったら駄目だから、今回は見ていてくれると嬉しいな」
流石に、フェンリルの可愛い肉球とモフモフでは、こねる作業を任せられないと思う香菜。
『香菜とリルちゃん、これをプレゼントしちゃうね!あ!ちゃんと、私の分もお供えしてね。じゃ、またね~』
どこからともなく女神の声が聞こえたと思ったら、フェンリルの手にフェンリルの可愛い似顔絵付きの料理用手袋がはめられていたのだ。
「え?女神様!?」
「うむ!女神様であったな!それよりも、女神様が待っておるのなら、早く作らねばならぬ!香菜よ、急ぐのだ」
初めてフェンリルが、香菜と名前で呼ぶ。そして、女神様から授かった料理用手袋をキュッとはめ直して、フェンリルはやる気満々の顔をするのだった。
3
お気に入りに追加
1,517
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
異世界ネット通販物語
Nowel
ファンタジー
朝起きると森の中にいた金田大地。
最初はなにかのドッキリかと思ったが、ステータスオープンと呟くとステータス画面が現れた。
そしてギフトの欄にはとある巨大ネット通販の名前が。
※話のストックが少ないため不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる