異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
199 / 203
最終章 新たな門出!

第196話 5年後の村と悩む拓哉!

しおりを挟む
拓哉が、魔境を訪れてから5年が経った。桜花とラリサは17歳になり、アニカは11歳になっていた。5年の間に色々あったが、どんなに住人が増えようと拓哉は頑として店を大きくしようとせず元の親しみ易い経営を続けている。村はどうなったかというと元々あった村は初期に訪れた小次郎 バルト リケ シャーリー ビーチェ マリー ヤミン ヤナ モニカ カイル アレン ボーン フェン一家 グラデュース テオフィロ ドゥルシッラと拓哉一家だけが住んでいる。拡張した区画にはダークエルフを始めとする他種族が多数住むようになった。
ちなみに、桜花とカイルは料理人の道を進み二人と従業員を数名雇って昼間に定食屋を経営している。まだまだ先だろうが、いずれ二人は結婚するのではと噂されている程だ。
ラリサは服飾関係に興味を見出したようで、ヤミンの服飾工房で働いている。二人は姉妹のような感じで仲が良く、売れ行きも好調である。アニカは、まだ11歳なので拓哉の店を手伝っているが、成人したらヴァレリーの直属部隊にスカウトされており、本人も乗り気なのでいずれは魔国で働くことになるだろう。シャーリーとビーチェは、ダークエルフを大量に雇い入れて広大な敷地を畑にして村内に卸したり、友好な関係の他国にも卸している。ヤナは意外にも次期村の村長になるべくアレンの元で部下として働いている。小次郎は剣の才能を見込まれて魔国に指南役として毎日行っている。ちなみに魔国の城と村にはゲートが設置されて自由行き来出来るようになった。マリーとボーンは、毎日何か開発をしていてゲートも二人の開発した物である。フェンは、8歳になったアカツキを連れて冒険者として活動している。アカツキは、8歳にして既にBランク冒険者になっているようだ。グラデュースとテオフィロとドゥルシッラは、上空からの警戒をずっと続けてくれており、迷い込んだ人を助けたり害を為す者を排除したりしてくれている。1度帝国が何万という兵を率いてやってきたが、一瞬にして焼き払ってしまったらしい。バルトとリケは、毎日何かを作っている。すでに他国が攻めて来ようとも、どうすることも出来ない要塞を作り上げている。それに、魔法銃も開発して村の自警団や門番に携帯させている。
そんな感じで、それぞれが己の道を進み始めているのだ。

「なんか村も変わってきたよな...それに最近ではアニカしかいないのも寂しく思えるよ」

昼間から店のカウンターに座りながらぼぉーと一言漏らす拓哉。その声は、虚しくも誰もいない店に悲しく響き渡る。

「なんじゃ、昼間からため息を吐きそうな言葉を言っておるんじゃ」

そこに現れたのは、5年間姿を見せなかった創造神であった。拓哉は、予期せぬ人物の来店と急に現れたことに驚くのであった。

「うわぁぁ...急にどうしたんですか?それにずっと来られないから心配していたんですよ」

「拓哉にとって悲しいお知らせを持ってきたんじゃ。使徒としての次の仕事じゃ」

拓哉は思わず「ん?ん?どういうこと?」となる。いきなり次の仕事だと言われても頭が?状態だ。

「えっと...どういうことですか?」

「ここでの使徒としての任務は終わったということじゃ。新たな地に拓哉を必要としておる民がおる。ちなみに、こことは違う世界じゃ。あと娘達は連れて行けんからそのつもりでのぅ」

「ちょ、ちょっと待ってください。新たな地で任務ですか?それに娘とは一生会えないのですか?」

せっかくこの地で基盤を作ってきたというのに、全てが無に帰すと思った拓哉は何を言っているんだと神様に思う。

「そうじゃ。困っておる民を救ってはくれぬか?それと一生会えん訳でない。半年に1度帰れる門を開けるようにしてあるんじゃ。どうにかお願いできんかのぅ」

拓哉は、身勝手過ぎると怒りを感じるが、またまた冷静沈着の所為で落ち着いてしまう。

「すぐには、答えを出すことは出来ません。今日はお帰り頂けませんか?」

「拓哉...すまんのぅ。答えが出たらワシのことを呼んでくれたらすぐ来るからのぅ」

そう言って去っていく創造神。拓哉は、徐ろに席を立ち厨房に行く。棚からビールジョッキを取り出してサーバーでビールを注いで2杯を一気飲みをする。更にもう一杯注いでアイテムボックスから鶏つくねともつ煮込みを取り出す。

まずは、黄身をつくねに付けて口に運ぶ。

「濃厚な黄身と濃い目のタレと絡んで口の中に広がるうまさ。それに、ザクザクとした軟骨が練り込まれていて食感も抜群だな。くぅ~ビールにも合う~!とりあえず今日は創造神の言葉なんか忘れて呑むぞ」

次に、口に運んだのはモツ煮込みである。

「このクニクニとした食感と甘い脂にピリっと効いた七味がいいな。それに、モツの味が染み出て野菜やこんにゃくにも染み込みうまさが倍増している。ぷはぁ~ビールとの相性も抜群だ。それにしても、こんなに呑んだのはいついらいだろう?魔国で呑んで以来かな?」

そんなことを考えているとバルトが酒の匂いを嗅ぎつけてやってくる。

「昼間から酒とは、何故ワシを呼ば...拓哉何があったんじゃ?とりあえずワシにもビールとそのモツ煮込みを寄こせい。それから話を聞いてやるわい」

やはりこんな時に頼りになるのは、昔からの友人だなと思う拓哉。言われた通りビールとモツ煮込みを用意してバルトの前に出すのであった。
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

処理中です...