異世界のんびり料理屋経営

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第9章 新たに集まるお客様!

第191話 料理とお酒でドワーフの気を反らせ作戦!

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店的に似合わないが、立食形式で食事を用意した拓哉はみんなに食べるように伝える。ちなみにお酒も大量に用意している。

「皆さん好きな物を取って食べてください。あとお酒も飲んでくださいね。ちなみに今までバルトがこの村に貢献してくれたことに対してのお礼として食事とお酒を用意しています。バルトに感謝して食べて下さい。それからバルトはここの大事な住人です。自ら出て行きたいというまで最大戦力で応戦致しますのでそのつもりでいて下さいね」

一見歓迎しているように見せながらも、バルトは絶対に渡さないという強い意志を見せる拓哉。建築に関して居てほしいのは当たり前なのだが、それよりも本当に仲間としてずっと居てほしいと心の底から思っているのだ。

ドワーフ側もバカではないので、さっきの圧倒的戦力を目の当たりにしては納得せざるを得ないでいる。しかし、目の前にある見たこともない料理と見たこともない酒に目移りしてしまい、バルトを連れ戻す目的など今はどうでもよくなっている。
そして、我慢できなくなったドワーフは料理とお酒に手を出すのだった。

「うめぇ~それにこの酒もうめぇ~」

「なんだなんだなんだ?これは神が呑んだと言われる酒なのか?」

「ちくしょ~こんなうまい飯と酒があるなんてよ。色々ずるいですぜ。バルト様」

このようにドワーフ達全員が料理と酒に舌鼓を打っている。

「バルト様、こんなおいしいお酒と感謝致します。このサクサクとした外側に中にはとろ~りとした卵、それにこのタレ...なんていう料理なのですか?それと、この冷たくて喉越しが素晴らしいお酒もなんですか?」

「これはスコッチエッグじゃな。驚いたじゃろ?サクサクの中から出てくる卵の黄身が堪らんのじゃよ。そして、この素晴らしい酒こそがビールじゃ!基本どんな料理にも合うんじゃ。この喉越しと苦味とシュワシュワがええじゃろ?」

バルトは、長くいるからかある程度の料理の名前も覚えている。なんだかんだ言いながら同郷の者と分かち合いながら呑んだり食べたりすることが嬉しいようだ。
そして、拓哉もバルトに話しかける。

「久しぶりの同郷の人達と会ってみてどう?もし帰りたくなったら言ってくれたらいいからな。でも正直な話...バルトがいなくなると寂しくなるけどな。友人がいなくなってしまうからさ」

「ブッハハハ!ワシはずっとここに居座り続けるわい。毎日新しい刺激にうまい料理にうまい酒を味わえるのはここしかないからのぅ。それに、ワシも友人と別れるのは辛いわい。あとのぅ、偶には同郷の者とおるのもええわい。じゃが、ワシには孫同然の愛弟子がおるからな」

照れ臭そうに語るバルトに対して、拓哉は素直な気持ちが聞けたと思いなんだか嬉しくなる。

「それよりバルトは、それが気に入ったんだね。確かに酒のつまみにはいいけどね」

バルトが気に入ったのは、からし蓮根である。

「普通の蓮根より柔らかいが、しっかりした食感に少しピリっとくる辛さと味噌の風味が混ざってうまいわい。それに、ビールにも日本酒にも合うんじゃ。最高だわい」

ドワーフは、本当に酒呑みの集まりだなと思う。そして、見渡すと3人くらいで酒を呑みながら歌っている人達やどうやったらこの酒が作れるのか談議している人達もいる。

「すいません。少しよろしいですか?」

そこに話しかけてきたのは、拓哉が話す前にバルトと言葉を交わしていたドワーフだった。

「どうしましたか?」

「この料理もお酒もあなたがお作りになられたのですか?素晴らしいの一言です。是非一度ドワーフ国に来て頂きたいのとお酒を売ってもらいたいのです」

やっぱりそう来るか~と思う拓哉。正直、ドワーフ国は面倒くさそうだし行きたくないのとお酒は売りたくないなと思った。絶対に切りがなくなるからだ。

「すいません。お店とこの村が第一ですからどこにも行く気はありません。それとお酒の交易も村以外の個人販売もしていないんですよ。門外不出の料理とお酒だと思ってください。ドワーフの方も自分の技術を同じドワーフ以外に伝授したりしないでしょ?それと同じです」

昔バルトから基本ドワーフは他人に技術を教えたりはしないと教わっていたので、それを理由に断る。では何故バルトがダークエルフなどに技術を提供しているかというと拓哉から新しい技術が載った本や資材を提供されて、誰かに伝えて広まる大切さも学んだからだ。ちなみに本の翻訳はボーンに頼んでいるらしい。

「ウッ...それを言われると納得せざるを得ないですね。ですが、諦められませんので、何か対価になるものを考えて売ってもらえるようにします」

拓哉は、絶対売らないけどねと思いながらも熱意が伝わり「頑張って下さい」と言う。
こうしてドワーフ達の連れ戻し計画を阻止?したのである。そしていまだにドルンは、外に放置されたままであった。
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