異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
191 / 203
第9章 新たに集まるお客様!

第188話 露天風呂で酒酒酒!ギーツが虜になる!

しおりを挟む
ギーツは宿に泊まって一夜を過ごした。森の中での寝泊まりとは雲泥の差で、人生初めての露天風呂に入り、ふかふかのベッドで寝ることができた。

「ふわぁぁぁ!久々によく寝たな。こんな気持ちよく起きられたのはいつ振りだろうか」

大きく伸びをして露天風呂に向かう。すっかりゆったりのんびりできる露天風呂を気に入ってしまったようだ。
それから、露天風呂につき脱衣場で服を脱いで浴場に行くと誰もおらず貸し切り状態であった。教えられた通りちゃんと頭と体を洗ってから湯に浸かる。

「ふぅ~」

体全体を伸ばしてから肩を揉んだり足を揉んだりして旅の疲れを癒やす。

ガラガラガラ

入ってきたのはグラデュースとテオフィロであった。ちなみにドゥルシッラは女性風呂に入っている。

「先客がいたようだな...おぉあの時襲われていた者か!」

「も、もしかしてあの時、助けてくれたのはお前なのか?」

「あぁ、だがすぐ気絶したからな。仕方なくここに連れてきたんだ」

「それは申し訳なかった...そしてありがとう。本当に助かったぞ」

今まで生きてきて敬語など習ったことがないので助けてくれた相手であってもこのような言葉遣いになるギーツ。グラデュースはこんな小さいことは気にもしない。
グラデュースとテオフィロも頭と体を洗って露天風呂に浸かる。そして、アイテムボックスから日本酒が入った徳利とお猪口を取り出して飲み始める。

「ぷはぁ!テオフィロやはり露天風呂と日本酒は最高だな」

「そうですね。仕事前と仕事終わりに露天風呂で日本酒を呑みながらゆっくりする...最高のひとときです」

そう言ってキュッと日本酒を呑むテオフィロ。ちなみにグラデュースもテオフィロも仕事前である。飲酒運転ならぬ飲酒飛行を毎日しているのだ。異世界ではなかったら自警団長のキュレーネが追い回していただろう。

「良かったらお前も呑むか?俺はグラデュースという。よろしくな」

ギーツにお猪口を渡して酒を注ぎ、自己紹介をする。

「おぉありがとう。俺はギーツだ。よろしくしてくれ。うむ...ん?ん?うまい。酒精は強いのに水のようにスッと入ってくるぞ!こりゃいいぞ。悪いがもう一杯くれないか?」

「おう。どんどん呑め」

グラデュースにお酌をしてもらうギーツ。次は一気に呑み干すのではなく、チビチビと酒の味を味わいながら呑んでいくギーツ。

「おっととと!溢れたら勿体ない勿体ない。グラデュースこんな極上の酒を何杯も申し訳ないぞ」

「気にするな。まだまだこんなにたっぷりあるからな。テオフィロも大量に拓哉から購入したよな?」

アイテムボックスから徳利を4本くらい取り出して見せるグラデュース。

「はい!ウイスキーとブランデーとビールも買いましたよ。風呂上がりに呑みますか?」

すっかり地球の酒が大好きになった二人は自分で呑むこと前提で大量購入していたのだ。

「おっ!風呂上がりにビール...いいな。くぅ~想像しただけでうまいって言ってしまいそうだ」

ギーツは知らない酒の名前がどんどん飛び交ってどんな酒なのか気になって仕方がない。

「俺の知らない酒ばかりだ。それはうまいのか?」

それを聞いた瞬間テオフィロが立ち上がる。

「何言ってんだよ爺さん。うめぇに決まってんだろ。よし!上がれ!呑ませてやる。それから拓哉さんに頼んでうまい酒のつまみを作ってもらうぜ」

そう言ってテオフィロはギーツを無理矢理引っ張って脱衣場に連れて行く。力で竜に抵抗できるはずもなくそのまま引っ張られていくのだった。グラデュースはヤレヤレと言う顔をしながらも自分もビールを呑む為に脱衣場に向かう。

「爺さん、ほら呑んでみろ!グラさんも用意してありますからどうぞ呑んで下さい」

グラデュースとテオフィロは、冷えた缶ビールをゴクゴクと飲み始める。ギーツも見様見真似で缶ビールを開けてゴクゴクと呑む。

「ぷはぁ!テオフィロありがとうな。やはり風呂上がりはビールに限るな」

「ぷはぁぁぁ!いえいえ誰かと分かち合いながら呑むのが1番うまいですから。で、爺さんうまいか?」

上を向きながら時が止まったかのように動かないギーツ。しかし、暫くするとゴクゴクゴクと喉が鳴り始めて1本丸々一気飲みをする。

「ぷはぁぁぁ...なんだぁぁぁこのうますぎる酒は!風呂上がりのカラカラの喉を癒やし火照った体を冷やし...いやそれよりこのキレのいい喉越しだ。今までの常識を覆してるぞ」

ギーツは風呂での日本酒と今呑んだビールを思い出して感動に打ちひしがれる。

「拓哉さんとこに行く前に、このつまみとビールを呑んでみ?うまいならきっとここに住みたくなるはずだぜ!」

テオフィロが出してきたのは、ちくわにチーズを挟んだ所謂ちーちくである。

「...うまい!その味、ビールに合わない訳がないぞ!ぷはぁぁぁ!チーズは食べたことはあるが、ここまで濃厚なチーズは初めてだ。濃厚さとビールがまた合うぞ。それにこの外側の食べ物は食感がおもしろい」

「だろ?やっぱり爺さんはわかる男だったぜ」

テオフィロとギーツは、心が通じあったように笑い合う。

「二人とも先行ってるからな。早くこいよ」

グラデュースは、さっさと着替えて朝飯を食べに行く。それを聞いて慌てて二人も着替えてあとをついていくのであった。
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...