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第7章 魔境村の日常生活
第178話 宰相ダミアンと手羽先とやみつきキャベツ!
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魔国宰相のダミアンは、自室の机に座りながら昔を懐かしんでいた。
宰相になって何百年経ちましたかなぁ?ヴァレリー様を補佐してからは、様々な出来事がありました。1番辛かったのは、戦闘がからっきしの私を戦場に連れていき指揮を取れと言われたことでしょうか?あの当時のヴァレリー様は、若さ故に無茶ばかりで血気盛んでしたなぁ。自分ができることは、周りもできると思い込んでおり、私の元に毎日嘆願書が届き苦労したものです。しかし、ある日、急に性格が丸くなられて、内政にも目を向けるようになり、部下達を気にかけるような発言や行動をするようになり、私も部下達も何があったのですか?とあの時は焦りましたなぁ。その理由が憩いの場を見つけて心に余裕ができたからという単純な事に私は思わず笑ってしまいましたなぁ。しかも、料理が絶品というおまけ付き。確かに、拓哉様の料理や酒は絶品でしたなぁ。あのヴァレリー様とセバスとジュドーとの飲み会は楽しかったですぞ。あ~また飲み食いしたくなってきましたなぁ。最近、ヴァレリー様の意向で部下達が長期休暇を取るようになりましたが、私も取れないでしょうか...ヴァレリー様に聞いてみますかなぁ。
早速、ヴァレリーのもとに向かう。
トントントン
「魔王様、ご相談があるのですが...」
「ダミアンではない。どうした?ソファーに座りながら話そうではないか」
昔のヴァレリーからは、想像できないような取っつきやすい性格になったなと思うダミアン。
「それで、相談とはなんだ?」
「あのですなぁ...私にも休みを頂けないかと思い参りました」
「なんだ。そんなことか。申請すればいつでも...ちょっと待て」
資料が積まれた中から1枚の紙を取り出してダミアンの前に置くヴァレリー。
「最近、部下から労働環境に対することを言われてな。俺なりに調べた所、悲惨な現状であった。それを踏まえて、この機会に労働環境を見直そうと考えたのだ。これが、素案だ。ダミアン含め、文官全員の休みを定期的取るよう調整し、年間で長期休暇を何処かで取れるようにしてはくれないか?武官は、各隊の将軍に調整依頼をするつもりだ。そして、ちゃんと実行されているかは、俺自ら監査し、行われていない場合は、責任者に懲罰を与えるつもりだ。とりあえず、2週間後で構わないから明日から3、4日は休暇を楽しむといい」
ダミアンは、感動していた。まさか、労働環境にまで目を向けるようになるとは思わなかったからだ。
「お任せ下さい。必ず部下が働きやすいように労働環境を整えて参ります」
「頼んだぞ。だが、とりあえずはダミアン自身が休み、英気を養ってから取り組んでくれ。疲れた体や頭では、いい案も浮かばんだろう」
ダミアンは、ヴァレリーの成長と優しさに思わず涙が溢れてしまう。
「どうしたのだ?そんなに労働環境が辛かったのか?すまぬことをしたな」
泣くダミアンを、労働環境が悪かったからだと勘違いして慌てるヴァレリーであった。
これから、数ヶ月後、部下達のやる気とヴァレリーへの忠誠度も上がり、仕事の生産性も上がったらしい。
そして、休みを取ったダミアンはというと、憩い亭に来ていた。
カランカラン
「いらっしゃいませ。ってダミアン様、お久しぶりです」
最近、魔国からよく珍しいお客さんが訪ねてくるなと思うラリサ。
「お久しぶりですなぁ。何か適当にお酒と料理をいくつか頂けませんか?」
「は~い!畏まりました。適当にお座り頂いてお待ち下さい」
ダミアンは、適当に席に座る。ヴァレリーから事前にどこに行くか聞かれて憩い亭と答えると、休暇中は会っても挨拶も会釈も要らないから思う存分楽しむようにと言われていたので、ヴァレリーの横を通り過ぎる時もお互い言葉も交わすことはなかった。ヴァレリーなりの配慮である。
「お待たせしました。手羽先とビールです」
席に座って暫くすると、あの時呑んだビールと見たことがないが、いい匂いがする料理が届く。「ありがとうございます」と言い、早速ビールを呑むダミアン。
「おぉ~このなんとも言えない辛口にキリッとした感じに素晴らしい喉越し。ですが、前呑んだものよりも泡がきめ細やかでおいしいですなぁ。って気付いたら飲み干してしまいましたぞ。ラリサさん、すいませんがおかわりをお願いします」
「は~い」と言って、注文を受けるラリサ。ダミアンは、次に手羽先なる料理を口にする。
「ん?ん?この食感と肉の旨味にピリっとくる香辛料...おいしいですなぁ。それに、パリっとした皮がまたなんとも言えません。これに、ビールが合わない訳がないじゃないですか。ぷはぁ~やっぱり...この組み合わせは暴力的ですぞ」
ラリサが次の料理と呑むだろうと予想して3杯目のビールを持ってくる。先読みされていたなと思わず苦笑いを浮かべるダミアン。
「ビールのおかわりとやみつきキャベツです」
次に来たのは、なんの変哲もないキャベツ。それを見たダミアンは少しガッカリする。
「ん?ただのキャベット?まぁ、頂きますか...え?これがキャベットですか?シャキシャキとして香辛料?いや?食べたことない優しい塩気を含んだ味わいに手羽先で、こってりした口の中をさっぱりとさせてくれるではありませんか。それに、ビールがまた合いますなぁ。くぅ~この考え抜かれた組み合わせを見抜けなかった過去の私を殴ってやりたいですぞ」
普段見せないようなコロコロ変わる表情や動きを見ていたヴァレリーは、こんな一面もあったのだなと思わず笑ってしまう。
ダミアンも、久しぶりの休暇を思う存分楽しむのであった。
宰相になって何百年経ちましたかなぁ?ヴァレリー様を補佐してからは、様々な出来事がありました。1番辛かったのは、戦闘がからっきしの私を戦場に連れていき指揮を取れと言われたことでしょうか?あの当時のヴァレリー様は、若さ故に無茶ばかりで血気盛んでしたなぁ。自分ができることは、周りもできると思い込んでおり、私の元に毎日嘆願書が届き苦労したものです。しかし、ある日、急に性格が丸くなられて、内政にも目を向けるようになり、部下達を気にかけるような発言や行動をするようになり、私も部下達も何があったのですか?とあの時は焦りましたなぁ。その理由が憩いの場を見つけて心に余裕ができたからという単純な事に私は思わず笑ってしまいましたなぁ。しかも、料理が絶品というおまけ付き。確かに、拓哉様の料理や酒は絶品でしたなぁ。あのヴァレリー様とセバスとジュドーとの飲み会は楽しかったですぞ。あ~また飲み食いしたくなってきましたなぁ。最近、ヴァレリー様の意向で部下達が長期休暇を取るようになりましたが、私も取れないでしょうか...ヴァレリー様に聞いてみますかなぁ。
早速、ヴァレリーのもとに向かう。
トントントン
「魔王様、ご相談があるのですが...」
「ダミアンではない。どうした?ソファーに座りながら話そうではないか」
昔のヴァレリーからは、想像できないような取っつきやすい性格になったなと思うダミアン。
「それで、相談とはなんだ?」
「あのですなぁ...私にも休みを頂けないかと思い参りました」
「なんだ。そんなことか。申請すればいつでも...ちょっと待て」
資料が積まれた中から1枚の紙を取り出してダミアンの前に置くヴァレリー。
「最近、部下から労働環境に対することを言われてな。俺なりに調べた所、悲惨な現状であった。それを踏まえて、この機会に労働環境を見直そうと考えたのだ。これが、素案だ。ダミアン含め、文官全員の休みを定期的取るよう調整し、年間で長期休暇を何処かで取れるようにしてはくれないか?武官は、各隊の将軍に調整依頼をするつもりだ。そして、ちゃんと実行されているかは、俺自ら監査し、行われていない場合は、責任者に懲罰を与えるつもりだ。とりあえず、2週間後で構わないから明日から3、4日は休暇を楽しむといい」
ダミアンは、感動していた。まさか、労働環境にまで目を向けるようになるとは思わなかったからだ。
「お任せ下さい。必ず部下が働きやすいように労働環境を整えて参ります」
「頼んだぞ。だが、とりあえずはダミアン自身が休み、英気を養ってから取り組んでくれ。疲れた体や頭では、いい案も浮かばんだろう」
ダミアンは、ヴァレリーの成長と優しさに思わず涙が溢れてしまう。
「どうしたのだ?そんなに労働環境が辛かったのか?すまぬことをしたな」
泣くダミアンを、労働環境が悪かったからだと勘違いして慌てるヴァレリーであった。
これから、数ヶ月後、部下達のやる気とヴァレリーへの忠誠度も上がり、仕事の生産性も上がったらしい。
そして、休みを取ったダミアンはというと、憩い亭に来ていた。
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最近、魔国からよく珍しいお客さんが訪ねてくるなと思うラリサ。
「お久しぶりですなぁ。何か適当にお酒と料理をいくつか頂けませんか?」
「は~い!畏まりました。適当にお座り頂いてお待ち下さい」
ダミアンは、適当に席に座る。ヴァレリーから事前にどこに行くか聞かれて憩い亭と答えると、休暇中は会っても挨拶も会釈も要らないから思う存分楽しむようにと言われていたので、ヴァレリーの横を通り過ぎる時もお互い言葉も交わすことはなかった。ヴァレリーなりの配慮である。
「お待たせしました。手羽先とビールです」
席に座って暫くすると、あの時呑んだビールと見たことがないが、いい匂いがする料理が届く。「ありがとうございます」と言い、早速ビールを呑むダミアン。
「おぉ~このなんとも言えない辛口にキリッとした感じに素晴らしい喉越し。ですが、前呑んだものよりも泡がきめ細やかでおいしいですなぁ。って気付いたら飲み干してしまいましたぞ。ラリサさん、すいませんがおかわりをお願いします」
「は~い」と言って、注文を受けるラリサ。ダミアンは、次に手羽先なる料理を口にする。
「ん?ん?この食感と肉の旨味にピリっとくる香辛料...おいしいですなぁ。それに、パリっとした皮がまたなんとも言えません。これに、ビールが合わない訳がないじゃないですか。ぷはぁ~やっぱり...この組み合わせは暴力的ですぞ」
ラリサが次の料理と呑むだろうと予想して3杯目のビールを持ってくる。先読みされていたなと思わず苦笑いを浮かべるダミアン。
「ビールのおかわりとやみつきキャベツです」
次に来たのは、なんの変哲もないキャベツ。それを見たダミアンは少しガッカリする。
「ん?ただのキャベット?まぁ、頂きますか...え?これがキャベットですか?シャキシャキとして香辛料?いや?食べたことない優しい塩気を含んだ味わいに手羽先で、こってりした口の中をさっぱりとさせてくれるではありませんか。それに、ビールがまた合いますなぁ。くぅ~この考え抜かれた組み合わせを見抜けなかった過去の私を殴ってやりたいですぞ」
普段見せないようなコロコロ変わる表情や動きを見ていたヴァレリーは、こんな一面もあったのだなと思わず笑ってしまう。
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