異世界のんびり料理屋経営

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第7章 魔境村の日常生活

第162話 小さな精霊とビーチェとアップルパイ!

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娘たちが、ボーンの授業を受けている間に、シャーリーとビーチェの所を訪ねて精霊について聞こうと向かっている。
やはり昼から農作業をしているがシャーリーはおらず、ビーチェだけが見えた。

「ビーチェ、農作業中ごめん。聞きたいことがあるんだけど」

声をかけるとすぐに、振り向いて手を振って応えてくれる。

「使徒様~、どうしたのですかぁ?」

やはりシャーリーは近くにおらず、ビーチェだけが畑仕事をしているようだ。

「ちょっとね。その前に、今日はビーチェだけなんだね」

「そうなんです~シャーリーは、バルトさんにこき使われて疲れて寝ていますよ。起こしてきますかぁ?」

確かに、建築中手伝わせたとかバルトが言っていたなと思い出す拓哉。

「いや、ビーチェがいれば大丈夫と思うから、それに疲れている人を起こすわけにはいかないからね。それで、俺の体のどこかに小さい精霊が見えない?」

「使徒様は優しいです~。流石に、バルトさんはやり過ぎだと叱ってくださいよ~。精霊?ずっと肩に火の精霊が座ってますよぉ。私に気付いてからは、肩の上で土下座しています」

上位精霊のビーチェに対して、慌てて土下座をしたようだ。それにしても、あれから片時も離れずずっと肩にとまっているのかと思うと鳥だなと思ってしまう拓哉。

「前にも言ったけど、再度言わないといけないみたいだね。この件が終わったらバルトの所に行くよ。それから、やっぱりとまっているのかぁ...この精霊を俺に見えて意思疎通を取ることはできないかな?」

「バルトさんの件、よろしくお願いします。精霊をですか?見えるようには出来ますけど、意思疎通は難しいですね。この子が、中位精霊になれば意思疎通は可能になりますよぉ」

相当シャーリーのことが心配なのだろうと察して、しっかり対応しないといけないなと感じる拓哉。

「見えるようにしてくれないか?それから、中位精霊にはどうすればなれるの?」

「魔法をかけますので、ジッとしていてください。中位精霊になるには、1つ目は魔物を倒して強くなる。2つ目は高濃度の魔素を浴び続けるかのどちらかですね~。ですので、ここで生活していれば、勝手に育ちますよ」

わざわざ戦う必要がないことを知りよかったと思う。小さいだろう精霊に猛獣を相手にさせるわけにはいかないと思う拓哉だった。

「ありがとうってもう魔法をかけてくれたのかぁ。見えるようになってるよ。やっと会えたな。小さな精霊さん」

髪の毛は真っ赤に逆だっており、炎を身に纏っている。服は着ていないが、性別がわかるような体型をしていないので人形のようである。

「精霊が使徒様に名前を付けてほしいそうですよ~」

「名前かぁ...炎 火 フレイム フレイ レイ厶 フレア...フレアなんてどうだろう?」

名付けセンスのない拓哉からしても、まだまともに付けれたのではと思う名前であった。

「精霊、いやフレアが喜んでいますよ。フレアがいいそうです~」

フレアは、拓哉の周りを飛び回って嬉しさを表している。炎を纏っているのに、熱さを感じないのが不思議だなと思う拓哉。

「ビーチェありがとう。お礼じゃないけど、3人で食事にしないか?」

「はい!食べます。クリーン」

速攻で全員が食べられるように、クリーンをかけるビーチェ。
フレアも、喜びの舞のように、笑顔で飛び回る。

「今日は、アップルパイだぞ。焼き立てだからすぐ食べてくれ」

フレアは、アップルパイに抱き着くようにしてムシャムシャ食べ始める。
ビーチェも、おいしそうに食べている。

「サクサクのトロトロの甘々でおいしいです。止まりませんよ~使徒様~」

小動物かのように、前歯でサクサクと食べる姿が可愛過ぎるビーチェ。

「まだまだあるからいっぱい食べてくれよ。それにしても、本当にうまいな」

「リンゴがトロトロで、普通より甘いのですが、なんでですか~」

「熱しながら砂糖漬けにしているから甘いんだよ。それに、この畑で取れたやつだから元々酸っぱさより甘さが勝って普通のリンゴじゃないみたいだけどね」

噛んだら凄い水分が溢れ出して糖度MAXのような甘さがあり、リンゴの旨味も凄い、魔境産リンゴである。

「そうなんですね~ジュワッと溢れる水分がジュースみたいで、アップルパイ最高のお菓子です」

ビーチェもフレアも、どこにそれだけ入るんだというほど食べて、フレアに至っては、拓哉の肩でお腹をパンパンにして横になっている。今日も平和な魔境の村であった。
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