異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
142 / 203
第5章 天界への旅と龍達との出会い

第139話 黄金のボーンスープ完成!

しおりを挟む
今日は、約束だったボーンのBoneで出汁を取る日である。
朝から厨房にボーンが来てくれている。

「ボーンさん、おはようございます。俺の興味に付き合わせてしまってすいません」

「おはようございます。何を言っているんですか。 以前言いましたが、私も自分の骨の出汁に興味があるんですよ。ノーライフキングの出汁は世界初でしょうな」

そりゃ世界初だろう。ノーライフキングが、鍋で自分の骨をグツグツ煮込んでいたら笑ってしまうよ。

「ボーンさんは、ここへ来る前に自分の骨で出汁を取ろうとしたことはなかったのですか?」

無限出汁ループを構築できるじゃないかと考えた拓哉。 今日は肋骨。明日は上腕骨。明後日は肩甲骨みたいに。
拓哉が、どれほどサイコパスなことを言っているか本人は気づいていない。

「ないですないです。だって、食べなくても魔力があれば死にませんからね。ノーライフキングになってから食事をしたのも、ここへ来てからですからね。 今日は、未知の体験にワクワクしていますぞ」

「あ!そうでしたね。食事をしなくていいと言っていましたね。 俺も、未知の体験にワクワクしています」

フッフフフと笑う怪しい二人がそこにはいた。

「早速、出汁を取りたいのですが、取っても大丈夫で魔力が豊富な骨を頂けますか?」

「本来なら頭蓋骨が1番魔力があるのですが、流石に熱いの嫌なので肋骨4本くらいで許してくれませんかね?」

熱さを感じることよりも、プカプカ浮く頭蓋骨が急に振り向いて赤い眼光と目が合う想像をして恐ろしくなる拓哉。

おぬし達、恐ろしいことを話しておるのぅby神様

「肋骨4本貸してください」

「どうぞ」

人体骨格模型のようにパコパコと簡単に外すボーン。

「本来、牛骨だったりすると血肉などがついているので、重曹を入れて一回煮出して骨を綺麗にしたりするのですが、軽く洗って骨と玉ねぎで最初から煮てみましょうか」

本来は、何回も煮て骨の中や無駄な脂を落とす作業や一晩寝かせて灰汁取りなどをする必要があるが、ボーンの骨はツルンとコーティングされたような綺麗な骨であり、試しに一発目から出汁取りをしようと考えた拓哉。

「このまま、コトコト煮込むだけですね。 本来ネギやガァリク(にんにく)や生姜を入れるのですが、臭みとかないでしょうし玉ねぎだけで甘みのあるスープにしましょう」

成功するかはわからないが、とりあえず初のノーライフキングの出汁なので、一旦これでスープを取ってみる。
それから1時間経っても2時間経っても灰汁が一切でない。

「何故か灰汁が一切でないんですよね。スープもどんどん黄金に輝きだしてますし。試しに飲んでみますか?」

普通は、灰汁がどんどん出るはずが、透き通った黄金のスープになっている。 

「飲んでみましょう。 私の出汁がどのような味なのか?」

なんかそのって言葉で一気に飲む気がなくなるからやめてと思う拓哉。

小皿にボーン出汁ならぬボーン汁を入れて飲む二人。

ゴクリッ...

「う、うまぁぁぁい。この滑らかな舌触りに口に入れた瞬間、旨味という旨味が押し寄せる感じ。それに、脳天を突き抜けるビビッとくるうまさ。まさに、神のスープと言っても過言ではない...ボーンさんこれ凄くないですか?」

食べた瞬間、身体中に電気が走ったような美味さと口いっぱいに広がる濃厚なうまさに拓哉は神のスープと評す。

「これが...私の味ですとぉぉ! おぉ神よ、私は食材の為に生まれてきたのですか?ノーライフキングとは食材だったのですね。今日から大人しく冷蔵庫の主となりましょうぞ」

バチコ~ン!

「ボーンさん、現実に戻って来てください。冷蔵庫を開けてボーンさんがいたら毎回発狂しますから! でも食材と言ってもいい美味さでしたね。これは、手を加えるよりそのままスープで味わってもらいたいです。それか、なにも具を入れずうどんを入れて素うどんにすべきですね」

この黄金スープに他の具材は愚の骨頂だと思う拓哉。 無駄な物は一切いらないスープである。

「これは、どこまでおいしくなるか気になりますね。このまま、研究して最高のスープを提供してください。私は、スープ名を何か考えておきますかね...ボーンさんの...骨身に染みる...」

なんか一気に食う気を削がれる名前を考え出すなぁと思う拓哉。 
だが、更に昇華させたスープ作りの方が重要で変な名前などどうでも良くなっているのであった。
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...