異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
138 / 203
第5章 天界への旅と龍達との出会い

第135話 サリアのお陰で豚キムチ完全に至る!

しおりを挟む
ヴァレリーに拓哉が尋ねたところ、豚キムチは知らないとのことだった。  逆にサリアは知っていると言うことだったので、来てもらえないかとお願いしたところ快く引き受けてくれた。 
今日が来てくれる日で、拓哉はいくつかの豚キムチを用意して待っている。

「お久しぶりです。 拓哉さん。 いくつか思い当たる材料も持ってきましたのでお使いください」

サリアは、昔食べた豚キムチを思い出しながら、わざわざこれだろうと思う異世界の材料を持ってきてくれたみたいだ。 優し過ぎるだろうと思う拓哉。

「ありがとうございます。 もし、味が違うならこれを使ってみようと思います。 それよりリーリヤも来たんだね」

何故かリーリヤも来ていたが、夜来るんだし今わざわざ来なくても思う拓哉。

「来たらダメだったの? そっかぁ...サリアスタイルいいし二人きりがよかったのね。 寂しい...」

ワザと寂しがるような雰囲気を出すリーリヤ。 

「スタイルいいのは否定しないけど、リーリヤはまた夜食べるんだしわざわざ来なくてもいいのにって意味だよ」

スタイルがいいのは否定しない拓哉。 拓哉は大きなスイカが好きなのだ。 

「だって~気になるじゃない。 過去の凄い人の料理が再現されて食べられるかもしれないのよ。 食べ損なうなんて嫌よ」

確かに、リーリヤはおいしいものに目がないなと思う拓哉。

「仕方ないなぁ。 じゃあ、早速試食会しますか。 右から順に辛くなっていきますので右から食べてください」 

右から順に食べていくラリサとリーリヤ。 リーリヤは、いつも通り感想を言って食べているが、サリアに至っては食べる咀嚼音だけが聞こえる。

「1番近いのが5番目に食べた物です。 辛さも残りつつオーク肉の甘さを感じることができるので。 でも、独特の香りがないですね...多分ミラガー(唐辛子)の違いだと思います。 ちょうど持ってきているのでこれで作り直してみてください」

そう言われたので、またシャーリーを呼んで魔法を使っても貰い1から作り直した。

「お待たせ致しました。 食べてみてください。 ってリーリヤ1から6番まで全部食べたの?」

作り直して戻ると1から6番までの豚キムチが全てなくなっていた。

「違うわよ! サリアも食べてるから。 私が食いしん坊みたいに言わないでよね」

「だって、サリアさん口元綺麗だけど、リーリヤ真っ赤になってるからさ」

口の周りにしっかり唐辛子を付けているリーリヤ。 明らかに一人で食っただろうと思う拓哉だった。

「うるさいわね。 いっぱい食べたわよ。おいしいんだから仕方ないじゃない」

食べたことを白状するリーリヤだったが、おいしいからって言葉を素直に嬉しく思う拓哉。 二人が、こんなやり取りをしている間にサリアは試食していた。 

「拓哉さん、完璧です。 白菜がいいのか?茂三さんよりおいしくできています。 ミラガーの風味が鼻に抜ける感じがいいですね。 食べ慣れた辛さになりましたよ。 でも、繊細さは拓哉さんが最初に作った豚キムチの方が上ですね。 もしよかったら、そちらのミラガーも分けてもらえませんか?」

「確かに、山椒のように鼻に抜ける風味がありますね。 これはこれでおいしいですが、普段食べ慣れた方が俺は好きです。 いや~サリアさんがいなかったら一生答えに辿り着かなかったです。 ありがとうございます。 唐辛子は帰りにお渡ししますね」

改めて食べ慣れた味って大事なんだなと思うのとサリアが居なければ、無駄なことを繰り返していただろうなと考える拓哉。

「以前助けてもらったお礼です。 拓哉さんのお陰で大繁盛していますからね。 ミラガー...唐辛子っていうのですね。新しい料理の試作に使いますね。ありがとうございます。」

試作に使うならお世話になったし、大量に唐辛子を渡そうと思う拓哉。 そこに、リーリヤが話しかけてくる。

「私は、拓哉のミラガーの方が好き。 辛さと繊細な旨味があってオーク肉に絶妙に絡んでおいしいもん。 もし余裕があるなら、両方作って持っていけば? 殲滅龍様も色々楽しめて喜んでくれるかもしれないわ」

確かに、思い出も良いかもしれないけど、新しい発見もしてほしいし、せっかく持っていくなら茂三さんのではなくて拓哉自身の料理を食べてほしいと思うのだった。
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...