異世界のんびり料理屋経営

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第5章 天界への旅と龍達との出会い

第131話 ステーキ弁当と1人だけ骨付き肉!

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みたらし団子を受け取りアイテムボックスに仕舞うグラデュース。 

「では、行ってくる」

そう言うと、地面を蹴って垂直に空高く飛ぶ3人。 龍形態になるには上空でないと村を潰してしまうからだ。
それを見ていた拓哉は、ウ○トラマンかよと独り言でツッコミを入れる。

上空に出たグラデュースは、背中に人化したテオフィロとドゥルシッラを乗せて飛んでいく。  暫く飛んでいるとドゥルシッラが尋ねる。

「威風龍様にお会いしたことがないのですが、どのような場所に住んでいてどのような方なのですか?」

上位龍に会うことなど滅多にない下位竜からすると気になって仕方ないようだ。

「俺でも5日かかる別大陸にこれから向かう。 威風龍は宮殿と呼ばれる建物で暮らしている。 ちょっと昔話をするが、元々文明レベルが低い人間の村があちこちにある大陸だったのだが、見兼ねた威風龍が人間に色々教えたことから王になった龍なのだ。 今や独自の文化を持ち大陸全土が発展し、威風龍は王であり神とも崇められている。 俺は行ったわけではなく千里眼で見ただけなのだがな...」

元々人付き合いが苦手なグラデュースは、千里眼であらゆる大陸や気になる人物を見て楽しんでいたのだ。 正直、見られている方は恐怖でしかない。

「そうなのですね。 だから拓哉さんにお弁当を頼んでいたのですね。 てっきり古龍様が食いしん坊だからかと」

「「食いしん坊はお前だよ!!」」

グラデュースとテオフィロが二人してツッコミを入れる。

「そんなぁぁ。 私食いしん坊ではありません。 おいしいから食べてしまうだけです」

「それを食いしん坊って言うんだ。 下手な言い訳をしようとして変になってるぞ」

テオフィロが、よくわからないことを言うドゥルシッラにツッコんでいる。
グラデュースは、こんな旅をすることや同じ種族同士で長時間いることが初めてなので、かなり幸せな様子である。

「そろそろ暗くなってきたから、あの島で飯を食おうか?」

昼飯以外は、ずっと飛び続けていたグラデュースは流石に腹を空かせていた。 

「いいですね。 そうしましょう」

「グラデュース様、畏まりました」

ドゥルシッラもテオフィロも、同意する。
小さい島だが、人化すれば十分な場所である。 ドゥルシッラは、水が恋しかったのか飛び降りて海に潜っていく。 グラデュースとテオフィロはいつも通り人化して空中から地面に降りる。 またグラデュースが抉れた地面を直すのであった。

「古龍様~テオフィロ~海めちゃくちゃ気持ちいいですよぉぉ」

水竜で泳ぐと津波が来て大変だからと人化のままで泳ぐドゥルシッラ。 だが、水であらゆるとこが透けて目のやり場に困るグラデュースとテオフィロ。

「楽しいのはわかったが、はしたないぞ。 服をすぐ乾かせぇぇ」

「あっ! まぁいいじゃないですかぁ。 見られても減るもんじゃないんですからぁ」

女性としてどうなんだと思う二人と一切気にせず泳ぐドゥルシッラ。 恥じらいがないのは竜だからなのか?いやドゥルシッラが特別なのである。
グラデュースとテオフィロは、ヤレヤレという感じで拓哉が用意したお弁当と酒を用意する。

「あぁ~気持ちよかったです。 やっぱり海が1番ですね」

ミストシャワーという魔法で体を洗い、新しい服を着替えたドゥルシッラがやってくる。

「満足したのなら何よりだ。 ちょうど、用意もできたし食べよう。 では、一日目お疲れ様~乾杯」

「「乾杯」」

砂浜近くで焚き火を囲み乾杯をする3人。 月明かりが水面を照らしていい雰囲気を醸し出す。

「ぷはぁ~うまいな。 拓哉と出会うまではこんなうまい酒を呑めるとは思ってもいなかった」

グラデュースはビールを一気飲みする。 うまい酒どころか拓哉と会わなければ、一生洞窟から出なかっただろうなと感じ拓哉に感謝するグラデュース。

「酒だけではありませんよ。 このお肉おいしいです。 噛むごとにジュワ~と肉汁が出て、脂も甘くてソースもガァリク(にんにく)が効いていて、いくらでも食べられそうです。 ライスもソースだけでいけそうなくらいですよ」

長期間飛ぶとのことだったので、精力と活力がつくステーキ弁当を持たせた拓哉。 ドゥルシッラは、海で運動した所為かいつもより余計に食べている。

「ぷはぁ~ビールと肉合いますね。 ガツンとくるガァリクとビールの相性が抜群ですよ。 それに、焼いた肉がこんなにもうまかったとは...いや拓哉さんだからこそのうまさなのか? 生より柔らかいし旨味を感じるとは素晴らしいですよ」

テオフィロも大絶賛しながらステーキ弁当とビールを呑む。 
だが、一人だけステーキ弁当じゃないやつがいた。

ガリボリボリムシャムシャ
「やはりビールには骨付き肉が1番だな。 肉もうまいし、この歯応えが堪らん。 骨まで旨味が染みていてうまい」

一人だけ相変わらずジャンルが違う猛者グラデュースであった。  もう慣れたのかドゥルシッラもテオフィロも何も言わずに自分のステーキ弁当とビールを楽しんでいた。

威風龍の住む大陸までの楽しい楽しい旅はまだまだ続くようだ。
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