異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
111 / 203
第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ

第108話 (前編) 夜中にお忍びでやってきた神様!

しおりを挟む
神界にある書斎
創造神が、書類を確認して判子を捺している。 そこに、ある人物が急に転移してやってくる。

「ふひっ!?急に現れおって!驚いたんじゃ! 事前に来るくらい言っといてくれんと困るんじゃが!? 八十天安(やそあまやす)」

八十天安は、八百万の神である。 日本の神が、前触れもなく、急に異世界を管理する創造神の元に現れて驚いている。

「妾はずっと拓哉と桜花に会いに行くのを楽しみにしておったのじゃぁぁぁぁぁ。 一向に、そなたは妾を誘ってくれんではないかぁぁぁ! 我慢の限界できてしまったんじゃぁぁぁ! はよ、連れて行けぇぇぇ」

十二単のような衣装に身を包み、勾玉のネックレスを付けた八十天安が地面に寝転がりバタバタ小さい子のように駄々をこねる。

「ワシも行きたいんじゃが...ルカがのぅ....行かせてくれんのじゃ。 八十天安からルカに話してくれんかのぅ。 この通りじゃ!もう仕事したくないんじゃぁぁぁ」

駄々をこねる神と手を合わせて頼み込む創造神という凄い構図が生まれている。 

「もぉぉ! 神様二人でなにをしているのですか?? 私も拓哉さんの料理を我慢して創造神様が、溜めに溜めた仕事をしているのですよ。 それから八十天安様、最初登場された時と口調が全然違いますがよろしいのですか?」

二人のやり取りを密かに見ていたルカが言う。 ルカもアグニールと行って以来、ずっと仕事でまたストレスを溜めている。

「やはりそなたが原因ではないかぁぁ! 仕事も出来んなら創造神などやめればよかろうて。 うむ!拓哉に伝えた時は、神らしく演じた方がええじゃろと思ったんじゃ。 ローマ神とかの口調を真似たんじゃ。ハイカラで顔もカッコイイとかかわいいとかズルいんじゃもん。 妾もそうなりたかったんじゃよぉぉ」

ルカは、八十天安に対して、この神も何を言っているんだと思うのだった。 密かに二人とも何故神になれたのか?と思うが口には出さないのであった。

「あぁぁぁぁもう我慢できんのぅ。 ルカと八十天安、今から憩い亭に行くのじゃ。 これはサボりではないのじゃ! 夜食を食いに行くのじゃ」

我慢できなくなった創造神は、立ち上がって言う。

「今から行ったら深夜ですよ。 ご迷惑にしかなりませんし、後日にしましょう??」

唯一、常識のある女神ルカが止める。
それで、止まる創造神ではない。

「うるさいんじゃぁぁぁ! ワシが行ったら拓哉も喜ぶはずじゃ。 行くぞい! 転移」

消えゆく中、ルカはきっと迷惑にしかならないと思うのであった。 八十天安も、早く連れて行けぇぇと言っているし、はぁ~とため息を漏らして転移するルカ!

転移先は、拓哉の寝室の枕元である。 もうただの心霊現象か!?ドッキリ企画である。

「ぐっすり寝とるのぅ」

「かわいい寝顔じゃなぁぁ!!」

「かわいいですねぇぇ!ってそうじゃなくて、なんでここに転移してるんですか??」

現状、寝起きドッキリ状態になっている。

「昔、妾はこんなのを番組で見たことがあるんじゃ。 拓哉おはようございます。起きてますかぁぁ」

そう言うと拓哉が、もぞもぞ動いて目覚める。

「んんん~ふわぁぁ.......うわぁぁぁぁぁぁ!ひぃぃぃ!!ん?冷静沈着の効果か。もう落ち着いてる...ってそうじゃなくて、なにやってるんですか? 創造神様にルカ様。 神を辞めて幽霊になったかと思いましたよ」

冷静沈着スキルで、すぐに落ち着く拓哉。 でも、真っ暗闇に3人枕元にいたら普通発狂するか、心臓悪ければ止まるぞと思う拓哉。

「ぬぬぬ!神に幽霊とは罰当たりじゃなぁぁ。 それよりも、飯を食わしてくれんかのぅ??」

時間を見ると深夜2時、神様が丑三つに飯を食わせろって、幽霊より質の悪いやつらだなと思う拓哉。 とりあえず、食わせないと帰りそうにないし立ち上がる。

「夜中なので静かにしてくださいね。 娘たちが起きますから。 憩い亭に行きましょう。 そちらの方は誰ですか?」

店に向かいなら話す拓哉。内心早く寝たいと思っている。

「やっと聞いてくれたのじゃ。 妾は、八百万の神、八十天安というんじゃ。 桜花を立派に育ててくれて感謝感謝じゃ」

拓哉も、八百万の神の話し方に違和感を感じるが、それよりも桜花を任せてくれたのは、この神様なのかと思う。

「桜花を任せてくれてありがとうございます。 今や即戦力ですよぉ。 次は、ちゃんとした時間にきて、桜花が作った料理を食べに来てくださいね」

八十天安が、手を叩いて喜んでいる。 八十天安も、心を読めるので、拓哉が本心で言っていることがわかるからだ。

「それはよかったのじゃ。 妾も心配しておったし、桜花の父親も心配しておったぞ。 次は、妾と桜花の父親と来ようとおもうんじゃ」

桜花も、父親に会いたいだろうし連れてきてくれるならありがたいと思う拓哉。

「八十天安様、その日を桜花と楽しみにお待ちしております。 今日は、うな丼でいいですか!?」

そう聞くと、全員が「うな丼でいい!」と答えてくれた。

憩い亭に着くと、椅子に座ってもらい、日本酒とビールを出して待っていてもらう。

この後、何故人数が増えそうな気がするのでいっぱいうなぎを捌かないといけないかなと思う拓哉だった。
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...