異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
110 / 203
第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ

第107話 子供達から大人達に感謝を!! 

しおりを挟む
18時開店
「いらっしゃいませ!」
4人だけではなく、カイルとヤナとヤミンも加わって挨拶をする。 お客さんも、驚くほどの声量だ。

「今日は、子供達が作ったハンバーグという料理を無料で提供致します。 大人達に日頃の感謝を込めて作った物なので出来れば1回は頼んでみてください。 和風おろし チーズ入り デミグラスソースの3種類から選べます。 では、楽しんでください」

そう拓哉が言うと、「それは、頼まないといけないな」と全員が言ってくれている。
拓哉は厨房に行って子供達に指示を出す。
おじさん達は、和風おろしが多くて女性や一部の男性がチーズ入りとデミグラスソースを半々頼んだ感じである。

ラリサとアニカとヤミンが、それぞれのテーブルで言う。
「お待たせしましたぁぁ。 ご注文の料理です。 日頃いつも優しくしてくれてありがとう(なの)(ございます)」 

大人達は、感謝の言葉とかわいい給仕達、そして子供達が自分の為に作ってくれたことを聞いているからか自然と笑顔が溢れている。

「ほほぅ子供らもやるもんじゃな。 早速食べてみようかのぅ。 お、おぉ!! こりゃ、さっぱりしてうまいわい。 肉汁たっぷりで大根おろしとポン酢のピリっとさっぱりした感じがええわい。 もっと食いたくなるのぅ」

バルトは長いこと憩い亭で料理を食べているからか、大根おろしもポン酢の味も知っており、日本人のように箸で和風おろしハンバーグを食べている。

「これを、子供達が作ったとは驚きだな。  ミノタウロスの肉と書いてあったが、以前王城で食べたより柔らかい。 この形状がそうさせているのか?焼肉と同じで部位が決め手なのか? それにしても、バルトの言う通り俺達の年齢になるとさっぱりした物がうまく感じるな」

バルトと同じでヴァレリーも、口が肥えてきたり知識が付いたからか!? 以前とは視点の違う見方をするようになっている。

「アレンさんとモニカさん、息子さんが作ったらしいですよ。 子供達が感謝してくれるだけで、涙が...って私は、骨だから出ませんが、気持ちは大洪水ものですよ.....近々私も引っ越してきて、カイルくんに最高の魔法を伝授しましょうかね??」

ボーンが、涙は出ないけど感謝感激しているようだ。 涙は出ないのに、食事はできる...異世界の七不思議の1つである。

「不味くても食べるつもりでしたが、王都で食べる料理よりおいしいとは驚きですよ。 今こうして幸せな日々を送れるのは、ボーン殿とフェン殿のお陰です。 本当にありがとうございます。 これからも、カイルをよろしくお願いします」

人間の元貴族が、ノーライフキングとフェンリルと食事をして手を握り合い感謝を述べて、大事な息子をお願いするあり得ない光景が広がっている。

「とろとろのチーズ溢れ出して甘いトマトのソースと柔らかいお肉とよく合っておいしいわぁぁぁ。 これを、カイルとヤナくんが作ったって天才ね! 私たちの二人の息子は最高だわぁぁ。 貴方、明日にでもヤナくんを息子にしましょう??」

モニカの中では、よくカイルの面倒を見てくれる兄の印象で、カイルもかなり慕っている所を見て、養子にしようと考えていたが、あまりにもおいしい料理を作れることを知って、より一層息子にしたくなったモニカ。 意外に打算的である。

「アハハハそうだな。 家が今以上に賑やかになるしいいんじゃないかぁぁ?? 明日にでも、村長に許可を貰おう」

アレンの中で、拓哉は村長になっている。 拓哉は認めていないが...

「デミグラスソースも、おいしいよぉ。 ワインが入っているのかなぁ? 凄い濃厚なソースになってて、肉汁たっぷりのお肉に合うね。 ボーンは、この村で魔法の先生になるつもりなのかい??」

そう言われて、顎に手を置きながら考えるボーン。

「先生も悪くはありませんね。 ですが、今はカイルくんの個人授業でしょうね。 将来的には、子供の可能性を伸ばしてあげたいですよ」

フェンは、ボーンならうまくやれると思うよと思うのだった。 だが、ノーライフキングが、授業をしてるなど一般人が聞いたら100人中100人が信じないだろう。

「マリーさん、ヤミンくんが貴方に食べてほしいと言って作ってましたよ。 息子みたいですね。 一層養子にしてみますか??」

ヤミンはマリーさんのことを慕っているし、半分本気で提案する拓哉。

「ふふっ。 誰かに想ってもらいながら作って貰えるのって幸せだわ。 人間の時もリッチになってからも錬金術ばかりで、人との関わりとか考えてなかったもの。 結婚もしたことがない私が子供を持つって変じゃない??」

昔のことと今の環境を思い比べながら色々考えるマリー。 

「俺も結婚せずに、娘が3人いますよ。 変なことはありませんよ。 あとは、マリーさんとヤミンくんが決めることです」

マリーは「そっか....そうね!!」と言って料理を口にするのであった!

今回の子供達から大人達に向けての感謝の料理で、すぐ何かあるわけではないが、素直に嬉しい気持ちになる大人達や子供達に思うことがあっても、踏み出せなかった一歩を今回のイベントで踏み出そうとする大人達! いろんな変化を生んだイベントになったのではないだろうか??
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...