異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
109 / 203
第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ

第106話 (中編) 子供の大好物には代償があった!!

しおりを挟む
「よし!これからミノタウロス100%チーズインハンバーグを作っていくぞ。 まず、みんなで玉ねぎをみじん切りにしてくれ。 相当な量いるけど頑張って切るぞぉぉ」

キロ単位で肉があるので、相当な玉ねぎをみじん切りにしないといけない。 
カイル ヤナ 桜花は、軽快に切っていくが...

「ありゅじ~...涙が止まりゃないんだよぉぉ。 玉ねぎ切りはやっぱり苦手なんだよぉぉ」

目を赤くポロポロ涙を流しながら言う桜花。

「桜花しゃん...僕も...目が痛いですぅぅ....」

鼻水を垂らしながら、ポロポロ涙を流すカイル。 そこに、救世主ヤナが言う。

「カイルは、休んでいいよ!! 俺がカイルの分も切る」

ゴーレムだからか、刺激の元の硫化アリルもエネルギーに変換しているのか...?? それにしても、ヤナは過保護過ぎないか??カイルが、ダメな子になっちゃうぞと思う拓哉。 

「頑張って切ってくれよ! 玉ねぎ全然足らないからね。 お!ラリサとアニカ、うまいこと切れてるなぁぁ。 偉いぞ」

ラリサは、ゆっくりだが確実にみじん切りしてくれている。 アニカは、細かく切れていないが、まな板を切らないだけ成長したので褒める拓哉。 拓哉もなんだかんだ過保護なのである。

「ほらぁぁ僕も、すんごく頑張ってるよぉぉ!褒めて褒めて~」

ヤミンが、拓哉の腕に抱きつきながら言う。
それを見た桜花とラリサが同時に「なっ!?!?」と目を見開いて、あの子なにしてる!?という顔をするが、事前に男と聞いているので、ぐぬぬぬとしか言えない。 見た目が、女の子だから余計たちが悪いのだ。

「ヤミンくんも、うまいぞ。 偉い偉い。 でも、危ないから腕から離れてな」

ドキドキする気持ちを抑えながら言う拓哉。  桜花とラリサは、ジト目で拓哉を見る。 カイルとヤナは、ニヤニヤしながら眺めている。

「お前らなんだその目はぁぁ! はいはい!続き続き。 玉ねぎはいいからこねていくぞぉぉ」

居たたまれなくなった拓哉は話を逸らす。
みんなが、それを聞いて「ハハハ!」と笑い出す。 桜花もラリサも、半分冗談でジト目をしていたようだ。

「ミノタウロスの肉と玉ねぎと塩コショウとパン粉と卵とナツメグを入れて、コネコネして粘りが出るまで混ぜて」

グチャグチャ混ぜ合わせていく。 粘土遊びみたいで俺もよく小さい時、楽しんだなぁと思っていると、アニカ達からも笑い声が聞こえる。 異世界の子供達にも楽しいようだ。

「パパ~楽しいぃぃ!ネチャネチャだけど遊んでるみたいぃ」

「お父さん、ベチベチ叩きつけるのスッキリしますね」

アニカは、かわいい子供のように楽しんでいるが、ラリサは、日頃の何かをぶつけるようにベチベチしている。 俺なんか悪いことした!?と思う拓哉。

「そろそろいい感じだから、とろけるチーズをちぎって真ん中に入れてこんな形にしていく。 みんなやってみて」

各々、大きさは人それぞれだが初めてにしては、うまいこと小判形を作っている。 一部団子みたいになってるのもあるけど焼く時、整えたらいいし大丈夫だ!

「均等な大きさにするの難しいよぉぉ」

ヤミンは、かなり几帳面というか、こういうのをちゃんと気にするんだと新たな一面が見えて楽しい。

「アワワワ...チーズが飛び出しましたぁぁ」

欲張ってチーズをふんだんに入れたラリサは、どうしようもなくなり慌てる。

「ラリサ、欲張り過ぎ! こうやって減らして、もう1回形作り直してと。 これくらいでも、とろとろのチーズが溢れ出るから心配しないで」

2回目からは、拓哉の言い付けを守ってちゃんとした量を入れて作ってうまくいっている。

「あとは、焼いたら完成。 焼く前に、真ん中をへこませて均等に焼けるようにすることを忘れないように。 ソースは、事前にトマト多めのハヤシライスを作ってあるからそれをかけよう」

フライパンで、人数分を焼き始める。
大人に作る時は、料理ができる桜花と習得が早いカイルとヤナに任せようと思う。
とりあえずは、拓哉が焼いて見本を見せる!

「両面に焼き目が付いたら、ハヤシライスと一緒に5分間煮込んだら完成だ。 大人達に出す時の役割としては、桜花とカイルとヤナが焼き担当、給仕担当が、ラリサとアニカとヤミンで回していく。 だから、桜花とカイルくんとヤナくんは、焼くのをよく見といてくれよ」

みんなが、「は~い!」といい返事をしてくれる。
いい感じに煮込まれて、皿に、ライスとハンバーグとトマトたっぷりのハヤシライスのルーを大量に入れる。 村の畑のトマトは、酸味より糖度が多いので子供が大好きな味に仕上がっていると思う。 更には、チーズまでインされているのだから。

「わぁぁ凄くいい匂いがします。 早く食べたいぃ」 

厨房が、お腹を刺激するいい匂いで充満している。

「自分の皿を持って、テーブルへ持っていこう」

各々がテーブルに持っていき席につく。 拓哉は、お茶をコップに入れて全員に配って席に付く。

「早速食べよう。 いただきます」

「いただきま~す」

一斉に口に入れる。 入れてから咀嚼をしてまた口に入れる。 それの繰り返しで誰も話そうとしない。 欠食児童の如く、一心不乱に食べている。

「おかわりがほしいんだよぉぉ」

他の子供達も、無言でお皿を出してくる。
無言で一斉に出されたら、恐怖でしかないんだが、それより大人達に出せる料理なのか?おいしいのか?感想を聞かせてほしいんだけど...

「おかわりはわかった。 味はどうなの? 大人達に出せそう!?」

全員が言う。
「おいしいぃぃ! もっと食べたいよぉぉ」

拓哉は悟った。 子供達の好きな物を出すと感想より食欲が勝ることを...まぁおいしいならいいかと思う拓哉。
その後、1枚300gくらいあるハンバーグを1人3枚も食べた。 一体どこに入るのだろうと思う拓哉だった。
しおりを挟む
感想 1,410

あなたにおすすめの小説

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...