異世界のんびり料理屋経営

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第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ

第72話 仲間たちへの帰宅後の挨拶!

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自宅前

ヴァレリーは、送り届けてすぐ帰宅をした。
拓哉達は、変わり映えした自宅周辺を見渡していると、まだ中途半端に建てられた家から音が聞こえる。何をしているのかと、拓哉が覗きに行くとバルトが木材を切っていた。

「バルト、ただいま」

その声を聞いてバルトが見上げ、拓哉だと気づくと、作業を中断して近づいて来る。

「おぉ~帰ったか! 久しぶりじゃのぅ。 向こうはどうじゃった?」

久々の再会に喜ぶバルトであったが、拓哉はこの家周辺の変わりようが気になり、それから先に聞こうとする。

「向こうの話は後でするよ。 それより、この変わり様はどうしたんだ?」

バルトが得意げな顔をして話しだす。
「ガッハハハ、気づいたかのぅ。 拓哉を驚かせようと村みたいにしてやったぞい。 前話しておったコンクリートちゅうもんを使って作ってみたわい。道も綺麗じゃろう。 シャーリーが、時間を進めてくれてのぅ。固まるのも早くて助かったわい」

以前、拓哉の家の壁が見たことがない素材だから教えてくれとバルトから言われて、ネットショッピングでコンクリート セメント モルタルについて書かれた本を購入し翻訳をして渡していた拓哉。
それから、一切その話に触れることがなかったので、諦めたのかと思っていたが密かに研究していたのである。

「十分驚いたよ。 あの時話した建築材料を作りだして、更には道の舗装に魔法を使って時間を早めるなんて。 でもこんなに家を建ててどうするんだ?」

バルトと小次郎とシャーリーとビーチェの4人だけにしては、明らかに家が多いのだ。何故と思う拓哉。

「今いるやつらの家と宿じゃな。 どうせ、これからもどんどんくるんじゃ。 宿を必要とする者もくるじゃろう。 それとな、拓哉がおらん間に、何人か訪ねてきよったぞ。 また後日訪ねてくるじゃろう」

宿かよ。 もう完璧に村じゃないか。 でも、毎回俺の家に泊めるわけもいかないし必要なのかもな。

「宿に関しては、ありがとう。 今後必要になるかもな。 それと客が来たのか?悪いことをしたな。 対応してくれて助かった」

素直に感謝を述べる。

バルトは、それを聞いてニヤニヤし出す。 感謝するならわかっているだろうという合図だ。

「ドワーフに対する感謝はわかっておるじゃろ?拓哉?」

「はいはい!酒だろ? 向こうで結構な金が手に入ったし、夜は好きなだけ呑ましてやるよ。 とりあえず、全員に帰ってきたことを伝えに行ってくるよ」

そう言ってバルトと別れる。 別れ際バルトは、酒じゃ酒じゃ!と大騒ぎしていた。

小次郎の家に向かう拓哉と桜花。

「お~い!師匠いますか?」

少し経ったくらいに引き戸が開く。

「拓哉に桜花帰ったのか? 無事で何よりだ。 とりあえず上がっていけ」

2人は言われるがままに上がらせてもらう。

「茶を淹れてくるから座って待っててくれ」

拓哉と桜花は、座布団が敷かれた床に座る。 
拓哉は思う、座布団にしても新しいこの家も凄いなと。 改めてバルトの技術に驚く。

お茶を持って戻ってくる小次郎。

「味わって飲んでくれ。 最近茶に入れ込んでしまってな。 魔境の薬草を摘んで作っているんだ」

それを聞いて、2人は飲んでみる。
そのお茶はいい香りがして、玉露に近い高級感ある上品な味わいに、ほのかな甘みのあるお茶だった。

「うまっ! かなり高級なお茶ですよね? それに、体がポカポカするのですが? 薬草の効能ですか?」

疲労が回復するような感覚を受ける拓哉。

「あるじ、魔力が回復してるんだよ」

「滋養強壮に効く薬草と魔力回復に効く薬草を炒ってから茶にした物だな。 旅の疲れを癒す最適な茶だろ?」

流石、師匠と思う拓哉。 バルトと違って心安らぐ優しさがあると感じる。 バルトの優しさは心労にくるなと感じるのであった。

「本当に落ち着きましたよ。 もし、床が畳なら故郷と何ら変わりないくらいです」

バルトによって新しく作り直された小次郎の家なのだが、基本は木材を使っているのと、座布団に外には広い庭。 まさしに日本家屋だと感じてしまう拓哉。

「畳とはどういうものなんだ?」

「詳しくは知りませんが、いぐさという物を織って作った物ですね。 敷いているとひんやりして暑いは涼しく感じるんですよ」

懐かしき畳を思い浮かべる拓哉。

「どんなものか想像がつかないが、是非体感してみたいな。どうにか作れないだろうか?」

拓哉の話を聞いて興味が湧く小次郎。 最近、暑いせいか寝苦しい夜を過ごしている。

「どうでしょうね?いぐさがあるかどうかも不明ですし、そもそもあっても織る技術がありません。 あ!そうでした。今日の夜は店に来てくださいね。 バルトが、酒じゃ酒じゃと叫んでいたので宴会になりそうですし、付き合ってあげてください」

「もし、作れる可能性があるなら頼む。 それよりバルトは、2人が魔国に行っている間も毎日宴会していたぞ。 まぁ、俺も久々に拓哉の飯が食いたいしな。 行かせてもらうことにする」

そんな話をしていると、引き戸を開ける音と廊下をドタドタ走る音が聞こえる。

廊下を見ると、シャーリーとビーチェが息を切らして入ってきた。

「「おかえりなさいませ。使徒様 神獣様」」

「シャーリーとビーチェただいま。 そんなに慌ててどうしたんだ?」 

「ただいま。 元気でよかったんだよ」

「バルトさんから、2人が帰宅したと聞きまして飛んできました。 お元気そうでよかったです」

「無事でよかったです。それと、結婚式はうまく行ったみたいですね」

「心配してくれてありがとうな。 無事に結婚式は終わって、みんなの祝いの品も喜んでもらえたよ。 それより、ここの変わり様に驚いた」

「そうなんです。 使徒様聞いてくださいよ。バルトさん人使いが荒いんですよ。 拓哉を驚かせるんじゃとか言いながら魔力が枯渇するまでやらせるのですから。 でも驚いたなら頑張った甲斐がありましたよ」

そこまでやらせてたのか。 酷すぎるな。あとで一言だけ言っておくか。 まぁ、目的は何にしろ。宿やみんなの生活の為と考えたらありがたいけどなと思う拓哉。

「私も、もるたる?こんくりーと?を作る時、水の調整をさせられましてお陰で魔力操作が倍くらいうまくなりました。 あと、小次郎さんが回復するお茶を作ってくれたので助かりましたよ」

師匠流石ですね。 その為の回復するお茶だったのですね。 
ニヤニヤしながら、小次郎を見て言っていると恥ずかしそうにする小次郎。

「拓哉の思っていることは違うからな。 ただの趣味だ。 偶々回復する茶になっただけだ」

素直に、仲間の為に作ったと言うのが恥ずかしい小次郎は誤魔化す。

「まぁ、そう言うことにしておきましょう。 それより、シャーリーとビーチェも夜は店に来てくれ。 留守を預かってくれていたし、ご馳走するからな」

それを聞いた2人は大喜びする。

その後、シャーリーとビーチェは、桜花を連れて畑に行った。

拓哉は、夜の献立と仕込みをするのであった。
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