異世界のんびり料理屋経営

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第3章 魔国での一幕

第61話 娘達全員勢揃い!家族ってやっぱり良いもんだよな!

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城の部屋

「クッキーを食べながら、最近のラリサとアニカの話を聞かせてくれ」

「私は、先生に聖魔法を色々教わっているのと歴史を学んでいます。 先生からは、もう少しで終わると言われました」

ラリサもアニカも、おいしそうにクッキーを食べている。

「アニカは、先生に格闘術と身体強化のコントロールを教わってるの。 あとは、読み書きを習ってるの。 獣神化と超嗅覚は、覚醒後にコントロールのやり方を教えるって言われたの。 アニカも、もうちょっとだって」

へぇ~2人とも頑張ってるなぁ。 アニカも前よりしっかり話せるようになっているから成長を感じる。
それにラリサもアニカも、少し見ない間に背も伸びて綺麗になってるし、子供の成長は早いな。 よく考えたら三姉妹のお父さんだもんな。 いつか嫁に出す時がくるのか...泣いちゃうよお父さんは...

「あるじ、何泣いてるんだよ?」

「いや、ちょっと成長を実感して嬉しいのと感傷に浸ってしまって」

「あるじ~じじ臭いよ」

「まだ若いわ! 20歳だぞ」

中身は35歳だけどなと思う拓哉。

「2人とも色々頑張ってるんだな。 しかも、もう少ししたら4人で暮らせるんだぞ。 嬉しいよ」

「それにしても、お父さんと桜花さんは仲がいいんですね? 冗談も言い合ってますし、羨ましいです」

「えへへ、いつもあるじと一緒だからだよ。 羨ましいでしょ!?」

桜花が挑発する。

「ふふふ、私は、桜花さんの知らないお父さんも知ってますからね」

ドヤ顔するラリサ。 

「ぐぬぬ! 僕も、ラリサがいない間のあるじを知ってるんだよ~だ」

桜花もドヤ顔する。 

2人で言い合いしているのをやれやれと見ている拓哉だったが、そこにアニカがきて膝の上に座る。

「パパ~クッキーおいしいの。 パパにもあ~ん」

争ってる2人を尻目に、しれっと拓哉を独り占めするアニカ。

「ありがとう。ん!おいしいね。 アニカが食べさせてくれたら余計おいしいよ」

「えへへ、パパ~大好き」

ギューっと抱きしめてくるアニカ。

その笑顔と可愛さに癒される拓哉。

「「あ~アニカずるい(んだよ)」」

2人が気づいて言う。

「だって、ラリサお姉ちゃんと桜花お姉ちゃんが喧嘩してるからパパが悲しそうだったの」

「そうだぞ! これから一緒に暮らすんだからみんな仲良くしなさい。2人ともごめんなさいは?」

「桜花さんごめんなさい」

「僕も言い過ぎたんだよ。 ごめんだよ」

罰が悪そうに謝る2人。

「はい! 仲直りしたならクッキー食べよ。 俺と桜花が最近なにしてるかも話すからさ」

小声でアニカに「ありがとう」と言って頭を撫でる拓哉。 アニカも「ん~」と満足そうな声を出す。

その後、畑の話をしたり最近来た吸血鬼や古龍の話をしたりしているとトントンとノックされる。

「拓哉様、ご夕食の準備が整いました。」

「は~い。すぐ行きま~す」

慌ててお皿やグラスをアイテムボックスに仕舞いドアを開ける。

「では、ご案内致しますので参りましょうか?」

セバスさんの後に付いて行くと、漫画やアニメに出てくるような、大きなテーブルにシャンデリアがある部屋に着いた。 

その現実離れした光景に思わず魅入ってしまう拓哉。

「こちらに、お座りください」

一人一人案内をするセバス。

「あ、ありがとうございます」

慌てて座る拓哉。

「うむ、これで全員揃ったな。 拓哉の店に比べたら味気ないかもしれんが、うちの料理長も腕によりをかけて作った料理だ。 思う存分味わってくれ」

ヴァレリーが音頭を取る。

その直後、メイドさん達が一人一人に前菜を運ぶ。見た目は、サラダとエビが乗っておりオシャレに仕上げてある。

「私は料理長のジュドーと申します。 本日は、神のお菓子(マドレーヌ)を考案された拓哉様がお越しになるということで、料理人人生をかけた最大限のおもてなしをしようと努力致しました。 まず、こちらアボド(アボカド)とエビのレモンソースでございます。 新鮮な野菜と海の幸が織りなすコントラストをお楽しみくださいませ」

おいおい!マドレーヌの考案者って。 ラリサとアニカどういうこと!?
それに、生まれてこの方、フランス料理とか堅苦しいお店を避けてきた身からするとマナーとかわからないしどうすればいいの? 恥かいちゃうよ!

「料理長、ありがとう。 拓哉が珍しく堅くなっているな。 マナーなど気にせず身内だけだと思って食べればよい。 さぁ、頂くとしよう」

全てを見透かされている拓哉は、恥ずかしそうに顔を赤くする。

みんなが、料理に口を付けるのだが料理長は拓哉を凝視して生唾を飲む!

「料理長、前より腕を上げたな。 ソースが以前に比べて大違いだぞ。 拓哉どうだ?」

褒められた料理長は、すました顔をしているが嬉しそうなオーラが伝わってきそうなくらい喜んでいる。

「おいしいです。 アボカド...アボドもエビも新鮮ですし、ソースもレモンとハーブと少し魚醤が加えられてるのかな?さっぱりしていいと思います」

だが正直に話すと、最近畑で取れた野菜や最高級なエビを食べていることで物足りなさを感じる拓哉。 それに、ソースもこちらにないある物が足りないと感じていた。 それを、見透かされたのかヴァレリーが話し出す。

「拓哉、気を遣わず思ったことを言ってくれ。 料理長も上辺よりも更なる成長を望むだろう。 そうだろ?ジュドー」

敢えて料理長ではなくジュドーと呼んだヴァレリー。

「はい! 気を遣わないでください。 神のお菓子を食べる前ならプライドが邪魔をしてこの若造がとなっていましたが、あれを食べて以来純粋に料理の深淵を覗きたくなったのです」

魔王様の前だからとかではなくこの人は本心で語っていると確信する拓哉。

「わかりました。 先に言っておきます。 ジュドーさんが料理人として劣っているとかではありません。 ここにない調味料や酒などがあればすぐジュドーさんが求める最高の料理が作れるはずです。 そして今回、ソースにまとまりがなく薄いと感じました。 原因は酒と数種類の調味料です。この調味料とブランデーを加えるだけで大きく変わると思います。 もし良ければ、厨房をお貸しいただけませんか?」

調味料とブランデーをアイテムボックスから出して言う。

「料理長、案内を頼む! 拓哉、食材は好きに使いなさい」

その後、料理長に案内されて厨房に着く。

よし!気合いを入れるか。 魔国で初めての料理だ!
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