異世界のんびり料理屋経営

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第2章 日常の憩い亭

第43話 娘達との再会と修羅場とオリハルコンナイフ!

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昨日のお客さんは、これぞ異世界だったな。 魔族にフェンリルにノーライフキングだもんな~。 しかも気さくな人ばかりで、イメージと違うから仲良くもできて言うことなしだ。
そのようなことを考えながら、朝のトレーニングの準備をしていると、ドアを叩く音がした。

「は~い、今行きま~す」

こんな朝早くから誰だろ?

「おはようございます。 バルトに師匠でしたか。 こんな朝早くからどうしましたか?」

「拓哉よ、オリハルコン製の解体用ナイフが完成したぞい」

お~2本も!凄い光沢に黄橙色(深いオレンジの様な色)なんだな。 これから時間もあるし、地竜解体しちゃいますか。

「2本もありがとうございます。 早速解体に使ってみます。 今日は地竜のステーキだからバルトも師匠も楽しみにしといてください」

小次郎が待ってましたという感じで反応する。

「やっと食べられるのか...楽しみだ。 拓哉、解体するのはいいが、血の1滴まで無駄にするな。血はエリクサーの材料に、皮と骨と歯は防具や武器の材料になる。頼んだ」

伝説のエリクサーの材料か~。それは無駄に出来ないな。 気合い入れて解体しないと。

「はい。わかりました。 初めての解体なので失敗するかもですが、出来る限り頑張ります」

金には困っていない小次郎は、失敗するかもと言われても気にしない様子で頷くのだった。

「昨日から一睡もしてないはずなんじゃが、拓哉の料理を食ってから力が漲り眠気がこんのじゃ。 何か特別な物でも入れたかのぅ?」

ん?ニンニクだよな...でもそんな効果なかったしな、原因がわからない。

「特別入れたものはありませんよ。ちょっと精力がつく食材を使っただけです」

「それならいいんじゃが...全く眠気がこんからこのままワシらは、また森に行ってくるでのぅ。地竜のステーキ期待してるからのぅ」

え?休まず行って大丈夫かな? まぁこの2人なら平気か! 

「俺もこいつの試し斬りに行ってくる」

多分あれはヒヒイロカネで作った刀かぁ。カッコいいな。

「いってらっしゃい。2人とも帰ったら真っ先に風呂に入ってくださいね」

ニンニク臭と汗で臭い2人に言う。 
2人は手を上げながら森に向かって行った。

よし!地竜解体始めますか。 まずは、下に敷く物と血を入れる入れ物を買わないと。 ネットショッピングで大きいバケツ5個とビニールシートを大量に購入っと。

「早速、このナイフの切れ味を試さないと。おぉ~これは凄いな。首筋だが、切った感触がなくスッと刃が入った。 おっと...危ない血を無駄にするとこだった」

慌てて頭を持ち上げてバケツに血を溜める拓哉。

結局バケツ5個全てが満タンになった。 蓋をしてアイテムボックスへ仕舞う。

「竜の頭をずっと持ち上げるの疲れたな。 こりゃバルトに頼んで解体場を作ってもらわないと。 やっと解体できるぞ」

解体に取り掛かろうとした時、後ろから声がかかる。

「来て早々こんな大物を解体しとるから驚いたぞ。 今日は休日だから2人を連れてきた」

ヴァレリーの横には、ラリサとアニカがいた。

「ラリサにアニカなのか?」

綺麗なドレスを着る2人の姿に戸惑う拓哉。

「お父さん私達のこと忘れたのですか?」

「パパひどいの!せっかく会いにきたのに」

2人が寂しそうに言う。

「ごめんごめん。忘れたわけじゃなくて、2人がドレスを着て、あまりの変わり様に驚いたんだ。 2人共、かわいいし似合っているよ」

ラリサとアニカは、そのまま走り出して拓哉の足にしがみつく。
拓哉は腰を屈めて、2人を抱きめながら言う。

「よく帰ってきたな。 2人がいなくて寂しかったぞ。 よしよし、泣くな泣くな。」

そう言う拓哉も涙を流していた。

長い間、抱擁しているから待っていることに痺れを切らせた様子のヴァレリー。

「ゴホン!感動の再会を邪魔して悪いのだが、俺がいることも忘れないでくれないか?」

「あぁ~ヴァレリーさんごめんなさい。久しぶりに会ったものでつい...わざわざ連れてきてくれてありがとうございます」

「気にするでない。 それより地竜の解体か.、大変であろう。手伝うぞ」

ヴァレリーが助けを申し出る。

「アニカも手伝うの」「私もお手伝いします」

2人も申し出る。

「ヴァレリーさんありがとうございます。初めての解体で、どうすればいいかわからなかったのですよ。 ラリサとアニカはドレスだからダメだろ?」

流石に高級そうなドレスを汚すわけにはいかないな。

「大丈夫ですよ。 さっきお父さんが抱いた時に付いた血も...ほら浄化をかけたら綺麗になるんですよ」

お~凄い!ベッタリ付いていた血が綺麗に。
感動のあまり血が付けてしまったことに気づかなかった。

「お父さん驚いたよ。 まさかそんな魔法も使えたなんて」

「えへへ、でもクリーンは魔力があれば誰でも使えるんですよ。 今は聖浄化を学んでるとこです。 聖浄化を取得できたら、毒とか汚染とか人の穢れ(けがれ)まで浄化できちゃうんです」

「そうかそうか。本当に頑張ってるんだな。 俺は魔法が、全然ダメだから使えるだけで尊敬するよ」

ちゃんと勉強して頑張っているんだな。立派になって。

また涙ぐむ拓哉。

「パパ~アニカも頑張ってるの。あの岩くらいなら木っ端微塵にできるの」 

そう言ってデカい岩に走り出し、殴って木っ端微塵にするアニカ。

口があんぐりになる拓哉。

「パパ~凄いでしょ!?」

...待て待て待て!6歳児が岩を木っ端微塵にしますかね。 お父さんちょっと怖いんだけど。

「お、おぉ~アニカも努力してるんだな。偉いぞ」

駆け寄ってきたので、アニカを撫でながら言う拓哉。 

「ゴホン!そろそろよいか? 早く解体しないと日がくれてしまうからな」

再度ヴァレリーが再会劇場を止める。

「何度もすいません。 ラリサとアニカはこれを着てきなさい。汚れても平気な服だから」

先日桜花の服を買った際に、2人にも服を何着か買っていた。 その中から体操服を渡した。(尻尾部分はしっかり修正されています)

は~いと言って家の中に入っていく。

その間に、どこから解体すればいいかをヴァレリーに聞く拓哉。
聞き終わったくらいで、ラリサとアニカが戻ってきた。 桜花も起きたのか、体操服姿で一緒にきていた。

「桜花も起きたんだな。おはよう。 もう2人とは話したのか?」

「うん!自己紹介も済ませたんだよ。 ラリサもアニカもかわいいよ~」

そうだろうそうだろう。自慢の娘だからな。

「桜花も体操服姿だけど手伝ってくれるのか?」

「うん、当たり前じゃないか。僕は将来あるじのお嫁さんになるんだよ」

ここで爆弾を投下する桜花。

「いや、それは、俺が結婚出来なかったらの話でって。あれはからかって言ったんじゃないのか?」

そう言っている拓哉の側でラリサが、ブリキのおもちゃみたく首をギギギと鳴らしながら拓哉の方を見る。

「お父さんどういうことなの?」

「僕は本気だったんだよ。拓哉は冗談だと思ったんだね」

ラリサと桜花が拓哉を見て言う。

「ちょっと!待ってくれ~。ラリサ、お父さんにまだ結婚相手はいないぞ。 桜花もまだ出会って数日だろ? 本気で捉えるわけないじゃないか」

どうにかしようとする拓哉。

「お父さん本当に本当に桜花さんとは、なにもないんですか?」

「僕は、あるじに一生仕えるんだよ。 ちゃんと考えてくれなきゃ困るんだよ」

勢いが止まらない2人。

「あぁ~なにもないから! とりあえず解体しなきゃだろ? 桜花も仕えてくれるのは嬉しいけど、恋愛はまた別だから。 お互いをしっかり知っていかないとな。 ほら解体するぞ」

答えになってるのかなってないのか、わからない返事をする拓哉。

桜花とラリサは、小言を後ろで言いながら2人は目を合わせ火花を散らす。 

「ヴァレリー、ラリサお姉ちゃんと桜花お姉ちゃんはなんで怒ってるの?」

アニカがヴァレリーに聞く。

「うむ、アニカよ。男女とは複雑なものなのだ。 アニカも大きくなればわかるだろう。 それよりも解体するぞ」

「うん。わかんないの。アニカにはまだ難しいの」

人生初モテ期を迎えた拓哉は、同時に初修羅場を迎えるのであった。
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