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側妻の務め
#10
しおりを挟むリュシアの下肢へ沈んだダーヴィンが、性器や体を眺めてくる。恋焦がれた彼に視姦されるだけでも、十分過ぎるほど興奮するのに、身体に触れられて弄られて、堪え切れない蜜が溢れる。
「ダ、ヴィン……さま……、もっ、ぅ……」
こんな願いを彼にしてはいけないのかも知れない、けれど、これ以上は耐えられなかった。零れる涙を晒しながら彼に懇願した。
「手を、はなして……、ください」
「なぜ?」
疑問の言葉と同時にしゅっと茎の根元まで強く扱かれる。
「ああ――、あっ、あぁ……ぅ……」
熱く甘い疼きに背筋が震える。彼にふしだらな自分を晒し、体の要求を満たそうとしていることに恥じなくてはいけないのに、思わず言葉が出てしまう。
「苦しくて……ンぅ、だから、離して……くださ、い」
僅かに刺激を避ける動きをしたリュシアに、「なるほど、俺は苦しませているか」と嬉しそうにダーヴィンが言うと、ペニスから手を離してくれたが、行き場のない熱がリュシアを余計に苦しくさせた。
「希望通り手を離したぞ、これで良かったのか?」
ニヤっと笑う彼に楽し気に言われ、あんなに苦しくて手を離して欲しいと思っていたのに、離されたら離されたで、それ以上に苦しくなった。
吐き出したい欲求が直ぐそこまで来ているのに、この苦しさをどうすればいいのか分からず、子供の頃にも数回しか記憶がない泣き声を上げてしまった。
「うっ……ひっく……ぅ」
「どうした?」
「ご、ごめんなさい……、うっぅ、辛くて……ぅ」
堪えても、堪えても涙が溢れてしまい、ダーヴィンを困らせるつもりは無かったのに、こんなことでは側妻として役割を果たせないと情けなくなる。
リュシアが泣き止もうと必死になっていると、グイっと力強い腕が抱き起こし、ダーヴィンは小さな声で、「悪かった」と言う。
「いいえ……、僕は自分が情けないです。ダーヴィン様の希望を叶えることも出来ず、申し訳ありません」
「ハァ……、その『申し訳ありません』も閨では禁ずる、今度言えばもっと辛くなるぞ」
「はい、分かりました……」
リュシアの零れた涙を掬うと、瞼に彼の唇が触れた。
ぐっと回されたダーヴィンの腕が、リュシアの体を持ち上げると、片方の手が窄まりへと到達し、周辺を撫でる指の感触に、ぞわっと全身の毛穴が立ち上がった。
何処からか小瓶がふわふわと漂うように、こちらへ飛んで来ると、上の蓋がポンと開き、とろりとした液が彼の手に垂らされた。
「もう泣くなよ?」
「はい、大丈夫です」
こちらの返事を聞き、ほっとしたような顔を見せた彼は、指の上で玉のようになった液体をリュシアの後孔へと挿れた。
「ン……っあ、ぁ……」
「少しだけ我慢しろ、今度は好きなだけ達かせてやる」
彼の指がつぷんと蕾を押し広げ入って来る。
狭い入口付近の襞をくるりと回し、奥へ奥へと出入りする指の動きに、背骨が砕けそうな刺激が走り「ひぅっ」と腰が跳ね上がった。
向き合うように彼の膝の上に乗せられているせいで、甘く荒い息を吐く彼の様子が色っぽくて、見ているとたまらない気分になり、リュシアの身体を巡る血が熱くなる。
少し視線を落とせば硬くて広い胸板が視界に入り、更に下へと移動すれば、自分の物とは比べ物にならないほど長くて太いモノが目に飛び込んで来てドキドキする。
――全然違う……
性器を象った置物とは大きさも長さも違うし、と凝視していると、くすりとダーヴィンの鼻が鳴る。
「挿れて欲しいのか? 悪いがまだ入らないぞ」
「……っ」
物欲しそうな顔をしていたと思われて、リュシアは恥ずかしくなった。
ぎゅっと目を瞑り、羞恥に堪えていると、ぐりっと肉襞を強く擦られ、淫猥な水音が聞えて来る。ぐじゅりと指が出入りする度に、先程見たダーヴィンの性器を受け入れる自分を想像し、頭の中が淫らな考えに染まり始めた。
自身の恥ずかしい姿を想像をし、目の前のダーヴィンの眼差しに、くらくらと脳が揺れる。
狭い肉孔を広げる動きに、チリっと痛みとは何か違う感覚を感じて、ぶるりと鳥肌が立つほどの刺激が押し寄せた。
「あぁ……ぁっ、あぁっ……!」
「ここか」
確認をするように何度も、同じ場所を指で抉られて、頭の中が熱くなり、濡れた喘ぎ声が自分から零れ落ちる。
「あ、あぁ、いっ……、だめ……」
彼が肉襞を擦り上げる度に、強い快楽に襲われて、自分の身体が跳ね上がる。
仰け反る背中を支える彼の腕が、より一層強く抱き寄せると赤く膨れ上がった胸の飾りをじゅと吸いあげた。
唇が触れる感触と、その唾液音が耳に届くと、異様に感じてしまい、肉孔が勝手に凝縮する。そのせいでリュシアの中を掻きまわすダーヴィンの指が動く度に、これ以上ない程の快楽に襲われた。
激しい刺激から逃れたくて、必死に頭を左右に振り、迫りくる快楽から逃れようとしたが、パチンと何かが脳内で弾けた。
「あっ、あ――――ぁ……!」
頭の中に星が散り注ぎ、痺れるような刺激に襲われ、自分の反り勃った性器の芯から、たぷたぷと密が溢れ出る。
長く続くその快感の波に溺れ、リュシアはダーヴィンの首にしがみ付きながら波が収まるのを待った。全身で呼吸をし、朦朧とする意識の中ふわりと体が浮く感覚に体が強張る。
先程まで指で弄ばれていた窄まりに、熱い肉の塊が触れる感触がする。入口付近で静かに息を潜めているソレは先端から蜜を流し、その蜜でリュシアの肉孔付近を濡らして、ゆっくりと押し広げ入ってくる。
「んっ、う……」
いくら幼い頃から宿命だと頭で理解していても、身体は理解出来ておらず、彼の大きな物が侵入してくることに、自然と身構えてしまう。
リュシアの途惑いが伝わったのか、ダーヴィンは熱い息を吐くと。
「悪いが……、お前の覚悟を待っている余裕はないから、このまま挿れる……」
彼の瞳に欲情が浮かびあがっているのが分かり、リュシアの身体を欲していることに嬉しくなる。腰に回された彼の手が一段と強くなり、男根がジワジワと入ってくるが、あまりの圧迫感に息が止まり、何度も気を失いそうになった。
滲む涙で視界はぼやけて、彼が今どんな顔をしているのかも分からない「全部、挿ったぞ」と言われても、自分にはジンジンと膨張していくような熱と違和感しか感じなかった。
けれど、僅かに腰を揺すられた瞬間、それまであった違和感も痛みも消え、高く甘い声が自分から零れた。
「あ、ぁ――あんっ……ああっ……」
彼の熱い杭がズンと一点を突き刺してくる。身震いするほどの快感に襲われ、嬌声をとめどなく吐き出した。
「さすが、穢れをしらない身体だな……」
心だけではなく身体まで奪われて、決してこの人から逃れられないと感じる。汗だくになった自分の額や首筋に、ダーヴィンが口づけを落とし、その場所が甘く蕩ける。
「ダーヴィンさ……ま……、あ……っ」
リュシアの身体を上下に揺すり、胸元の尖りを舌で潰されて、果てた身体が、またじくじくと熱をぶり返そうとしている。
愉悦の笑みを浮かべると、ダーヴィンが「これも好きか……?」と彼の唾液で濡れた赤い飾りをペロリと舐め上げ、半勃ちになったリュシアの性器の先をツンと突く。
すぐに反応してしてしまう淫らな自分の身体が恥ずかしかった。
彼から触れられる箇所が、いやらしく疼き、何度も、何度も、感じてしまう。きっとダーヴィンも呆れている気がして、勝手に出てしまう甘えた声を噛みしめる。
「我慢しなくてもいい、好きなだけ達かせてやると言っただろう」
声を我慢していた唇に彼の指が触れ、意図したかのように腰を使い、灼けるような先端が最奥を突き上げてくる動きに、たまらず声が漏れる。
「あ――っ、ぁぁ、あぁ……!」
きゅうと腹の中が啼き、彼が欲しいと求めて蠢くのが自分でもよく分かる。
――だ、め、だめ……っ……
襞をごりっと擦り上げられ、唇を奪われ吸い上げられる。彼の激しい突き上げに、ずちっと厭らしい淫らな音が聞え、その度に喘ぎとよだれが零れ落ちる。
容赦ない彼の腰の動きに、あの甘美な快楽がまた押し寄せてきた。
「あぁ、ぁっ――……ゃ……」
「……っ」
自分が果てるのと同時にダーヴィンの熱い精が最奥に注がれた。
彼から放たれる精を全て残らず搾り取ろうと、肉孔の襞が蠢いているのが自分でも分かる。
その動きを感じた彼は、色気を漂わせながら荒い息を吐き、「まだまだ欲しそうだな?」と揶揄い、リュシアの鎖骨へ唇を押し当てる。
その擽ったい舌の感触にピクリと身体が反応し、そのせいで腰が動いてしまい、硬さを保ったままの彼の男根が最奥を刺激し「あ……っ」と小さな喘ぎがリュシアから零れた。
くすりと微笑したダーヴィンは、悪戯に腰を軽く上下させ、中に放たれた液体がぐちゅぐちゅと音を鳴らすのをリュシアに聞かせた。
「ンぁ、あぁぅ、だ、め……」
「初めての閨だと言うのに、こんなに欲しがるとはな、いやらしい妻のおかげで萎えそうもない、この調子なら直ぐに子が出来るな?」
いやらしく欲しがっていると言われて、そんなはずないと言い返せなかった。なぜなら、このままずっと彼と繋がっていたいと願う気持ちがあったからだった。
けれど、そんなことを願った自分に後悔した。
その後も、彼に何度も腰を揺さぶられ、穿たれて最奥に熱い迸りを受けた。続けざまに襲い狂う絶頂の波に、何度も駄目と泣き叫んだが、離してはもらえなかった。
薄れる意識の中でダーヴィンが、汗や体液で塗れ乱れるリュシアの身体を抱き上げると、「早く俺の子を宿せ」と甘く囁く声が聞えた気がした――――。
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