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~Main story~

16.どうかしてる

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 がっついてくる感じに若さを感じる。 

――かわいいな…

 今日、再確認のために、兎野に好きかどうか聞いたが、好きじゃないと言われ、先程は少し腹が立ったが、そんな事どうでもよくなった。
 頬を軽く染めた兎野が何度も唇を重ねて来る。交わる舌の動きがねっとりと情熱的で、気を持っていかれそうだった。

「ちょっ、兎野…待って、あのさ、俺は準備が…」
「…俺がしたいダメ?」
「嫌だ、…さすがに、恥ずかしい」
「さっき、ちょっと勉強したから任せて欲しい」

 自分のシャツに兎野の手が伸び、ボタンが外された。その間も唇は何度も重なる。ズボンのベルトに手が伸び、カチャリと音が鳴ると、それは興奮材料に変わった。

「先生、勃ってる…」
「ん…、しょうがないだろ」
「…よかった、ちゃんと反応してる」

 兎野が安心した様子を見せながら、自身も服に手をかけ潔く全裸になる。否応なしに目に飛び込んで来る兎野の性器を目にし、思わずソコも男前なのか…、と葵は突っ込みたくなった。
 しっかりと男を感じさせる形と大きさに、思わず喉を鳴らした。兎野の形のよいソレは既に天を向いており、葵も何故かほっとした。
 何だかんだ言って、男の体に反応するかどうか心配だったこともあり、もし勃たなかったら、どうしようと、それなりに不安に思っていた。それにしても、発育の良い見事な体だと見惚れる。

「兎野、ホントに一緒に入るのか…?」
「入るよ」

 嬉しそうに微笑む兎野が、てきぱきと葵の服を脱がしていくと、ほ…っと色っぽい顔を浮かべ、ポスっと葵の肩に頭が乗っかる。

「嬉しい死にそう…」
「……」

――な、なんだ、この甘い雰囲気…俺が死ねる。

 葵の体を見ても、萎えること無く勃ちあがったままの性器が腹にあたり、熱い吐息が首筋にかかる。まだシャワーに入る前だと言うのに、下半身の熱にうなされ倒れそうになる。
 二人で風呂に入ると、兎野が葵の身体を洗い始めた。ゆっくりと足先から徐々に、上へと這い上がって来る手に、出したくも無い喘ぎが出る。

「センセ…かわいいね声…。まだ身体洗ってるだけなのに…」
「…なんか、触り方が…」
「うん?」
「…っ…」

 本当にはじめてなんだろうな?と疑いたくなるが、きっと兎野は葵に嘘は付かないと思った。
 忙しくなく動く手と、真剣な眼差しに犯され、時折、悪戯に触れられる性器への刺激で苦しいくらいだった。
 泡だらけになった身体を湯で流すと、兎野は先程買って来た潤滑剤を手に取った。自分で広げようと色々用意した道具もあるが、兎野に任せてしまって良さそうか?と考えていると…。

「センセ…、ここ座って…」
「ん…」
「腕首に回して…」

 言われるまま兎野に跨り首に手を回すと、彼の視線が葵の下半身へ移動した。

「先生のコレ想像してたけど…毛生えてないって思ってたけど…、少しある」

 ツっと性器の周りにある淡い茂みに触れながら、嬉しそうな顔を見せると可愛いと褒める。じっと見つめながらペニスの周りをさわさわ触り出す。確かに体毛は少ない方だが、そんなところを褒められると、どう対応していいか分からない。

「そんな、とこ、褒めるな…」
「だって、つるつる…」

 そう言って先端部分を指でなぞられる。

「毛無くても違和感なさそう…」
「俺が違和感ある…、も、恥ずかしいから、進めて…」

 手の平に取り出された潤滑剤が粘り気のある音を出し、兎野の手が後孔へと手が伸びると、ぞわぞわと背筋に寒気に似た物が走り出す。

「ひっ…」
「痛い?」
「痛くはないけど…」
「うん、ちょっと待ってて…ね、この辺りに…前立腺があるって書いてあったから探す…」

 くちゅっと水音がすると、出入りする指がクニクニと器用に弄りはじめる。違和感はあるが痛みはない、従わせたいなんて告白をされて、ずっと不安だったが、思いのほか優しい手つきと声にクラクラしてくる。
 
「あ、…ぁ…、…変」
「ここ?」

 頭を縦に振り呼吸を止めた。ピリっと走る電気のような快感が足先まで伝達する。胸元の飾りを口に含みながら、執拗に指が敏感な部分をじりじりと擦り上げる。

「ね、きもちいい? 俺を見てイって欲しい…」
「…ん、…んっ…」

 そんな恥ずかしいこと出来るわけない。頭を横に振りギュっと目を瞑るが、胸の尖った飾りをきゅっとかじられ、その刺激で思わず目を見開いた。

「ちゃんと見て」

 甘えるように言われ、舌を出し上目使いで強請られ、音が響き渡り恥ずかしさが倍増していく。
 一体どういう仕組みになっているのか。不思議に思うほど気持ちがいい。自分ばかりなのは申し訳ないのに、与えられる快楽が強烈で、それを必死で堪えるしか術がない、熱っぽい兎野の目がずっと剥がれない、目を逸らせば胸の飾りを甘噛みされ、引き戻される。

「なん、か、…恥ずかしい…」
「ん…」

 反響するバスルームに卑猥な粘着力音が響き、目の前の男は蕩けそうな顔で覗き込んで来る。そんな顔を見ていると、苦しくて切ない気持ちが込み上げ、泣き声のような喘ぎがほろほろと零れた。
 兎野が潤滑剤に手を伸ばし、さらに体内に液が追加されると圧迫感が倍増した。指の本数が増えたと感じる。ゆっくりと動かす指が、たまに凄く敏感な部分を掠めると、身体が跳ね上がっていく。

「…ん、あ……っ!」
「痛くない?」
「…ん…」

 短く返事を返すのが精一杯で、言葉は出なかった。性器も肌にあたり擦れて気持ちがいい、柔らかな唇でちゅっと吸われる胸元。何度も譫言うわごとのように可愛いと、褒めて来る目の前の男に見つめられ、壊れそうなほど心臓も煩い。心も体もそこら中が快楽にどろどろに溺れて行く…。

「ごめ…、も、…く、るっ…」

 今まで感じたことない快楽が襲ってくる。

「ん、…、んっー-っ」

 せり上がる熱に堪え切れず、ぎゅっと兎野へ抱き付き、腰を擦り付けるように揺らすと兎野の胸の辺りに飛沫が飛んだ。荒く呼吸を繰り返し、はっと我に返った。

「あ、ごめん…、俺ばっかり…」
「ん…なんか、先生の見てたら…俺もイった見たい」

 若さだろうか、触れること無く逝ったと言う彼の腹を見れば、確かに白濁した液が零れていた。
 くるくると目を丸くし見上げる顔が、愛しく思えて兎野の顎を取ると唇を重ねた。こんなに可愛い動物を前にして、無反応ではいられなかった。 

「…えっと、兎野…」
「そうた…、颯太だよ、弓弦さん」
「うん…」

――くすぐったい…。いや、ハズカシイ!

 何だ、この雰囲気、快楽に酔っている時はまだマシだが、ふと冷静になると羞恥が一気に襲ってくる。セックスってこんなに恥ずかしい物なのか。実際にはまだ前戯しかしてないが、ここから先こんなことを繰り返すのかと思うと、精神力が持つか不安になってくる。
 頬が熱いどころか全身がふわふわして、目の前が真っ白になっていく…そう思った次の瞬間、頭に激痛が走った――――。





「……? あれ…」
「大丈夫?」
「どうなった…」
「のぼせた見たいだよ」
「あー…そっか…」

 風呂であんなことをしたからだろう。そこまで考えて、とんでもなく恥ずかしい気持ちになった。あの光景を思い出しクラクラと脳が揺れる。

「今、何時だ?」
「23時だね、お水持って来る」

 体を起こすと、何故か頭が痛い。ズキズキする。おでこも後頭部も痛い。きっと何処かに頭をぶつけたのだろう。
 兎野が水を持ってくると、ペタとベッドに顔を埋め、目だけをこちらに向けた。

「悪かったな、そろそろ帰った方が良い」
「泊りたい…、弓弦さん、続きしたい…」
「そ、…そうだな。…ちょっとお互い勉強不足のようだから、ちゃんと勉強してからにしよう…」

 いったい自分は何を言ってるんだろうか。勉強してからしようと、生徒にセックスの約束をしている馬鹿な教師がここにいます。と訴えられないだろうか?
 
「勉強? 俺はしたから大丈夫、出来るだけ早くしたい」

――ぐいぐい来るな…

「気が変わる前に食べさせて欲しい」
「あー…、うん、気は変わらないと思うが、やっぱり高校卒業してからにしようか」
「なぜ?」
「その方が俺の気が楽だから」

 今回は、ちょっと衝動的だったこともあり、やはり準備不足はお互いよくないと思った。
 
「卒業してからなんて駄目だ。弓弦さんの気が変わるかもしれない」
「変わらないって!」
「なんで言い切れるんだよ…」
「そりゃ、好きだか、…っ」

 思わず口を押えた。
 平凡な日常が崩れ、目の前の変態な男に思考を惑わされ、こんな恥ずかしい思いをさせられて、まさか嫉妬に駆られて誘ったとか、本当にどうしたんだ…。葵はベッドに俯せになり顔を伏せた。

「俺を好きになった?」
「……そうだよ」
「本当に…?」
「何で、お前みたいな馬鹿な男…」
「俺、学年トップなんだけど」
「知ってるよ!!!」

 本当にどうかしてる…――――。



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