61 / 75
約束(3)
しおりを挟む
「なんで……、噛むの?」
ステファンに顔を向けると、噛みたくなったからだと、答えにもならない答えを囁かれる。そのまま唇を塞がれて、それ以上何も聞けなくなった。
「ん……、んん……っ」
包まれた中心への刺激が大きくなってゆく。フランは足を閉じようとしてもぞもぞともがいた。軽く下げられていたキュロットとタイツが膝の下にずり落ちてゆく。ステファンの左手が腰を抱き、するりと直に撫でる。右手はフランのもどかしい場所をゆっくりと上下に擦り始めた。
(あ、だめ……)
逃げ出したい気持ちに襲われるが、大事な場所を握られているので動くことができない。
「あ、あ……、あっ! だ、だめ……っ」
ステファンの右手をどうにか掴んで引きはがし、カウチからよろよろ立ち上がった。キュロットに足を取られて転びかけたところを、腰を掴まれて引き戻される。背後から抱き込むような形でステファンの膝の上に乗せられてしまった。
え? と思う間もなく、ステファンが膝を使ってフランの脚を左右に開く。露になった中心が丸い頭をピンと天井に向けて、ぴくぴく震えているのが見えた。
羞恥のあまり耳から首までがカーッと熱くなる。
「どうする? 自分で触るか? それとも俺に任せるか?」
つむじに吐息がかかる。こんな時まで自分で考えて決めなければいけないのか。そう思ったら、泣きそうになった。
小さく首を振ると「どっちだ」と笑われる。笑われても何も答えられない。もう一度首を振って、ぐすっと鼻を鳴らした。
「ああ、泣くな……」
耳の後ろに軽く唇を押し当てながらステファンが宥める。
「だったら、俺が決めるぞ」
そのまま、耳を噛まれて「ん……」と吐息が漏れる。首をすくめるのと同時に、張りつめていたものが再び大きな手に中に包まれた。ぎゅっと握りこまれ、先端をくるりと親指で撫でられる。
「あ……」
全身がブルっと震えて、ざわりと鳥肌が立った。腰の真ん中あたりから熱いものがこみ上げてくる。
「あ、あ……、ステファン……!」
両手をステファンの腿に突いて、ぎゅっと力をこめた。軽く噛まれていた耳に熱い舌が差し込まれる。フランを包んでいた長い指が上下の動きを大きくする。
「あ、あ、ああ……っ」
「フラン……」
耳に息を吹き込むように名前を呼ばれ、身体がビクリと震えた。ぎゅっと縛り出すように指を使われて、「あ」という短い悲鳴と一緒に、フランは白い液体を大きな手の中に溢れさせた。いつの間に用意したのか、麻の手巾が素早く鈴口に被せられる。
「あ、あ……、ん……」
目を閉じて、ビクビクと震えながら溜まっていたものを吐き出す。ドキドキと早かった心臓が落ち着くのと一緒に、気持ちもすーっと凪いでいった。はあっと、満ち足りた吐息が唇から零れ落ちる。
「すっきりしたか」
ステファンに背中を預けたまま、こくりと頷いた。終わってしまえば、なんだか甘い心地よさが駆け抜けただけに思える。
「うん」
「なら、よかった」
ステファンは笑い「なかなかいい眺めだったぞ」と付け足した。
(いい眺め……?)
つむじにかかる吐息に、はっと目を見開く。まだ露になったままの股間が目に入り、慌てて脚を閉じる。けれど、なんだか全体的にいまさらな感じが強い。
ステファンは「ちょっと、いい眺めすぎたかもしれん」と言って、ふうっと息を吐き出した。同時に尻の下にゴリっとした熱を感じて、フランはぎょっとした。
(こ、これは……)
再び心臓がドキドキし始める。
(ステファンの……)
間違いない。ヒートの時に何度も繰り返しフランの中に突き立てられたものだ。ステファンのそれはフランのものとは比べものにならないくらい立派で大きい。今も尻に押し当てられている熱塊は、フランの拳ほどの大きさに感じる。もしかすると、もっと大きいかもしれない。
なんだか熱すぎて、もぞりと尻を動かした。こんなものが、よくあんな狭いところに入ったものだと感心していると、尻の下のものがさらに膨らんで、頭の上から「はあ……」と切なげなため息が聞こえた。
フランははっとした。
(そ……、そうか……)
アルファもベータも、オメガと同じように、あれを出さなくてはいけないのだ。ならば、今のステファンも、きっと……。
「あ、あの……、ステファン……?」
「なんだ」
「ステファンも……、その、出したいよね? 僕、手伝おうか?」
「はあ?」
フランは半身をよじってステファンを振り向いた。ちょっとドキドキするけれど、恥ずかしいことではないとステファンも言っていたし、すっかりお世話になってしまった身としては、恩返しをしなければと強く思う。
ステファンは奇妙な顔をしていたが、すっかりスッキリしてしまったフランはテキパキと行動した。いったんステファンの膝から降り、タイツとキュロットを引っ張り上げて、元通りに小さくなったものを素早く隠す。
正面からステファンと向かい合うと、青い目をキラキラ光らせて、整った顔をまっすぐ見つめた。
けれど、美しいその顔は嫌いな食べ物を口に入れた時のように、奇妙に歪んだままだった。視線を移動させると、もっこりと膨らんだ股間が目に入った。
パッと顔を輝かせるフランを見て、ステファンはなぜか素早く、さっという感じで脚を組んでしまう。
「ステファン?」
「そ、そんな気は、遣わなくていい」
「でも……」
「いい。大丈夫だ。俺は、その……、慣れている」
自分でできる、と黒い瞳を明後日の方向に泳がせながら頷く。耳が少し赤かった。
「構うな。おまえはもう風呂に入って、寝ろ」
「えー……」
「えー、じゃない。いいから、はやく、寝ろっ」
なんだか納得できなかったが、ステファンがそう言うのなら仕方ない。フランはしぶしぶ、目の前でがっくりと顔を伏せてしまった人の言葉に従った。
ステファンに顔を向けると、噛みたくなったからだと、答えにもならない答えを囁かれる。そのまま唇を塞がれて、それ以上何も聞けなくなった。
「ん……、んん……っ」
包まれた中心への刺激が大きくなってゆく。フランは足を閉じようとしてもぞもぞともがいた。軽く下げられていたキュロットとタイツが膝の下にずり落ちてゆく。ステファンの左手が腰を抱き、するりと直に撫でる。右手はフランのもどかしい場所をゆっくりと上下に擦り始めた。
(あ、だめ……)
逃げ出したい気持ちに襲われるが、大事な場所を握られているので動くことができない。
「あ、あ……、あっ! だ、だめ……っ」
ステファンの右手をどうにか掴んで引きはがし、カウチからよろよろ立ち上がった。キュロットに足を取られて転びかけたところを、腰を掴まれて引き戻される。背後から抱き込むような形でステファンの膝の上に乗せられてしまった。
え? と思う間もなく、ステファンが膝を使ってフランの脚を左右に開く。露になった中心が丸い頭をピンと天井に向けて、ぴくぴく震えているのが見えた。
羞恥のあまり耳から首までがカーッと熱くなる。
「どうする? 自分で触るか? それとも俺に任せるか?」
つむじに吐息がかかる。こんな時まで自分で考えて決めなければいけないのか。そう思ったら、泣きそうになった。
小さく首を振ると「どっちだ」と笑われる。笑われても何も答えられない。もう一度首を振って、ぐすっと鼻を鳴らした。
「ああ、泣くな……」
耳の後ろに軽く唇を押し当てながらステファンが宥める。
「だったら、俺が決めるぞ」
そのまま、耳を噛まれて「ん……」と吐息が漏れる。首をすくめるのと同時に、張りつめていたものが再び大きな手に中に包まれた。ぎゅっと握りこまれ、先端をくるりと親指で撫でられる。
「あ……」
全身がブルっと震えて、ざわりと鳥肌が立った。腰の真ん中あたりから熱いものがこみ上げてくる。
「あ、あ……、ステファン……!」
両手をステファンの腿に突いて、ぎゅっと力をこめた。軽く噛まれていた耳に熱い舌が差し込まれる。フランを包んでいた長い指が上下の動きを大きくする。
「あ、あ、ああ……っ」
「フラン……」
耳に息を吹き込むように名前を呼ばれ、身体がビクリと震えた。ぎゅっと縛り出すように指を使われて、「あ」という短い悲鳴と一緒に、フランは白い液体を大きな手の中に溢れさせた。いつの間に用意したのか、麻の手巾が素早く鈴口に被せられる。
「あ、あ……、ん……」
目を閉じて、ビクビクと震えながら溜まっていたものを吐き出す。ドキドキと早かった心臓が落ち着くのと一緒に、気持ちもすーっと凪いでいった。はあっと、満ち足りた吐息が唇から零れ落ちる。
「すっきりしたか」
ステファンに背中を預けたまま、こくりと頷いた。終わってしまえば、なんだか甘い心地よさが駆け抜けただけに思える。
「うん」
「なら、よかった」
ステファンは笑い「なかなかいい眺めだったぞ」と付け足した。
(いい眺め……?)
つむじにかかる吐息に、はっと目を見開く。まだ露になったままの股間が目に入り、慌てて脚を閉じる。けれど、なんだか全体的にいまさらな感じが強い。
ステファンは「ちょっと、いい眺めすぎたかもしれん」と言って、ふうっと息を吐き出した。同時に尻の下にゴリっとした熱を感じて、フランはぎょっとした。
(こ、これは……)
再び心臓がドキドキし始める。
(ステファンの……)
間違いない。ヒートの時に何度も繰り返しフランの中に突き立てられたものだ。ステファンのそれはフランのものとは比べものにならないくらい立派で大きい。今も尻に押し当てられている熱塊は、フランの拳ほどの大きさに感じる。もしかすると、もっと大きいかもしれない。
なんだか熱すぎて、もぞりと尻を動かした。こんなものが、よくあんな狭いところに入ったものだと感心していると、尻の下のものがさらに膨らんで、頭の上から「はあ……」と切なげなため息が聞こえた。
フランははっとした。
(そ……、そうか……)
アルファもベータも、オメガと同じように、あれを出さなくてはいけないのだ。ならば、今のステファンも、きっと……。
「あ、あの……、ステファン……?」
「なんだ」
「ステファンも……、その、出したいよね? 僕、手伝おうか?」
「はあ?」
フランは半身をよじってステファンを振り向いた。ちょっとドキドキするけれど、恥ずかしいことではないとステファンも言っていたし、すっかりお世話になってしまった身としては、恩返しをしなければと強く思う。
ステファンは奇妙な顔をしていたが、すっかりスッキリしてしまったフランはテキパキと行動した。いったんステファンの膝から降り、タイツとキュロットを引っ張り上げて、元通りに小さくなったものを素早く隠す。
正面からステファンと向かい合うと、青い目をキラキラ光らせて、整った顔をまっすぐ見つめた。
けれど、美しいその顔は嫌いな食べ物を口に入れた時のように、奇妙に歪んだままだった。視線を移動させると、もっこりと膨らんだ股間が目に入った。
パッと顔を輝かせるフランを見て、ステファンはなぜか素早く、さっという感じで脚を組んでしまう。
「ステファン?」
「そ、そんな気は、遣わなくていい」
「でも……」
「いい。大丈夫だ。俺は、その……、慣れている」
自分でできる、と黒い瞳を明後日の方向に泳がせながら頷く。耳が少し赤かった。
「構うな。おまえはもう風呂に入って、寝ろ」
「えー……」
「えー、じゃない。いいから、はやく、寝ろっ」
なんだか納得できなかったが、ステファンがそう言うのなら仕方ない。フランはしぶしぶ、目の前でがっくりと顔を伏せてしまった人の言葉に従った。
1
お気に入りに追加
430
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
拾った駄犬が最高にスパダリ狼だった件
竜也りく
BL
旧題:拾った駄犬が最高にスパダリだった件
あまりにも心地いい春の日。
ちょっと足をのばして湖まで採取に出かけた薬師のラスクは、そこで深手を負った真っ黒ワンコを見つけてしまう。
治療しようと近づいたらめちゃくちゃ威嚇されたのに、ピンチの時にはしっかり助けてくれた真っ黒ワンコは、なぜか家までついてきて…。
受けの前ではついついワンコになってしまう狼獣人と、お人好しな薬師のお話です。
★不定期:1000字程度の更新。
★他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる