サンドリヨンは眠れない

【１０】－５

「保管には、十分な注意を払うと約束しよう」
「せいぜいそうしてくれ。万が一、破損したり紛失したりした場合は、販売価格での買取りを要求するからな」
「肝に銘じておこう」
　拓馬が立ち去る気配がして、玲は慌ててドアから離れた。
（シンデレラに、直接……？）
　何か、すごく嫌な予感がする。考えてみると、朝のテレビでも同じようなことを言っていた気がする。
『ネックレスは、消えたシンデレラに直接返す。周防氏はそう言っています』
　なぜ、そんなことを言うのだろう。
『必ず、本人に』
　そもそもネックレスは周防が奪ったようなものだ。
『麗しの王子は、もう一度シンデレラに会いたいようですね』
　そうなのか？
　周防は「レイ」に会いたいのだろうか……。