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終わり
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都会の建物という物は、どこか肌寒くも温い。ただひたすらに人の飛び交う交差点を眺めながら啜る、コーヒーのようだ。
舌の痺れる程に最適化された造形美。置かれた造花の模造美。
風は窮屈そうに吹き抜けた。烏は暑そうに嘴を開き息をした。空気は驚いて力んだ。人は張り詰めた空気の中息をする。
タバコの煙が、幻のように消えていく。悪魔の吐息のようだ。しかし、タバコが悪い訳では無い。ただ、道に落ちたタバコがこれ以上に憎いのだ。
コーヒーを啜る。何も入っていない、混じり気のないコーヒー。純粋なコーヒー。
ビルの三階にあるファミレスから、外を眺める。
人は東京と比べ少ない名古屋駅裏だが、その活気は反吐の出るほどに不味く美味だ。
家電屋は、せっせと情弱を落とし穴に突き落とした。悪い訳では無い。ただ、正しい内容と卑怯な表紙が釣り合っていないだけだ。だから不味く美味なのだ。
コーヒーのようだ。
また一口、口に含み舌の上で転がす。苦みなど忘れた舌はそれを美味と感じる。
家電屋の左横のビル、私から見て正面のビルの電子公告鈑は音と不自然な光、その両方で人々を刺激した。
道路すら照らす広告鈑。だれも通らない時間帯な為か、寂しく見えてしまう。
私は、コーヒーを最後まで啜り。店を出た。
銀時計。そこには相変わらず人が群がり、静かにまたは楽しそうに過ごしている。その両脇の新幹線乗口では困った顔をした顔が見受けられ、新幹線が遅延等をしているのだろうと伺えた。
横目で流し足を進める。JR改札、うどん屋、鉄道警察交番等を通り過ぎ、シャッターの銀に囲われた高々と輝く金時計が、そこに鎮座していた。
銀時計と同様、多少の人達が屯し、虚しく賑わっていた。
それすらも無視し駅の外に歩き続ける。出た正面、タクシー乗車所の奥側は空っぽになってしまったものだ。銀色の渦巻き、飛翔が無くなり今は見通しの良い場所となった。依然として交通量の多い名古屋な為、見えるのは車とビルのみではあるが。
私は地下に入った。東山線。そんな地下鉄だ。
改札前、献血募集の男の姿はない。眠ってしまったシャッター街になっている。
私は鞄から定期券を出し、改札を通る。
息苦しい地下の空気を胸いっぱいに吸い込み階段を下り、長く狭いホームに足を入れる。
そして電車に乗った。
家に帰れば、また明日が来て今日の繰り返しだろうと、胸の内で思った。
舌の痺れる程に最適化された造形美。置かれた造花の模造美。
風は窮屈そうに吹き抜けた。烏は暑そうに嘴を開き息をした。空気は驚いて力んだ。人は張り詰めた空気の中息をする。
タバコの煙が、幻のように消えていく。悪魔の吐息のようだ。しかし、タバコが悪い訳では無い。ただ、道に落ちたタバコがこれ以上に憎いのだ。
コーヒーを啜る。何も入っていない、混じり気のないコーヒー。純粋なコーヒー。
ビルの三階にあるファミレスから、外を眺める。
人は東京と比べ少ない名古屋駅裏だが、その活気は反吐の出るほどに不味く美味だ。
家電屋は、せっせと情弱を落とし穴に突き落とした。悪い訳では無い。ただ、正しい内容と卑怯な表紙が釣り合っていないだけだ。だから不味く美味なのだ。
コーヒーのようだ。
また一口、口に含み舌の上で転がす。苦みなど忘れた舌はそれを美味と感じる。
家電屋の左横のビル、私から見て正面のビルの電子公告鈑は音と不自然な光、その両方で人々を刺激した。
道路すら照らす広告鈑。だれも通らない時間帯な為か、寂しく見えてしまう。
私は、コーヒーを最後まで啜り。店を出た。
銀時計。そこには相変わらず人が群がり、静かにまたは楽しそうに過ごしている。その両脇の新幹線乗口では困った顔をした顔が見受けられ、新幹線が遅延等をしているのだろうと伺えた。
横目で流し足を進める。JR改札、うどん屋、鉄道警察交番等を通り過ぎ、シャッターの銀に囲われた高々と輝く金時計が、そこに鎮座していた。
銀時計と同様、多少の人達が屯し、虚しく賑わっていた。
それすらも無視し駅の外に歩き続ける。出た正面、タクシー乗車所の奥側は空っぽになってしまったものだ。銀色の渦巻き、飛翔が無くなり今は見通しの良い場所となった。依然として交通量の多い名古屋な為、見えるのは車とビルのみではあるが。
私は地下に入った。東山線。そんな地下鉄だ。
改札前、献血募集の男の姿はない。眠ってしまったシャッター街になっている。
私は鞄から定期券を出し、改札を通る。
息苦しい地下の空気を胸いっぱいに吸い込み階段を下り、長く狭いホームに足を入れる。
そして電車に乗った。
家に帰れば、また明日が来て今日の繰り返しだろうと、胸の内で思った。
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