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奇人ホイホイ
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前回の『不思議な住人』に関連した話を今回はしようと思う。
私は何故かに奇人に好かれる傾向があるらしく、彼らによって何度か恐ろしい目に遭っている。なのでそのエピソードを2つほど紹介しよう。
1.「僕、ジバニャン。」
ある時、私は異性の方から告白をされた。
その告白してきた人をSさんとしよう。
嬉しい気持ちはあったが、残念ながら私にとってSさんはタイプでは無かったため、お付き合いを辞退させてもらった。
悲しみにくれたSさんは私をストーカーし始めて…ということは無く、それから数年が経ったある日、何かのイベントで私はSさんと再会をした。「久しぶりー」と軽い挨拶をしてからすぐに別れたのだが、そこから恐怖体験が始まってしまった。
その帰り道にバスを待っていると、LINEでSさんから何枚か『この写真でボケて』の画像が送られてきた。それをする意図が分からなかったが取り敢えず「面白いね!」とだけ返すと直ぐに既読が付き、また何枚か『ボケて』の画像が届いた。適当に返事をしていると、別の人からもLINEが来た。見てみると全く知らない人だったので一瞬警戒をしたが、メッセージに
「こんにちは、Sの友達のKです。私もあのイベントに参加していたので、Sからとろろさんの連絡先を貰いました。よろしくお願いします。」
と書いてあったため、直ぐに安心した。
今思うと、どこにも安心できる要素が無いのだが、過去の私はアホウドリレベルで警戒心がゼロだったのだろう。
アホウドリ(私)は「とろろです。よろしくお願いします。」と返すと、こちらも直ぐに既読が付き、今度は雑談的な内容が来た。その間もSさんから『ボケて』が送られてきていた。
写真を送り続けるSさん、顔が全く分からないKさんの2人を相手に永遠とLINEのやりとりをしていたが、Sさんからパンパースの写真が送られてきたところでいよいよ面倒臭くなり、適当に会話を終わらせようとしたその時だった。
Kさんからこんなメッセージが届いた。
「私、Sだよ。」
思考が停止した。
何を言っているのか分からず、しばらく考えた後に、「そうか、2人は今一緒にいて私を騙そうとしているに違いない。」という結論に至った。
「2人でドッキリでもしてるの?」
と送ると、
KのLINE:「ううん」
SのLINE:「つまり」
KのLINE:「こういうことだよ」
と2人から返ってきて、私は分かりたくもない真実を理解してしまった。
「この人、スマホ2台で私に話しかけているんだ…」
途端に今まで話していた相手が気持ち悪くなり、つい
「そんなことをする人だったの?」
と聞いたら
「とろろさんはそんなことを言う人だったんだ。」
と何故か逆ギレをされ、その後、返信がなかった。
これ以上関わりたくもないため言及するのはやめたが、何故かアホウドリの私は相手をブロックしなかった。これで終わりだと思ったから。
しかし数週間後、またメッセージが届いた。送られてきた言葉はこうだ。
SのLINE:「僕、ジバニャン。百裂肉球にゃにゃにゃにゃにゃ!」
正気を疑った。
流石に相手の狂気を感じ取った私は、返信せずにブロックをした。
そして数年後、また再会をしてしまう訳だが、それはまた別の話。
2.「家の近くに殺人鬼がいるの。」
学生の頃、町内運動会である女の子と知り合った。今度は、その子をAさんとおこう。
同じチームということもあり、運動会中はずっと一緒にいた。
運動会が終わってから、数週間が経った時に私はAさんと図書館に行く途中で再会した。
「どこに行くの?」と聞かれたので、「図書館だよ。」と応えると「私も行く。」と言って着いてきた。
その時は特に気にもとめずに「じゃあ一緒に行こうか。」と言って2人で図書館に向かった訳だが、その子に異変を感じたのは帰り際だった。
図書館を出てすぐの分かれ道で
「あっちに私の家がある。」
とAさんが言ったので、私は
「そっか。じゃあここでお別れだね。ばいばい。」
と別れようとするとAさんは首を振った。
「ダメなの。17時にならないとお母さんが帰ってこないから家に入れない。」
「家の前で待ってればいいんじゃない?」
それの何が問題なんだと、首を傾げた瞬間、
「ダメなの!家の周りには殺人鬼がいる!殺される!」
とAさんは叫び始めた。
「お願い、とろろの家に連れてって。」
そう言う彼女の目は本気で、私は危険を察した。
普通ならやんわりと断って逃げるべきだが、何故かその気迫に圧されて断れなかった。その上、私は素直に自分の家まで行き、相手に住所を教えてしまった。
ここがアホウドリである私の凄さ(反省点)である。
家族の誰かにその子を説得して貰おうと思ったが、不幸なことに家に着くと誰も帰ってきていなかっため、どうするか悩んでいるAさんが突然、
「お腹が痛い!トイレを貸して!」
と叫んだ。
流石に泣きたくなったが、漏らされても困るため渋々トイレを貸した。
彼女は用を足した後も帰ろうとはせず、仕方無く私は17時になるまで玄関の前でその子の話し相手をしていた。
Aさんは帰る前に「明日、遊びに来てもいい?」と私に尋ねた。
心の中で「勘弁してくれ!」と叫びつつ、「明日は予定が合っていないんだ。ごめんね。」と誤魔化すと「ふーん」と言って、Aさんは帰って行った。
不思議なのだが、Sさんといい、何故彼らは一日で奇行を止めてはくれないのだろうか。
そう、その次の日、お昼頃に家のチャイムが鳴った。
まさか、と思いインターホンを覗くと、
いた。
笑いながら玄関の前で立っているAさんにめそめそ泣きながら居留守を使い、なんとか帰ってもらったのだが近所に住んでるということもあり、しばらく私は外に出るのが怖かった。
この2つ、特に後者は近所にいる『不思議な住人』よりも100倍は恐怖を感じる体験だった。
そういえば上記では会いたくない奇人を紹介をしたが、私の周りにも癖の強い人間は結構いる。行動、思考、家庭環境 etc…。
知り合いの癖が強すぎて、最近は生半可な事じゃ驚かなくなったほどだ。
例えば、友人で実家に池付きの庭やシャンデリアがあり、庭師・料理人・運転手などを雇っている子がいた。貴族か。
漫画でしか見たことがない家庭環境にあんぐり口を開けていた覚えがある。また、火は本当に熱いのか疑問に思いコンロに指を突っ込んだ友人や、どんな場所であろうと誰かに「バン!」と言われて撃たれれば「うっ…」と呻いて倒れる元カノもいた。
ちなみに現在、私には東大生の彼氏がいるが、やはり彼も中々の変人だ。
アセチルサリチル酸の化学式は知っているのに、潮干狩りのことを「干上がった海からアワビやホタテをとることやろ。」と言ったり、メルセンヌ素数の美しさを語り出したかと思えば、薬指の名前が分からず「これはセカンドタワー…せやな?」と変な名前を強要してきたりする人間だ。
あまりにも面白い人物なのでこの話はまとめて書きたいと思う。
なんかこれを書いていると意外と変人はそこらじゅうにいるものなんだなと気付いてしまったので、今日はこれにて。
私は何故かに奇人に好かれる傾向があるらしく、彼らによって何度か恐ろしい目に遭っている。なのでそのエピソードを2つほど紹介しよう。
1.「僕、ジバニャン。」
ある時、私は異性の方から告白をされた。
その告白してきた人をSさんとしよう。
嬉しい気持ちはあったが、残念ながら私にとってSさんはタイプでは無かったため、お付き合いを辞退させてもらった。
悲しみにくれたSさんは私をストーカーし始めて…ということは無く、それから数年が経ったある日、何かのイベントで私はSさんと再会をした。「久しぶりー」と軽い挨拶をしてからすぐに別れたのだが、そこから恐怖体験が始まってしまった。
その帰り道にバスを待っていると、LINEでSさんから何枚か『この写真でボケて』の画像が送られてきた。それをする意図が分からなかったが取り敢えず「面白いね!」とだけ返すと直ぐに既読が付き、また何枚か『ボケて』の画像が届いた。適当に返事をしていると、別の人からもLINEが来た。見てみると全く知らない人だったので一瞬警戒をしたが、メッセージに
「こんにちは、Sの友達のKです。私もあのイベントに参加していたので、Sからとろろさんの連絡先を貰いました。よろしくお願いします。」
と書いてあったため、直ぐに安心した。
今思うと、どこにも安心できる要素が無いのだが、過去の私はアホウドリレベルで警戒心がゼロだったのだろう。
アホウドリ(私)は「とろろです。よろしくお願いします。」と返すと、こちらも直ぐに既読が付き、今度は雑談的な内容が来た。その間もSさんから『ボケて』が送られてきていた。
写真を送り続けるSさん、顔が全く分からないKさんの2人を相手に永遠とLINEのやりとりをしていたが、Sさんからパンパースの写真が送られてきたところでいよいよ面倒臭くなり、適当に会話を終わらせようとしたその時だった。
Kさんからこんなメッセージが届いた。
「私、Sだよ。」
思考が停止した。
何を言っているのか分からず、しばらく考えた後に、「そうか、2人は今一緒にいて私を騙そうとしているに違いない。」という結論に至った。
「2人でドッキリでもしてるの?」
と送ると、
KのLINE:「ううん」
SのLINE:「つまり」
KのLINE:「こういうことだよ」
と2人から返ってきて、私は分かりたくもない真実を理解してしまった。
「この人、スマホ2台で私に話しかけているんだ…」
途端に今まで話していた相手が気持ち悪くなり、つい
「そんなことをする人だったの?」
と聞いたら
「とろろさんはそんなことを言う人だったんだ。」
と何故か逆ギレをされ、その後、返信がなかった。
これ以上関わりたくもないため言及するのはやめたが、何故かアホウドリの私は相手をブロックしなかった。これで終わりだと思ったから。
しかし数週間後、またメッセージが届いた。送られてきた言葉はこうだ。
SのLINE:「僕、ジバニャン。百裂肉球にゃにゃにゃにゃにゃ!」
正気を疑った。
流石に相手の狂気を感じ取った私は、返信せずにブロックをした。
そして数年後、また再会をしてしまう訳だが、それはまた別の話。
2.「家の近くに殺人鬼がいるの。」
学生の頃、町内運動会である女の子と知り合った。今度は、その子をAさんとおこう。
同じチームということもあり、運動会中はずっと一緒にいた。
運動会が終わってから、数週間が経った時に私はAさんと図書館に行く途中で再会した。
「どこに行くの?」と聞かれたので、「図書館だよ。」と応えると「私も行く。」と言って着いてきた。
その時は特に気にもとめずに「じゃあ一緒に行こうか。」と言って2人で図書館に向かった訳だが、その子に異変を感じたのは帰り際だった。
図書館を出てすぐの分かれ道で
「あっちに私の家がある。」
とAさんが言ったので、私は
「そっか。じゃあここでお別れだね。ばいばい。」
と別れようとするとAさんは首を振った。
「ダメなの。17時にならないとお母さんが帰ってこないから家に入れない。」
「家の前で待ってればいいんじゃない?」
それの何が問題なんだと、首を傾げた瞬間、
「ダメなの!家の周りには殺人鬼がいる!殺される!」
とAさんは叫び始めた。
「お願い、とろろの家に連れてって。」
そう言う彼女の目は本気で、私は危険を察した。
普通ならやんわりと断って逃げるべきだが、何故かその気迫に圧されて断れなかった。その上、私は素直に自分の家まで行き、相手に住所を教えてしまった。
ここがアホウドリである私の凄さ(反省点)である。
家族の誰かにその子を説得して貰おうと思ったが、不幸なことに家に着くと誰も帰ってきていなかっため、どうするか悩んでいるAさんが突然、
「お腹が痛い!トイレを貸して!」
と叫んだ。
流石に泣きたくなったが、漏らされても困るため渋々トイレを貸した。
彼女は用を足した後も帰ろうとはせず、仕方無く私は17時になるまで玄関の前でその子の話し相手をしていた。
Aさんは帰る前に「明日、遊びに来てもいい?」と私に尋ねた。
心の中で「勘弁してくれ!」と叫びつつ、「明日は予定が合っていないんだ。ごめんね。」と誤魔化すと「ふーん」と言って、Aさんは帰って行った。
不思議なのだが、Sさんといい、何故彼らは一日で奇行を止めてはくれないのだろうか。
そう、その次の日、お昼頃に家のチャイムが鳴った。
まさか、と思いインターホンを覗くと、
いた。
笑いながら玄関の前で立っているAさんにめそめそ泣きながら居留守を使い、なんとか帰ってもらったのだが近所に住んでるということもあり、しばらく私は外に出るのが怖かった。
この2つ、特に後者は近所にいる『不思議な住人』よりも100倍は恐怖を感じる体験だった。
そういえば上記では会いたくない奇人を紹介をしたが、私の周りにも癖の強い人間は結構いる。行動、思考、家庭環境 etc…。
知り合いの癖が強すぎて、最近は生半可な事じゃ驚かなくなったほどだ。
例えば、友人で実家に池付きの庭やシャンデリアがあり、庭師・料理人・運転手などを雇っている子がいた。貴族か。
漫画でしか見たことがない家庭環境にあんぐり口を開けていた覚えがある。また、火は本当に熱いのか疑問に思いコンロに指を突っ込んだ友人や、どんな場所であろうと誰かに「バン!」と言われて撃たれれば「うっ…」と呻いて倒れる元カノもいた。
ちなみに現在、私には東大生の彼氏がいるが、やはり彼も中々の変人だ。
アセチルサリチル酸の化学式は知っているのに、潮干狩りのことを「干上がった海からアワビやホタテをとることやろ。」と言ったり、メルセンヌ素数の美しさを語り出したかと思えば、薬指の名前が分からず「これはセカンドタワー…せやな?」と変な名前を強要してきたりする人間だ。
あまりにも面白い人物なのでこの話はまとめて書きたいと思う。
なんかこれを書いていると意外と変人はそこらじゅうにいるものなんだなと気付いてしまったので、今日はこれにて。
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