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第13章 2度目の学園生活
68 帰城命令
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私とコルネリアスの想いが通じ合った翌日。
王立学園の休日である闇の日ということでコルネリアスと2人で出掛ける約束をしていた。
初めてのデートということで持っている服の中でも一番可愛らしいワンピースを着て寮の前にあるベンチで待ち合わせをする。
まるで恋愛物語に出てくるような状況に心が踊っているなかで、少しでも落ち着こうと本を読んで時間まで待つことにした。
「ティア!すまない!」
しばらくすると走ってきた彼は申し訳なさそうに謝ると私の前で頭を下げる。
けれど、長い間待っていたのは私が約束の半刻近く前にいたのが理由でコルネリアスが遅れたわけではない。そもそも、現在の時刻でも約束した時間よりは早いくらいだ。
「そ、そんなに慌ててどうしたの?」
あまりに慌てた様子に心配になった。心当たりがなかったため、とりあえず理由を聞いてみるとコルネリアスは顔色を悪くしながらも口を開いた。
「今日のデートに行けなくなった……父上から帰城命令が下されたのだ」
どうやら、ついさっき影からの伝達で帰城命令が届けられたらしい。それも王立学園にある転移陣の使用が認められるほどの緊急の帰城命令だそうだ。
「このタイミングとなると……」
「ああ。十中八九は私とティアのことだろうと思うが……ここまで急ぎの理由がわからない」
コルネリアスのことを陰ながら見守っている王の影は、護衛をすると同時に国王への報告も兼ねている。リーファスは王立学園で起きたほぼ全てを把握しているわけで、正式に関係を進めようとしている私たちに対して何かしらの干渉をしてきてもおかしくはないだろう。
けれど、いつも通りに馬車を使ってではなく転移陣を使ってとなるとよほどの事態ということになる。
「何があったのか分からないけれど、緊急事態なのだろうし私のことは気にしなくていいよ。行ってきて」
「ありがとう……父上が何をしようとしているのか不安だが、ある意味で好機でもある。父上に認めさせることが第一歩だからな」
「そうだね……私たちのためにも頑張って」
「ありがとう。この埋め合わせはいつか必ず」
コルネリアスはそう言うと本校舎の方へ去っていった。本校舎の地下には王鍵と繋がっている基幹の魔術具が存在する。その近くには結界の制御装置なども存在しており転移用魔術具が置かれている部屋もあった。
そこから王城にある転移の間へと空間転移をするのだろう。
「さて……どうしようかな」
コルネリアスのことを見送った私は予定がなくなった今日と明日の休日をどう過ごそうかと悩む。
コルネリアスへの帰城命令に関係しているのか、少し離れた場所から王の影の一部が私の様子を探っているのだ。
ブラッドのように気配を完全に消すことはできていないが王の影に所属している時点で隠密部隊としては相当な実力を持っているということになる。やりようにやっては街中でも監視を撒くことも可能だが、下手なことをして相手の警戒を強めてしまうことは避けたい。
「ん?」
「あれ?ティアじゃない!これからお出かけ?」
見知った気配を感じて振り返るとマリアがいた。
マリアは見慣れた制服と腰には短剣と短い杖という、どこかに戦いにでも行くかの格好だった。
「コルネリアスと出掛けるつもりだったんだけど急用みたいでね。マリアは街の外にでも行くの?」
「うん。この前の演習で力不足を感じだからね。少し前に冒険者登録したんだ」
マリアは2週間ほど前に冒険者登録したらしく休日など時間があるときに依頼を受けているそうだ。今はEランクでゴブリンのような下位の魔物の相手がほとんどだが一人でも戦えるように特訓しているらしい。
魔力が高いとはいえマリアは防御や治癒など支援に特化した魔術使いに分類されるタイプだ。単独での戦闘となれば一筋縄ではいかないはずで少し心配に思えた。
「私も付いていっていい?」
「むしろありがたいくらいだけど……良いの?」
「マリアと依頼を受けるのも楽しそうだから。それに、たまにはギルドにも顔を出しておきたいからね」
そう言って私たちは、そのまま学園都市にある冒険者ギルド支部に向かった。
マリアは既に何回も通っているようだが、私は王立学園に入学してから冒険者ギルドを訪れていなかったため初めて入る場所だ。
ラティアーナの頃にも使ったことがなく本当の意味で初めて利用することになる。
「マリアちゃんいらっしゃい!」
ギルド支部に入ってカウンターに向かうと受付嬢の一人が声を掛けてきた。
どうやらマリアとは親しい間柄のようで「久しぶり!」と嬉しそうに話している。
「お隣のお嬢さんはマリアのお友達ですか?」
「そう。私と同じで王立学園に通っていてクラスメイトなの」
「どうもティアです。はじめまして」
私は挨拶をしながら魔法袋の中からプレートを取り出してカウンターの上に置く。
「はじめまして。冒険者の方だったのですね。私は受付担当のリリィです……っと、ティアさん宛てにお手紙が来てますね。少々、お待ちください!」
冒険者ギルドには各支部ごとにギルドプレートを管理するための魔術具が設置されている。私の詳しい仕組みまでは知らないが支部ごとに通信を可能にしていて冒険者ギルド全体のネットワークのようなものを構築しているらしい。
そして、その機能を利用してギルドでは冒険者に対してギルド間でのメッセージのやり取りを提供していた。イメージとしては電報のようなもので紙一枚くらいであれば銅貨一枚くらいで利用できるものだ。
「お待たせしました。こちらをどうぞ」
「ありがとうございます」
リリィから一枚の紙を受け取って中身を確認すると、思わず笑みが溢れた。
王立学園の休日である闇の日ということでコルネリアスと2人で出掛ける約束をしていた。
初めてのデートということで持っている服の中でも一番可愛らしいワンピースを着て寮の前にあるベンチで待ち合わせをする。
まるで恋愛物語に出てくるような状況に心が踊っているなかで、少しでも落ち着こうと本を読んで時間まで待つことにした。
「ティア!すまない!」
しばらくすると走ってきた彼は申し訳なさそうに謝ると私の前で頭を下げる。
けれど、長い間待っていたのは私が約束の半刻近く前にいたのが理由でコルネリアスが遅れたわけではない。そもそも、現在の時刻でも約束した時間よりは早いくらいだ。
「そ、そんなに慌ててどうしたの?」
あまりに慌てた様子に心配になった。心当たりがなかったため、とりあえず理由を聞いてみるとコルネリアスは顔色を悪くしながらも口を開いた。
「今日のデートに行けなくなった……父上から帰城命令が下されたのだ」
どうやら、ついさっき影からの伝達で帰城命令が届けられたらしい。それも王立学園にある転移陣の使用が認められるほどの緊急の帰城命令だそうだ。
「このタイミングとなると……」
「ああ。十中八九は私とティアのことだろうと思うが……ここまで急ぎの理由がわからない」
コルネリアスのことを陰ながら見守っている王の影は、護衛をすると同時に国王への報告も兼ねている。リーファスは王立学園で起きたほぼ全てを把握しているわけで、正式に関係を進めようとしている私たちに対して何かしらの干渉をしてきてもおかしくはないだろう。
けれど、いつも通りに馬車を使ってではなく転移陣を使ってとなるとよほどの事態ということになる。
「何があったのか分からないけれど、緊急事態なのだろうし私のことは気にしなくていいよ。行ってきて」
「ありがとう……父上が何をしようとしているのか不安だが、ある意味で好機でもある。父上に認めさせることが第一歩だからな」
「そうだね……私たちのためにも頑張って」
「ありがとう。この埋め合わせはいつか必ず」
コルネリアスはそう言うと本校舎の方へ去っていった。本校舎の地下には王鍵と繋がっている基幹の魔術具が存在する。その近くには結界の制御装置なども存在しており転移用魔術具が置かれている部屋もあった。
そこから王城にある転移の間へと空間転移をするのだろう。
「さて……どうしようかな」
コルネリアスのことを見送った私は予定がなくなった今日と明日の休日をどう過ごそうかと悩む。
コルネリアスへの帰城命令に関係しているのか、少し離れた場所から王の影の一部が私の様子を探っているのだ。
ブラッドのように気配を完全に消すことはできていないが王の影に所属している時点で隠密部隊としては相当な実力を持っているということになる。やりようにやっては街中でも監視を撒くことも可能だが、下手なことをして相手の警戒を強めてしまうことは避けたい。
「ん?」
「あれ?ティアじゃない!これからお出かけ?」
見知った気配を感じて振り返るとマリアがいた。
マリアは見慣れた制服と腰には短剣と短い杖という、どこかに戦いにでも行くかの格好だった。
「コルネリアスと出掛けるつもりだったんだけど急用みたいでね。マリアは街の外にでも行くの?」
「うん。この前の演習で力不足を感じだからね。少し前に冒険者登録したんだ」
マリアは2週間ほど前に冒険者登録したらしく休日など時間があるときに依頼を受けているそうだ。今はEランクでゴブリンのような下位の魔物の相手がほとんどだが一人でも戦えるように特訓しているらしい。
魔力が高いとはいえマリアは防御や治癒など支援に特化した魔術使いに分類されるタイプだ。単独での戦闘となれば一筋縄ではいかないはずで少し心配に思えた。
「私も付いていっていい?」
「むしろありがたいくらいだけど……良いの?」
「マリアと依頼を受けるのも楽しそうだから。それに、たまにはギルドにも顔を出しておきたいからね」
そう言って私たちは、そのまま学園都市にある冒険者ギルド支部に向かった。
マリアは既に何回も通っているようだが、私は王立学園に入学してから冒険者ギルドを訪れていなかったため初めて入る場所だ。
ラティアーナの頃にも使ったことがなく本当の意味で初めて利用することになる。
「マリアちゃんいらっしゃい!」
ギルド支部に入ってカウンターに向かうと受付嬢の一人が声を掛けてきた。
どうやらマリアとは親しい間柄のようで「久しぶり!」と嬉しそうに話している。
「お隣のお嬢さんはマリアのお友達ですか?」
「そう。私と同じで王立学園に通っていてクラスメイトなの」
「どうもティアです。はじめまして」
私は挨拶をしながら魔法袋の中からプレートを取り出してカウンターの上に置く。
「はじめまして。冒険者の方だったのですね。私は受付担当のリリィです……っと、ティアさん宛てにお手紙が来てますね。少々、お待ちください!」
冒険者ギルドには各支部ごとにギルドプレートを管理するための魔術具が設置されている。私の詳しい仕組みまでは知らないが支部ごとに通信を可能にしていて冒険者ギルド全体のネットワークのようなものを構築しているらしい。
そして、その機能を利用してギルドでは冒険者に対してギルド間でのメッセージのやり取りを提供していた。イメージとしては電報のようなもので紙一枚くらいであれば銅貨一枚くらいで利用できるものだ。
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