王女の夢見た世界への旅路

ライ

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第13章 2度目の学園生活

20 生徒会の顔合わせ

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 生徒会の話があった日の授業が終わった後。

 生徒会に参加することになった私とコルネリアス、アルテの三人は生徒会室へと向かった。今日は新メンバーの顔合わせも兼ねているということで全員が集まる予定になっているそうだ。
 途中でBクラスとCクラスで首席を務めている二人と合流し生徒会室へ向かうと既に5人ほど生徒がいた。制服には2年生の印と生徒会の紋章をつけていて、この5人が現生徒会のメンバーのようだ。
 私たちは生徒会室の中に入ると、円卓のようになっている一番奥に座っていた銀髪の少女が代表して私たちを出迎えてくれた。

「はじめましての方もいらっしゃいますわね。わたくしはルイーゼ・イグニス。イグニス侯爵家の令嬢にして現生徒会長ですわ。全員揃っているようですし空いている所に座ってくださいまし」

 私は空いている席に座る時にチラッと隣に視線を向けるが、コルネリアスは特に表情を変えることはなく普段通りの様子を見せているので少しだけ安心した。

 イグニス侯爵家はマギルス公爵家と並ぶ魔術の家系だ。この1年で出来る限りの最近の王侯貴族の繋がりを調べていて、現国王であるリーファスの側妃にはイグニス侯爵家当主の妹、つまりはルイーゼの叔母が嫁いでいるらしい。
 正妃のコーネリア一筋だったリーファスがどうして側妃を迎えることになったのかは不明だ。そもそも正妃と側妃の関係が良いのか悪いのかも分からないが、二人の様子を見る限りではコルネリアスとルイーゼの間に特別な何かはなさそうだった。

「それでは全員揃ったところで生徒会を始めたいと思いますわ。まずは現生徒会から自己紹介を」

「私はイグナイツ・ウィスタリア。生徒会副会長となります。ルイーゼ様の指名で1年の頃から生徒会へ参加させていただいています」

「私は生徒会書記のスヴェン・フェーレです。去年の後期から生徒会には参加しています」

「私は生徒会会計のアインハルト・カメーリエです」

「わたくしは庶務のフルール・リーリエです。よろしくお願いしますね」

 2年生の生徒会メンバーは貴族の家格が高い家が多いようだ。イグニス侯爵家にウィスタリア侯爵家、フェーレ伯爵家、カメーリエ伯爵家、リーリエ子爵家とほぼ上級貴族が占めている。
 話を聞いた限りだと私のように貴族でない者が生徒会入りをするのは稀なことであるらしく受け入れてもらえるかが少し不安だ。

「生徒会の任期は半年ずつ2年生の前期までとなっていますわ。区切りとして半年ごとにはなってますけど基本的には2年生の前期まで続けることがほとんどですわね」

 王立学園のクラス編成は入学時の成績によって上位10名をAクラスに割り当て、一定以上の成績を持つ人を上位から順にBクラスとCクラスで交互に割り当てるようになっている。残りの生徒についてはDクラス以下に順番に割り当てていく仕組みだ。
 そして1年の終わりに行われるテストを含めた総合的な評価によって2年のクラス分けが行われていた。そのため成績が大きく上下するとAクラスからB・Cクラスへ移動したりB・CクラスからAクラスへ移動することになっている。

 ルイーゼの話では生徒会役員のうちクラスの代表になっていて所属するクラスが変わる場合やクラス代表が不在になる場合などに再選出が行われるらしい。Aクラスの代表が指名した二人については半年ごとに別の人を指名することも同じ人を継続させることもできるそうだ。

「それでは新しく生徒会入りする皆様も自己紹介をお願いしますわ」

「私はAクラス代表のコルネリアス・エスペルトです。皆さんよろしくお願いしますね」

「わたくしはコルネリアスの推薦で参加しますアスカルテ・グラディウスです。よろしくお願いします」

「私はコルネリアス様に推薦されたティアと申します。よろしくお願いします」

「私はBクラス主席のマックス・レクシアです。」

「私はCクラス代表のアルバード・マックレーンです。よろしくお願いいたします」

「ええ皆様よろしくお願いしますわ。それにしても王立学園の代表でもある生徒会にコルネリアス殿下やアスカルテ公爵令嬢を迎えることができたのは嬉しいものですわね」

 私たちの自己紹介を終えるとルイーゼは心の底から嬉しそうな表情を浮かべていた。
 私の記憶が正しければ公爵家以上で王立学園に通っていたのは今年の世代より前だとリーファスやイリーナの妹の世代だ。恐らくだが今の生徒会になってから王族や公爵家の子息が入学したのは初めてだからなのだろう。

「ですがこの場に相応しくない者もいるようですが?生徒会は王立学園の生徒代表のようなもの。貴族ですらない平民は参加するべきではないでしょう」

 イグナイツは鋭い視線を私へ向けつつもそのような言葉を口にする。他にもアインハルトなどは私のことが気に入らないようでイグナイツの言葉に頷いていた。
 反対にスヴェンやフルールは反対でも賛成というわけでもないらしく静かに見守っていた。

「王立学園では貴族としての礼儀は必要ですが身分によって扱いを変えないという不文律があります。学園の代表たる生徒会が守らなくては周りの生徒たちに示しがつかないのではありませんか?」

 コルネリアスは私を庇うように反論してくれた。王立学園では学年によってある程度上下関係が存在する。けれど先輩にして生徒会役員といえど王太子であるコルネリアスの言葉には反論が難しいようだった。
 イグナイツとアインハルトは言葉に詰まって無言になる。

「彼女はコルネリアス殿下の指名ですわ。お二人が言う貴族かどうかを基準にするのであれば最上位に当たる殿下の意向を無視することになります……それはお二人にとっても意図するのかしら?」

「……いえ」

「もっとも生徒会の汚点になってしまうようであれば困りますが、その場合は役員の権限で彼女を罷免すればいいこと。コルネリアス殿下もよろしいかしら?」

「構いません。それからルイーゼ様。ここは学園なのですから殿下呼びはやめていただけると助かります」

「そうですか……では学園ではコルネリアス様とお呼びいたしますわ。ではこれから先のことを説明いたしますわね」

 この日の生徒会の顔合わせは少しギスギスした空気を残したまま進んでいくことになった。
 そして、この日を境に私を取り巻く環境は大きく変わっていくことになる。
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