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第13章 2度目の学園生活
19 生徒会への誘い
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「学園が始まってから一週間が経過し、皆さんも互いのことを少しずつ分かってきた頃だと思います。そこで今後の演習に向けて班分けを発表したいと思います」
二日間の休日が開けた天の日。
カトレアは朝のホームルームで開口一番に告げてきた。
「1班をコルネリアスさん、イザークさん、カイラスさん、ロレアルさん、デニードさん。2班をアスカルテさん、ティアさん、レジーナさん、アイリーンさん、マリアさん。この班分けは次の実践演習での続けるものとします。また、演習までの実技授業についても班ごとに集まって行う予定です」
カトレアの言葉に教室の中が少し騒がしくなった。私が知る限り演習での班分けは武術などの近接戦と魔術などの遠距離戦の実力を元に全体的な戦力が均等になるようにしていたはずだ。また班の中で異性が1人だけにならないようにはしていたはずだが、班全体で男女に別れるというのも珍しかった。
「それはあまりにも……1班に戦力が集中いていませんか?」
ロレアルは思わずといった様子でカトレアに問いかける。けれどカトレアは自信がある様子で「均等だと思いますよ」と返していた。
「1班については万能型のコルネリアスさん、デニードさんに加えて近接よりのカイラスさんと遠距離が得意なイザークさん、支援が得意なロレアルさんという構成です。そして2班も万能型のアスカルテさん、ティアさん、レジーナさんに支援が得意なアイリーンさんとマリアさんの構成です。実践ともなればどちらも強いと思いますよ」
いつのまにか私が近接戦闘も得意と思われているのは予想外だったがレジーナが万能型というのは納得できる。見た目からは想像はできず本人は得意ではないと言っているが、よくよく観察してみると立ち回りや気配の扱いが上手く隙がない。流石は王の影でもあるノーティア公爵家の娘だ。
「言葉だけでは分かりにくいと思います。ですが、演習までの約2月の実技や実際に演習が行われれば理解できると思いますよ。そしてもう一つお知らせがあります。既にコルネリアスさんには伝えていますが生徒会入りするになります。そこでコルネリアスさんが選んだ2名についても生徒会への参加を依頼したいです……まずは生徒会についての説明をしましょうか」
カトレアが生徒会について細かく教えてくれた。
どうやら生徒会には入学してから2年生の前半まで所属し、1学年5名ずつの最大10名で構成されるようだ。半年ごとに各クラスの主席1名と学年主席が指名した2名が選ばれて、継続して務める者も半年だけ務める者もいるらしい。。
生徒会には教師に匹敵する権限が与えられ場合によっては規則の改正や王立学園の運営についても意見を上申することができるなど貴族社会で行われる政治の学生版のようなものだそうだ。
「コルネリアスさん。指名したい人はいますか?」
「ではアスカルテとティア……お願いできるかな?」
「ええ。ぜひよろしくお願いします」
コルネリアスの突然の指名にアスカルテは二つ返事で了承する。けれど、私は驚きのほうが勝っていて思わず目を瞬いてしまった。普段から一緒にいることが多いアスカルテが選ばれた事には納得だが、私が選ばれた理由が思いつかない。コルネリアスはきっと友人だからという理由だけでは選ばないだろう。
「どうして私なんですか?」
「ティアを選んだ理由は……そうだね。王立学園は貴族社会の縮図でもあるわけだけど生徒会は更に政治に近い部分でもある。親しい相手であり信頼できる相手ともなると大分限られてくるだろう?」
ラティアーナの頃がそうだったように現在でも王族と公爵家は近い立場にいて直近の血縁に関係なく親戚に近い状態だ。今までの積み重ねも加味すればイザークやカイラス、レジーナだって信頼できる相手のはずだ。
「ですが……それだけの理由であれば他の人でも良いはずです」
コルネリアスは私が誰のことを言っているのか察したようだった。少しだけ恥ずかしそうに微笑むと観念したように口を開いた。
「王族と公爵家では身内に近い部分があるし生徒会を高位の貴族だけで占めるのも良くないだろう。生徒会には様々な立場にいる人がいるべきだと思う……それにティアのことは信頼しているし私個人としてはティアと仕事をしてみたい」
コルネリアスの真っすぐな言葉に思わず頬が緩みそうになった。私のことを信頼してくれていて、一緒に仕事をしてみたいと言われるのは素直に嬉しいものだ。
「生徒会に入ることにはメリットも大きいと思いますよ。責任の分だけ特権が与えられますし成績とは別枠で評価もされます。デメリットとしては仕事に伴って拘束時間が増えることとティアさんの場合は他の生徒からの当たりが強くなるかもしれません。どちらにせよ各クラスの主席以外は任意参加なのでティアさんの判断を尊重しますよ」
私がコルネリアスのお願いにどう答えるか悩んでいるとカトレアが生徒会に入った時のことを教えてくれた。
貴族の中には名誉や特権を重んじる者も当然いて貴族社会の中でもそうした足の引っ張り合いが起きていることは知っているつもりだ。王立学園のある程度守られた環境の中でさえ、このようなことは少なからずあるのだろう。けれど王立学園に入り王侯貴族と関わると決めた時に覚悟は決めていた。
「わかりました。お受けします」
「ありがとう。私もティアのことは出来る限り守るつもりだ。だから……よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。それに色々な人との関りが増えるのは楽しいことでもありますから」
ラティアーナの頃も学園内での交友は狭いほうだった。折角の機会なのだから、あの頃は存在しなかった今の生徒会で他のクラスと人たちとも親交を深めるのも良いことだろう。
二日間の休日が開けた天の日。
カトレアは朝のホームルームで開口一番に告げてきた。
「1班をコルネリアスさん、イザークさん、カイラスさん、ロレアルさん、デニードさん。2班をアスカルテさん、ティアさん、レジーナさん、アイリーンさん、マリアさん。この班分けは次の実践演習での続けるものとします。また、演習までの実技授業についても班ごとに集まって行う予定です」
カトレアの言葉に教室の中が少し騒がしくなった。私が知る限り演習での班分けは武術などの近接戦と魔術などの遠距離戦の実力を元に全体的な戦力が均等になるようにしていたはずだ。また班の中で異性が1人だけにならないようにはしていたはずだが、班全体で男女に別れるというのも珍しかった。
「それはあまりにも……1班に戦力が集中いていませんか?」
ロレアルは思わずといった様子でカトレアに問いかける。けれどカトレアは自信がある様子で「均等だと思いますよ」と返していた。
「1班については万能型のコルネリアスさん、デニードさんに加えて近接よりのカイラスさんと遠距離が得意なイザークさん、支援が得意なロレアルさんという構成です。そして2班も万能型のアスカルテさん、ティアさん、レジーナさんに支援が得意なアイリーンさんとマリアさんの構成です。実践ともなればどちらも強いと思いますよ」
いつのまにか私が近接戦闘も得意と思われているのは予想外だったがレジーナが万能型というのは納得できる。見た目からは想像はできず本人は得意ではないと言っているが、よくよく観察してみると立ち回りや気配の扱いが上手く隙がない。流石は王の影でもあるノーティア公爵家の娘だ。
「言葉だけでは分かりにくいと思います。ですが、演習までの約2月の実技や実際に演習が行われれば理解できると思いますよ。そしてもう一つお知らせがあります。既にコルネリアスさんには伝えていますが生徒会入りするになります。そこでコルネリアスさんが選んだ2名についても生徒会への参加を依頼したいです……まずは生徒会についての説明をしましょうか」
カトレアが生徒会について細かく教えてくれた。
どうやら生徒会には入学してから2年生の前半まで所属し、1学年5名ずつの最大10名で構成されるようだ。半年ごとに各クラスの主席1名と学年主席が指名した2名が選ばれて、継続して務める者も半年だけ務める者もいるらしい。。
生徒会には教師に匹敵する権限が与えられ場合によっては規則の改正や王立学園の運営についても意見を上申することができるなど貴族社会で行われる政治の学生版のようなものだそうだ。
「コルネリアスさん。指名したい人はいますか?」
「ではアスカルテとティア……お願いできるかな?」
「ええ。ぜひよろしくお願いします」
コルネリアスの突然の指名にアスカルテは二つ返事で了承する。けれど、私は驚きのほうが勝っていて思わず目を瞬いてしまった。普段から一緒にいることが多いアスカルテが選ばれた事には納得だが、私が選ばれた理由が思いつかない。コルネリアスはきっと友人だからという理由だけでは選ばないだろう。
「どうして私なんですか?」
「ティアを選んだ理由は……そうだね。王立学園は貴族社会の縮図でもあるわけだけど生徒会は更に政治に近い部分でもある。親しい相手であり信頼できる相手ともなると大分限られてくるだろう?」
ラティアーナの頃がそうだったように現在でも王族と公爵家は近い立場にいて直近の血縁に関係なく親戚に近い状態だ。今までの積み重ねも加味すればイザークやカイラス、レジーナだって信頼できる相手のはずだ。
「ですが……それだけの理由であれば他の人でも良いはずです」
コルネリアスは私が誰のことを言っているのか察したようだった。少しだけ恥ずかしそうに微笑むと観念したように口を開いた。
「王族と公爵家では身内に近い部分があるし生徒会を高位の貴族だけで占めるのも良くないだろう。生徒会には様々な立場にいる人がいるべきだと思う……それにティアのことは信頼しているし私個人としてはティアと仕事をしてみたい」
コルネリアスの真っすぐな言葉に思わず頬が緩みそうになった。私のことを信頼してくれていて、一緒に仕事をしてみたいと言われるのは素直に嬉しいものだ。
「生徒会に入ることにはメリットも大きいと思いますよ。責任の分だけ特権が与えられますし成績とは別枠で評価もされます。デメリットとしては仕事に伴って拘束時間が増えることとティアさんの場合は他の生徒からの当たりが強くなるかもしれません。どちらにせよ各クラスの主席以外は任意参加なのでティアさんの判断を尊重しますよ」
私がコルネリアスのお願いにどう答えるか悩んでいるとカトレアが生徒会に入った時のことを教えてくれた。
貴族の中には名誉や特権を重んじる者も当然いて貴族社会の中でもそうした足の引っ張り合いが起きていることは知っているつもりだ。王立学園のある程度守られた環境の中でさえ、このようなことは少なからずあるのだろう。けれど王立学園に入り王侯貴族と関わると決めた時に覚悟は決めていた。
「わかりました。お受けします」
「ありがとう。私もティアのことは出来る限り守るつもりだ。だから……よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。それに色々な人との関りが増えるのは楽しいことでもありますから」
ラティアーナの頃も学園内での交友は狭いほうだった。折角の機会なのだから、あの頃は存在しなかった今の生徒会で他のクラスと人たちとも親交を深めるのも良いことだろう。
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