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第13章 2度目の学園生活
8 クラスメイトとの邂逅
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「この10名がAクラスとして今後2年間共に学園生活を送る仲間ということになります。また、詳しくは後ほど説明しますが演習などではチームを組むこともあるでしょう……ではまずは、簡単な自己紹介として得意とするものや将来のことなどを話してもらいましょうか。席次順にコルネリアスさんからお願いします」
カトレアの言葉で順番に自己紹介をしていくことになった。まず最初に呼ばれたコルネリアスは席を立ち上がると皆の方を振り向いて笑みを浮かべる。
「私はコルネリアス・エスペルトだ。王族であるとか気にせずに気軽に接してほしい。剣術も魔術もどちらもそこそこ得意だ」
コルネリアスはそこそこと言っているが彼の実力は同年代の中でも最上位に位置するだろう。それこそエスペルト王国全体で見ても上位には入るはずだ。
「次はアスカルテさん」
「はい。わたくしはアスカルテ・グラディウスです。グラディウス公爵家出身ではありますが魔術を得意としています。皆さんよろしくお願いしますね」
アスカルテは体術や剣術を含む近接戦闘が得意ではないらしい。けれど以前戦っている様子を見た限りでは身体裁きがとても自然なものだった。少なくとも騎士相手でも遅れは取らないくらいには動けそうに感じるものだ。
「次はイザークさん」
「私はイザーク・マギルスだ。マギルス公爵家出身だが魔術はあまり得意でなくてね。弓術を得意としているよ」
イザークはラティアーナの親友にしていとこのイリーナの長子だ。婿入りしたアルトムは弓術の家系にあたるサギッタ伯爵家の出身。弓を得意とするもの納得だ。
「次はレジーナさん」
「わたくしはレジーナ・ノーティアです。得意なものはあまりないですけれど調合などを得意としてますわね。皆さま、よろしくお願いいたしますわ」
レジーナは長い金髪の髪をまとめていてお嬢様然とした少女だった。ノーティア公爵家の出身ということはブラッドの娘であるわけだが、とても諜報をこなせそうにないように感じる。
「次はカイラスさん」
「俺はカイラス・スエンティアだ。魔術よりも体術が好きだ。どうか、よろしく頼む」
カイラスは王国の頭脳であり歴代の宰相を輩出しているスエンティア公爵家の出身でカトレアの従弟にあたる。スエンティア公爵家の者は頭脳派ということで魔術が得意な傾向が強かったがカイラスは真逆なタイプのようだ。貴族としては珍しいほど身体を鍛えているようで、それこそアドリアスなどよりも体つきが凄い。
「次、ティアさん」
そのような事を考えている内に私の順番がやってきた。私は静かに立ち上がると皆がいる方向へ振り向く。
「私はティアといいます。元々冒険者をしていて魔術が得意です」
私は無難な自己紹介にすることにした。戦い方についても緊急でない限りは剣術などは使わないつもりだ。基本的には獣公国シャスタニアを発った後のように魔術を主体にしていく。
「次、ロレアルさん」
「私はロレアル……精霊教枢機卿エメリッヒの長子にして精霊教エスペルト王都支部司祭。精霊契約による精霊術を得意としています。どうか皆様に精霊のご加護があることを」
ロレアルは長い銀髪を一つにまとめた中性的な男性だ。精霊術というのが何を指すのかは分からないが精霊と契約しているということは言霊のようなものも使えるのかもしれない。少なくとも彼がいる場にプレアデスを伴うのは避けた方がよさそうだ。
「次!デニードさん」
「私はデニード・ナーデル。ナーデル伯爵家の次期当主だ。貴族としては当たり前だが剣も魔術も両刀得意としている。皆様、よろしくお願いしますね」
デニードはコルネリアスやアスカルテたち上位家族に向けて優雅な挨拶をした。逆に私や隣にいる貴族に対しては視線を向けないなどかなり態度があからさまだった。
同じクラスということで関わる機会があるだろうが何事もなく平和に終えることができるか不安になる。
「次はアイリーンさん」
「はい。わたくしはアイリーン・イースティアと申します。戦いはあまり得意ではありませんが魔術式の付与を得意としています。よろしくお願いします」
アイリーンは薄茶色の髪を肩まで伸ばしている大人しい印象を受ける女性だ。因みにイースティア子爵領は王国の東側にあり湖があるような場所で高級な宿や貴族たちの別邸もあるようなリゾート地になっている。
「最後はマリアさん」
「は、はい。わたしはマリアと言います。教会で育ったのであまり貴族社会に詳しくありませんが……聖女候補ということで貴族社会を学ぶために学園に来ました。どうか皆様よろしくお願い致します……あ、得意な魔術は治癒と広域結界です!」
最後に名前を呼ばれたマリアは慌てて立ち上がると少し焦ったかのように自己紹介をした。薄い金色の髪を長く伸ばしている彼女はどこか小動物のような庇護欲を感じさせる少女だ。
この10名がAクラスの面々、つまりは2年間を共に過ごすことになるクラスメイトということになる。
「さて、全員の自己紹介が終わったところで、これからの事について説明しましょうか。基本的には座学や剣術、魔術の実習を中心に宮廷作法、芸術なども幅広く学んでいくことになります」
カトレアが王立学園の授業についての説明を始めた。昔からあった科目の授業内容は以前と大きく変わっていないらしく宮廷作法や芸術系の授業が増えたくらいだろう。どちらも貴族としては当たり前にできる常識のようなもの。もしかしたら王国も学園も優秀な平民を貴族として取り込みたいのかもしれない。
「そして直近の大きな予定と言えば2月後に行われる学園都市の外で行われる演習ですね。学園都市近郊の森にあるダンジョン……常闇の大迷宮の上層を探索してもらいます」
カトレアのダンジョンという言葉にコルネリアスたち王侯貴族だけでなくマリアのような平民も特別な反応を示さなかった。どうやら私の死後10年くらいの間に色々と状況が変わっているようだった。
カトレアの言葉で順番に自己紹介をしていくことになった。まず最初に呼ばれたコルネリアスは席を立ち上がると皆の方を振り向いて笑みを浮かべる。
「私はコルネリアス・エスペルトだ。王族であるとか気にせずに気軽に接してほしい。剣術も魔術もどちらもそこそこ得意だ」
コルネリアスはそこそこと言っているが彼の実力は同年代の中でも最上位に位置するだろう。それこそエスペルト王国全体で見ても上位には入るはずだ。
「次はアスカルテさん」
「はい。わたくしはアスカルテ・グラディウスです。グラディウス公爵家出身ではありますが魔術を得意としています。皆さんよろしくお願いしますね」
アスカルテは体術や剣術を含む近接戦闘が得意ではないらしい。けれど以前戦っている様子を見た限りでは身体裁きがとても自然なものだった。少なくとも騎士相手でも遅れは取らないくらいには動けそうに感じるものだ。
「次はイザークさん」
「私はイザーク・マギルスだ。マギルス公爵家出身だが魔術はあまり得意でなくてね。弓術を得意としているよ」
イザークはラティアーナの親友にしていとこのイリーナの長子だ。婿入りしたアルトムは弓術の家系にあたるサギッタ伯爵家の出身。弓を得意とするもの納得だ。
「次はレジーナさん」
「わたくしはレジーナ・ノーティアです。得意なものはあまりないですけれど調合などを得意としてますわね。皆さま、よろしくお願いいたしますわ」
レジーナは長い金髪の髪をまとめていてお嬢様然とした少女だった。ノーティア公爵家の出身ということはブラッドの娘であるわけだが、とても諜報をこなせそうにないように感じる。
「次はカイラスさん」
「俺はカイラス・スエンティアだ。魔術よりも体術が好きだ。どうか、よろしく頼む」
カイラスは王国の頭脳であり歴代の宰相を輩出しているスエンティア公爵家の出身でカトレアの従弟にあたる。スエンティア公爵家の者は頭脳派ということで魔術が得意な傾向が強かったがカイラスは真逆なタイプのようだ。貴族としては珍しいほど身体を鍛えているようで、それこそアドリアスなどよりも体つきが凄い。
「次、ティアさん」
そのような事を考えている内に私の順番がやってきた。私は静かに立ち上がると皆がいる方向へ振り向く。
「私はティアといいます。元々冒険者をしていて魔術が得意です」
私は無難な自己紹介にすることにした。戦い方についても緊急でない限りは剣術などは使わないつもりだ。基本的には獣公国シャスタニアを発った後のように魔術を主体にしていく。
「次、ロレアルさん」
「私はロレアル……精霊教枢機卿エメリッヒの長子にして精霊教エスペルト王都支部司祭。精霊契約による精霊術を得意としています。どうか皆様に精霊のご加護があることを」
ロレアルは長い銀髪を一つにまとめた中性的な男性だ。精霊術というのが何を指すのかは分からないが精霊と契約しているということは言霊のようなものも使えるのかもしれない。少なくとも彼がいる場にプレアデスを伴うのは避けた方がよさそうだ。
「次!デニードさん」
「私はデニード・ナーデル。ナーデル伯爵家の次期当主だ。貴族としては当たり前だが剣も魔術も両刀得意としている。皆様、よろしくお願いしますね」
デニードはコルネリアスやアスカルテたち上位家族に向けて優雅な挨拶をした。逆に私や隣にいる貴族に対しては視線を向けないなどかなり態度があからさまだった。
同じクラスということで関わる機会があるだろうが何事もなく平和に終えることができるか不安になる。
「次はアイリーンさん」
「はい。わたくしはアイリーン・イースティアと申します。戦いはあまり得意ではありませんが魔術式の付与を得意としています。よろしくお願いします」
アイリーンは薄茶色の髪を肩まで伸ばしている大人しい印象を受ける女性だ。因みにイースティア子爵領は王国の東側にあり湖があるような場所で高級な宿や貴族たちの別邸もあるようなリゾート地になっている。
「最後はマリアさん」
「は、はい。わたしはマリアと言います。教会で育ったのであまり貴族社会に詳しくありませんが……聖女候補ということで貴族社会を学ぶために学園に来ました。どうか皆様よろしくお願い致します……あ、得意な魔術は治癒と広域結界です!」
最後に名前を呼ばれたマリアは慌てて立ち上がると少し焦ったかのように自己紹介をした。薄い金色の髪を長く伸ばしている彼女はどこか小動物のような庇護欲を感じさせる少女だ。
この10名がAクラスの面々、つまりは2年間を共に過ごすことになるクラスメイトということになる。
「さて、全員の自己紹介が終わったところで、これからの事について説明しましょうか。基本的には座学や剣術、魔術の実習を中心に宮廷作法、芸術なども幅広く学んでいくことになります」
カトレアが王立学園の授業についての説明を始めた。昔からあった科目の授業内容は以前と大きく変わっていないらしく宮廷作法や芸術系の授業が増えたくらいだろう。どちらも貴族としては当たり前にできる常識のようなもの。もしかしたら王国も学園も優秀な平民を貴族として取り込みたいのかもしれない。
「そして直近の大きな予定と言えば2月後に行われる学園都市の外で行われる演習ですね。学園都市近郊の森にあるダンジョン……常闇の大迷宮の上層を探索してもらいます」
カトレアのダンジョンという言葉にコルネリアスたち王侯貴族だけでなくマリアのような平民も特別な反応を示さなかった。どうやら私の死後10年くらいの間に色々と状況が変わっているようだった。
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