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第13章 2度目の学園生活
2 かつて終わりを迎えた場所
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私がラティアーナだった頃に通っていて私の死因にもなった悪魔が封印されていた地でもある王立学園。
今日は入学試験ということで王都からここまでは、王立鉄道を使うことで半刻程かけて訪れていた。
王都近郊に居を構えている貴族の子息令嬢や一般の人がこの場所に集まるということで、学園の周辺を見るだけでも多くの馬車と人で賑わっている。
「ここにくるのも久しぶりかな」
通っていた頃から15年近く経っているが王立学園の様子は変わりないようだった。厳重な塀に囲まれて様々な建物や修練場所、庭園などもある広大な施設。
私が通っていた頃と大きく変わっているところがなかった。
『へぇ……随分と厳重ね。都市全体を何重にも結界が覆っているけれふど、ここにも複数の結界や魔術が仕掛けられているなんて』
『元々、悪魔が封印されていた場所でもあるし基本的に王族であっても護衛の騎士が付かないからね』
基本的に王侯貴族は何かしらの護衛などの侍従お連れ伴って外出することが多い。特に王族であれば専属の近衛騎士が護衛としてついていた。けれど、王立学園では生徒が護衛を含む侍従を伴うことを認めていない。王族などであれば場合に王の影などが守ることもあるが、遠くからになるため完璧な護衛は不可能だ。
「受験をする者は早く入るように!もうすぐ実技試験を開始する!」
『さて、行きますか……また、後でね』
『分かったわ。頑張ってらっしゃい』
王立学園には空間転移を阻害するような特殊ね結界もあるためプレアデスの存在が露見する可能性があった。精霊契約自体はエスペルト王国では一部の人間だけが知る高等契約であって契約者のことは高く評価される。
けれど私自身は特別なことで目立つつもりもなかった。プレアデスの存在もいざというときのための切り札の一つにするつもりだ。
プレアデスには王立学園にいる間は自由に過ごしてもらうと思っていた。
プレアデスと別れた後、私は学園の教師の案内で試験場へと向かった。
「時間だな。お前たちには、これから実技試験を受けてもらう。武術、魔術、総合戦闘と3種目あるわけだが、受かるためにはここで点を稼いでおくことをおすすめするぞ!」
王立学園は住民登録があれば誰でも受験することはできるが平民が学園に通うことは簡単ではない。王侯貴族と違い試験の点数が合否に直結するため一定の点数を取らなければ不合格となるからだ。いくら識字率が高くとも貴族にとっては簡単な内容でも平民にとっては高度な知識となる筆記試験で高得点取ることは難しい。そのため、筆記試験を最低限必要な点数を確保して実技試験で合計点数を底上げすることが合格する秘訣とも言われていた。コルネリアスが私に推薦状を薦めたのも筆記試験で点数を落としたとしても合格扱いにできるからだ。
「これから武術の時間を行う!呼ばれた者は修練場に上がるように!」
教師の合図で名前を呼ばれた人が修練場へ上がり試験官と模擬戦を始まろうとしていた。
「お願いします」
「俺が貴様のことを見定めてやろう。最後まで立つことができたら多少は点が高くなるかも知れんぞ?」
試験を受けている皆は戦いを得意としていない者がほとんどだ。例外としては冒険者のように魔物との戦いに慣れているくらいだろうが、今年の受験生にはいないらしい。恐らくは商会のように裕福な家の出身のようで武術よりは魔術の方が得意なのだろう。
「マイヤー男爵!いくらなんでもやりすぎでは?」
「致命傷にはならんし問題ないだろう。それに試験とはいえ貴族と平民の立場の違いを分からせなければならん。お前こそ騎士爵の分際で俺に指図をするなよ?」
マイヤー男爵は宝石などで装飾された剣で相手が降参するか気を失うまでなぶり続けていく。修練場に展開されている結界によって大怪我を負う音はないが擦過傷のような小さい怪我を防ぐ事はできない。そもそも怪我を防いだとしても受けた攻撃に応じて痛みは感じるため、一方的な虐めのような様相になっていた。
「やはり平民は軟弱だな……次!」
「次はティアだ……無理だと思ったら降参するように」
「はい」
返事をした私は教師の指示に従って修練場に上がってマイヤー男爵の目の前に立つ。彼のことをどこか見覚えがあるなと思い返していると、マイヤー男爵は私のことを見下ろしながら睨みつけてきた。
「貴様がティアか。平民のくせに殿下のお気に入りらしいが……あまり調子にならないことだな」
「どういう意味でしょうか?」
「殿下が気に入っているとはいえ所詮は女。魔力も平民にしては多そうだが貴族と比べれば少ない。せいぜい愛妾として貴族に飼われるくらいの価値しかないだろう。殿下に色眼鏡でも使って媚びを売ったのかも知らんが大人である俺には効かんぞ?」
「随分と不敬なことを言うのですね?その言い方はまるで殿下の見る目がないと言っているようなものではないですか?」
「口だけは達者というわけか。この俺自らが殿下に……いや、この学園に相応しいか見定めてやろう」
「でしたらコルネリアス殿下が私を選んでくれた理由を見せてあげます」
私が王立学園に通う目的の一つにかつて知り合った者たちと新たな絆を築きたいというものがある。王族だったラティアーナとしてではなく平民のティアとして色々な人と縁を結ぶには学園で良い成績を残さなければならない。狙うのは他人から特別視されない程度で優秀には思われる程度。Aクラスに振り分けられても一番にはならないくらいだ。
だが、評価するのがマイヤー男爵となればまともな評価は期待できないだろう。となれば第三者が見ても確実な評価を見せつける必要がありそうだ。
「それでは、始め!」
教師の合図と共に模擬戦が始まった。
今日は入学試験ということで王都からここまでは、王立鉄道を使うことで半刻程かけて訪れていた。
王都近郊に居を構えている貴族の子息令嬢や一般の人がこの場所に集まるということで、学園の周辺を見るだけでも多くの馬車と人で賑わっている。
「ここにくるのも久しぶりかな」
通っていた頃から15年近く経っているが王立学園の様子は変わりないようだった。厳重な塀に囲まれて様々な建物や修練場所、庭園などもある広大な施設。
私が通っていた頃と大きく変わっているところがなかった。
『へぇ……随分と厳重ね。都市全体を何重にも結界が覆っているけれふど、ここにも複数の結界や魔術が仕掛けられているなんて』
『元々、悪魔が封印されていた場所でもあるし基本的に王族であっても護衛の騎士が付かないからね』
基本的に王侯貴族は何かしらの護衛などの侍従お連れ伴って外出することが多い。特に王族であれば専属の近衛騎士が護衛としてついていた。けれど、王立学園では生徒が護衛を含む侍従を伴うことを認めていない。王族などであれば場合に王の影などが守ることもあるが、遠くからになるため完璧な護衛は不可能だ。
「受験をする者は早く入るように!もうすぐ実技試験を開始する!」
『さて、行きますか……また、後でね』
『分かったわ。頑張ってらっしゃい』
王立学園には空間転移を阻害するような特殊ね結界もあるためプレアデスの存在が露見する可能性があった。精霊契約自体はエスペルト王国では一部の人間だけが知る高等契約であって契約者のことは高く評価される。
けれど私自身は特別なことで目立つつもりもなかった。プレアデスの存在もいざというときのための切り札の一つにするつもりだ。
プレアデスには王立学園にいる間は自由に過ごしてもらうと思っていた。
プレアデスと別れた後、私は学園の教師の案内で試験場へと向かった。
「時間だな。お前たちには、これから実技試験を受けてもらう。武術、魔術、総合戦闘と3種目あるわけだが、受かるためにはここで点を稼いでおくことをおすすめするぞ!」
王立学園は住民登録があれば誰でも受験することはできるが平民が学園に通うことは簡単ではない。王侯貴族と違い試験の点数が合否に直結するため一定の点数を取らなければ不合格となるからだ。いくら識字率が高くとも貴族にとっては簡単な内容でも平民にとっては高度な知識となる筆記試験で高得点取ることは難しい。そのため、筆記試験を最低限必要な点数を確保して実技試験で合計点数を底上げすることが合格する秘訣とも言われていた。コルネリアスが私に推薦状を薦めたのも筆記試験で点数を落としたとしても合格扱いにできるからだ。
「これから武術の時間を行う!呼ばれた者は修練場に上がるように!」
教師の合図で名前を呼ばれた人が修練場へ上がり試験官と模擬戦を始まろうとしていた。
「お願いします」
「俺が貴様のことを見定めてやろう。最後まで立つことができたら多少は点が高くなるかも知れんぞ?」
試験を受けている皆は戦いを得意としていない者がほとんどだ。例外としては冒険者のように魔物との戦いに慣れているくらいだろうが、今年の受験生にはいないらしい。恐らくは商会のように裕福な家の出身のようで武術よりは魔術の方が得意なのだろう。
「マイヤー男爵!いくらなんでもやりすぎでは?」
「致命傷にはならんし問題ないだろう。それに試験とはいえ貴族と平民の立場の違いを分からせなければならん。お前こそ騎士爵の分際で俺に指図をするなよ?」
マイヤー男爵は宝石などで装飾された剣で相手が降参するか気を失うまでなぶり続けていく。修練場に展開されている結界によって大怪我を負う音はないが擦過傷のような小さい怪我を防ぐ事はできない。そもそも怪我を防いだとしても受けた攻撃に応じて痛みは感じるため、一方的な虐めのような様相になっていた。
「やはり平民は軟弱だな……次!」
「次はティアだ……無理だと思ったら降参するように」
「はい」
返事をした私は教師の指示に従って修練場に上がってマイヤー男爵の目の前に立つ。彼のことをどこか見覚えがあるなと思い返していると、マイヤー男爵は私のことを見下ろしながら睨みつけてきた。
「貴様がティアか。平民のくせに殿下のお気に入りらしいが……あまり調子にならないことだな」
「どういう意味でしょうか?」
「殿下が気に入っているとはいえ所詮は女。魔力も平民にしては多そうだが貴族と比べれば少ない。せいぜい愛妾として貴族に飼われるくらいの価値しかないだろう。殿下に色眼鏡でも使って媚びを売ったのかも知らんが大人である俺には効かんぞ?」
「随分と不敬なことを言うのですね?その言い方はまるで殿下の見る目がないと言っているようなものではないですか?」
「口だけは達者というわけか。この俺自らが殿下に……いや、この学園に相応しいか見定めてやろう」
「でしたらコルネリアス殿下が私を選んでくれた理由を見せてあげます」
私が王立学園に通う目的の一つにかつて知り合った者たちと新たな絆を築きたいというものがある。王族だったラティアーナとしてではなく平民のティアとして色々な人と縁を結ぶには学園で良い成績を残さなければならない。狙うのは他人から特別視されない程度で優秀には思われる程度。Aクラスに振り分けられても一番にはならないくらいだ。
だが、評価するのがマイヤー男爵となればまともな評価は期待できないだろう。となれば第三者が見ても確実な評価を見せつける必要がありそうだ。
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