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第9章 ターニングポイント
31 初の海中戦闘
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クラーケンとの戦いは互いに様子見の状態が続いていた。私も深くは斬りこまずクラーケンも触手の一部や圧縮した水による攻撃を加えるだけで有効打は与えていない。それでも粘液の性質は大体把握しつつあって、刀で斬ることができつつある。
「ザヴィヤのほうも問題はなさそうね」
空中に魔力障壁の足場を作って立ちながら港の様子を窺う。すると陸地から魔術による炎や雷、氷などが放たれていてクラーケンの身体を徐々に傷つけていた。さらには弓兵による攻撃も魔術を刻んだ矢を放ち、着弾と同時に炸裂させることで有効打を与えている。
「とは言え……どちらか片方でも致命傷を負えば本気になるだろうし、反撃に転じるタイミングが難しいわね…っと」
二頭のクラーケンは未だ全力ではない。それは多少傷ついていても恐怖を与えるほどではないからだ。だがどちらか一方でも恐怖を感じればもう一方も本気になるだろう。
そして海の遠くには巡洋艦が姿を現していた。砲門はクラーケンを捉えていて、いつでも砲撃を行えるようになっている。
「軍団魔術用意!術式は炎熱系火炎弾。全員で圧縮して放つ。収束開始」
ザヴィヤの新しい指示が飛んだ。半数の魔術士たちは魔術による攻撃を止めて巨大な術式の構築に入る。だがクラーケンも魔力の高まりに危険を感じたのか触手の全てを港に向けようとして……
遠距離からの砲撃がクラーケンに命中する。遠くで構えていた巡洋艦二隻、計八門からなる砲弾はクラーケンの足を止めることに成功した。そして、その一瞬の隙をついてザヴィヤたちによる軍団魔術が放たれた。巨大な青い炎がクラーケンを襲い掛かり、身体全体を焼いて、大きな爆発が起こった。
「あれを受けても倒すには至らないのね……さて、こちらも参りましょうか」
目の前にいるタコ型クラーケンは、番のイカ型クラーケンを見て怒りの様子を見せていた。
このままでは二頭を分けた意味がなくなる。私はそう感じて目の前のクラーケンに向かって急接近する。私を捕らえようとする触手を避けて魔力を纏わせた辰月を一閃し、触手を斬り飛ばした。
「っ!?」
クラーケンは触手を斬られたことに驚いたらしく海中に沈もうとする。その際に海に隠れていた触手の一本が、私の足へと迫ってきた。跳躍中の私は避けることもできずに足を絡め取られ、クラーケンはそのまま海中へと引きずりこもうとする。
私は海中に沈む前、咄嗟に息を吸う。これで多少は海中でも動けるはずだが、足を掴まれたままで身動きが取れないでいた。
このままでは魔力が尽きる前に窒息するかクラーケンの攻撃で力尽きる。そう感じた私は夜月を抜刀し、魔力を纏わせて触手を斬って拘束から脱出した。
クラーケンは海中だと素早く動けるようで私を逃がさないように触手を放ってくる。
「ごほっ…!?」
触手に叩きつけられた場所は、魔力を纏うことで防いだ。痛みはあるものの無傷に抑えている。それでも余りの衝撃に吸い込んだ息が吐き出されてしまう。
水中では足場があっても素早く動くことは無理だ。水魔術を行使すれば動けるかもしれないが魔力消費が大きく論外。何よりあと少ししか息が持たないだろう。迷っている時間はなさそうだった。
私は残り半分ほどの魔力を使って雷系の魔術を行使した。不安定な海中では複雑な術式を構築することが難しいため、術式を挟まなくても行使できる雷撃の放出を選択した。放った雷撃は、数本の槍となって海中を伝わりクラーケンの身体を撃ち砕く。この攻撃にはクラーケンにも大打撃だったようで動きが止まり怯んだようだった。
私はその隙に夜月の柄に手を添える。魔力を喰わせて夜月の力を解放させると、そのまま抜刀し縦に振るった。黒い力を帯びた夜月は巨大な斬撃となって、私と海上までの間を斬り裂く。直線状にいたクラーケンも咄嗟に避けたようだが、大きな裂傷を与えて海の中に血を拭き出した。
けれど、この斬撃には攻撃以上の意味がある。
「はぁっ…はぁ…これで終わりよ!」
斬った海は夜月が纏っていた黒い力に押されて、少しの間割れたままになっている。つまり私の位置から海上までが渓谷のようになっているわけだ。今の状態であれば息を吸うこともできるし魔術障壁を足場に跳躍することもできる。
私は海が元に戻るまでの隙をついて、海上に向けて一気に跳躍した。右手に辰月を、左手に夜月を逆手に持ち、両方の刀に残りの魔力を纏わせて力を解放する。そしてクラーケンとすれ違いざまに二本の刀で連続して斬り刻んだ。
空中に出て海に目を向けるとクラーケンの触手は両断され、致命傷を受けたようだった。海上に浮かび上がったクラーケンが動かないこと確認して、そのまま港へ跳躍し陸へ戻る。
「陛下!お怪我はありませんか!?」
「問題ないわ。それよりそっちの戦況は!?」
ほとんどの魔力を使い果たしたことで疲労は大きいが、まだ動けないほどではない。それよりも港での戦いがどうなったか尋ねるとザヴィヤは「こちらもなんとかなりました」と答えた。
どうやら高威力の魔術と魔槍の投擲で身体ごと吹き飛ばしたらしい。港に設置されている迎撃用の装備も使用したようで、地の利を生かした火力戦になったようだ。
「クラーケンの動きが想定よりも緩やかだったことが幸いでした。もしかしたら浅瀬だと動きが鈍るのかも知れませんね」
「かもしれないわね。海中に沈んだ後のほうが動きが早かったし」
クラーケンの攻撃によって港の壁は所々壊れているが、街の中に被害はない。領軍も怪我止まりで死者は出なかった。結果としては上々だろう。
「スピカの方はどうかしらね……」
対クラーケンの防衛戦は幕を閉じた。後はスピカを狙うブラック・ヘロンとの問題だけだ。
けれどスピカには信頼している皆が付いている。心配ではあるが不安はなかった。
「ザヴィヤのほうも問題はなさそうね」
空中に魔力障壁の足場を作って立ちながら港の様子を窺う。すると陸地から魔術による炎や雷、氷などが放たれていてクラーケンの身体を徐々に傷つけていた。さらには弓兵による攻撃も魔術を刻んだ矢を放ち、着弾と同時に炸裂させることで有効打を与えている。
「とは言え……どちらか片方でも致命傷を負えば本気になるだろうし、反撃に転じるタイミングが難しいわね…っと」
二頭のクラーケンは未だ全力ではない。それは多少傷ついていても恐怖を与えるほどではないからだ。だがどちらか一方でも恐怖を感じればもう一方も本気になるだろう。
そして海の遠くには巡洋艦が姿を現していた。砲門はクラーケンを捉えていて、いつでも砲撃を行えるようになっている。
「軍団魔術用意!術式は炎熱系火炎弾。全員で圧縮して放つ。収束開始」
ザヴィヤの新しい指示が飛んだ。半数の魔術士たちは魔術による攻撃を止めて巨大な術式の構築に入る。だがクラーケンも魔力の高まりに危険を感じたのか触手の全てを港に向けようとして……
遠距離からの砲撃がクラーケンに命中する。遠くで構えていた巡洋艦二隻、計八門からなる砲弾はクラーケンの足を止めることに成功した。そして、その一瞬の隙をついてザヴィヤたちによる軍団魔術が放たれた。巨大な青い炎がクラーケンを襲い掛かり、身体全体を焼いて、大きな爆発が起こった。
「あれを受けても倒すには至らないのね……さて、こちらも参りましょうか」
目の前にいるタコ型クラーケンは、番のイカ型クラーケンを見て怒りの様子を見せていた。
このままでは二頭を分けた意味がなくなる。私はそう感じて目の前のクラーケンに向かって急接近する。私を捕らえようとする触手を避けて魔力を纏わせた辰月を一閃し、触手を斬り飛ばした。
「っ!?」
クラーケンは触手を斬られたことに驚いたらしく海中に沈もうとする。その際に海に隠れていた触手の一本が、私の足へと迫ってきた。跳躍中の私は避けることもできずに足を絡め取られ、クラーケンはそのまま海中へと引きずりこもうとする。
私は海中に沈む前、咄嗟に息を吸う。これで多少は海中でも動けるはずだが、足を掴まれたままで身動きが取れないでいた。
このままでは魔力が尽きる前に窒息するかクラーケンの攻撃で力尽きる。そう感じた私は夜月を抜刀し、魔力を纏わせて触手を斬って拘束から脱出した。
クラーケンは海中だと素早く動けるようで私を逃がさないように触手を放ってくる。
「ごほっ…!?」
触手に叩きつけられた場所は、魔力を纏うことで防いだ。痛みはあるものの無傷に抑えている。それでも余りの衝撃に吸い込んだ息が吐き出されてしまう。
水中では足場があっても素早く動くことは無理だ。水魔術を行使すれば動けるかもしれないが魔力消費が大きく論外。何よりあと少ししか息が持たないだろう。迷っている時間はなさそうだった。
私は残り半分ほどの魔力を使って雷系の魔術を行使した。不安定な海中では複雑な術式を構築することが難しいため、術式を挟まなくても行使できる雷撃の放出を選択した。放った雷撃は、数本の槍となって海中を伝わりクラーケンの身体を撃ち砕く。この攻撃にはクラーケンにも大打撃だったようで動きが止まり怯んだようだった。
私はその隙に夜月の柄に手を添える。魔力を喰わせて夜月の力を解放させると、そのまま抜刀し縦に振るった。黒い力を帯びた夜月は巨大な斬撃となって、私と海上までの間を斬り裂く。直線状にいたクラーケンも咄嗟に避けたようだが、大きな裂傷を与えて海の中に血を拭き出した。
けれど、この斬撃には攻撃以上の意味がある。
「はぁっ…はぁ…これで終わりよ!」
斬った海は夜月が纏っていた黒い力に押されて、少しの間割れたままになっている。つまり私の位置から海上までが渓谷のようになっているわけだ。今の状態であれば息を吸うこともできるし魔術障壁を足場に跳躍することもできる。
私は海が元に戻るまでの隙をついて、海上に向けて一気に跳躍した。右手に辰月を、左手に夜月を逆手に持ち、両方の刀に残りの魔力を纏わせて力を解放する。そしてクラーケンとすれ違いざまに二本の刀で連続して斬り刻んだ。
空中に出て海に目を向けるとクラーケンの触手は両断され、致命傷を受けたようだった。海上に浮かび上がったクラーケンが動かないこと確認して、そのまま港へ跳躍し陸へ戻る。
「陛下!お怪我はありませんか!?」
「問題ないわ。それよりそっちの戦況は!?」
ほとんどの魔力を使い果たしたことで疲労は大きいが、まだ動けないほどではない。それよりも港での戦いがどうなったか尋ねるとザヴィヤは「こちらもなんとかなりました」と答えた。
どうやら高威力の魔術と魔槍の投擲で身体ごと吹き飛ばしたらしい。港に設置されている迎撃用の装備も使用したようで、地の利を生かした火力戦になったようだ。
「クラーケンの動きが想定よりも緩やかだったことが幸いでした。もしかしたら浅瀬だと動きが鈍るのかも知れませんね」
「かもしれないわね。海中に沈んだ後のほうが動きが早かったし」
クラーケンの攻撃によって港の壁は所々壊れているが、街の中に被害はない。領軍も怪我止まりで死者は出なかった。結果としては上々だろう。
「スピカの方はどうかしらね……」
対クラーケンの防衛戦は幕を閉じた。後はスピカを狙うブラック・ヘロンとの問題だけだ。
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