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第8章 女王の日常と南の国々
25 地中貫通爆弾
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三隻の飛空船は敵陣の上空へ到着した。
上空から見た印象は、ただの集落といった感じだ。
簡易的な柵に囲われていて見張り用の矢倉がいくつかある程度のつくり。木造のちょっとした家のような建物はあっても半分壊れていて使えそうにもない。
地下へ入っていく報告がなければ、ただの廃墟だと思って見逃してしまうだろう。
「我々はエスペルト王国の空軍である。直ちに投降せよ。さすれば身の安全は保障する。とはいえ決断する時間が必要であろうから半刻は待つ。もしも半刻以内に応じない場合や抵抗の意思ありと判断した場合は、爆撃によって施設ごと破壊しナイトメア軍の殲滅作戦に移行する!」
エクハルトの声が船の魔術具を通して地上へと拡散されていく。
このまま降伏勧告を行って相手が投降しなければ、爆撃による施設の破壊と殲滅を行う予定だ。
もしも投降に応じるのであれば捕虜として収容し施設の探索を行うことになる。
けれど半刻たっても動きを見せない。
投降どころか抵抗する素振りもなかった。
「エクハルト、定刻となっても動きを見せない以上、投降勧告に応じないと判断するわ。攻撃を」
「かしこまりました陛下。全艦バンカーバスター投下準備!船の高度を上昇」
三隻の飛空船は、高度を上げる。
両舷の底にある射出口。
そこにバンカーバスターが装填された。
そして
「攻撃はじめ!」
エクハルトの合図で攻撃が始まった。
装填されていたバンカーバスターを固定していた物が外れたことで、自由落下を始める。
バンカーバスターの原理自体はこの世界でも変わらない。
しかし装填されているのは火薬ではなくて魔力と術式だ。
重さが重要なこの爆弾は体積が大きくなる関係上、魔術との相性がとても良い。
バンカーバスターは投下されると、重力によって加速、地面に激突する。そしてその速度と重量を持って地中へと打ち込まれた。
次いで地中で途轍もない爆発が発生、衝撃と轟音が地中から辺り一帯を響かせていく。
他の船からも続けて投下された後には、地上にあった建築物が既に跡形もなく粉砕されていた。地面には大穴がいくつも開き、爆破された跡が生々しく残っている。
「計10発の爆撃ですが…反応がありませんね」
爆撃は成功している。地面に開いている大穴からは、所々地下にあったであろう空間が見えることからもし施設があったことも間違いないはずである。
地下に入っていくのは斥候部隊が確認済み。
地下にいるであろう人が本当に居ないとすれば、どこかに隠し通路があるのかも知れない。
「仕方ない…イリーナとシクスタスはわたくしに続きなさい。一度地上に降りて構造を確認するわ。船はこのままの高度を維持、上空からの偵察をお願い」
「「「了解」」」
三人して艦橋を後にする。
甲板に出ると凍えるような空気に包まれた。
元々寒い季節と場所ではあるが、高度が高くなったことで想像以上に寒く感じる。
「っ…!着地はイリーナに任せるわよ。準備は良い?」
高いところから飛び降りることは、今までも何回かあった。しかし雲よりも高い位置から飛び降りるのは初めてだ。思わず後ずさりそうになる。
「ええ、任せて」
「いつでもいいですよ」
三人して空へと踏み出して、一斉に飛び降りる。
短い時間だが薄っすら出ている雲を突き抜けて、重力によって加速していく。
冷たい空気に晒されて落ちながらも、ある程度の高さになった時点でイリーナが魔術を行使した。
「重力逓減と風による減速よ」
降下速度が徐々に遅くなり地上まで一定の距離になる。同時にイリーナが魔術を解除した。
私たちは地面に降り立つ。
念のため周囲の気配を探るが気配を全く感じない。
「これは妙ね…人が居た形跡はある。けれど人影がないわ」
バンカーバスターは高火力ではあるが、地中を貫通する以外は普通の爆弾だ。たとえまともに命中したとしても跡形もなく消し飛ばすまでは行かない。
だというのに影すらないというのは、ありえないだろう。
「地下に撤退したあと、どこかに逃げた可能性もありそうですが…腑に落ちないですね」
「都市の地下ならともかく平野の地下に道を作っても魔物に壊される可能性があるわ…リスクを覚悟で掘っていたのかしら?」
シクスタスとイリーナも怪訝な表情で周りを見ていた。
陣地の跡地を地道に探索していく。
地上に何もないことを確認した後、爆撃によって生じた穴に飛び込む。穴の中から繋がっている崩れかけている地下空間に入った。
イリーナは「明かりも必要でしょうし、わたくしが先頭を歩くわ」と言って、近くに魔力による光を浮遊させる。
光によって地下空間が照らされていく。
「なにこれ!?」
地下空間に広がっている光景を見た私は、思わず声に出してしまった。
目の前にはたくさんの人々が着ていたであろう軽鎧や服、武具が転がっている。
肝心の中身が見当たらない分、不気味な印象を受けた。
「逃亡のために脱いだ?けれど…もしそうだとしても服まで脱ぐ意味はないわね…ん?」
小さな揺れが足元から伝わっている。
爆撃による影響で崩落しかけているのかと、いつでも防御できる体制をとろうとして
「崩れた場合は直ぐに地上へ退避を!?」
今まで感じたことのない揺れが足元から駆け巡る。
思わず頭上を打ち砕いて地上へ戻ろうとした瞬間…
私たちは巨大な魔力の柱に包みこまれた。
上空から見た印象は、ただの集落といった感じだ。
簡易的な柵に囲われていて見張り用の矢倉がいくつかある程度のつくり。木造のちょっとした家のような建物はあっても半分壊れていて使えそうにもない。
地下へ入っていく報告がなければ、ただの廃墟だと思って見逃してしまうだろう。
「我々はエスペルト王国の空軍である。直ちに投降せよ。さすれば身の安全は保障する。とはいえ決断する時間が必要であろうから半刻は待つ。もしも半刻以内に応じない場合や抵抗の意思ありと判断した場合は、爆撃によって施設ごと破壊しナイトメア軍の殲滅作戦に移行する!」
エクハルトの声が船の魔術具を通して地上へと拡散されていく。
このまま降伏勧告を行って相手が投降しなければ、爆撃による施設の破壊と殲滅を行う予定だ。
もしも投降に応じるのであれば捕虜として収容し施設の探索を行うことになる。
けれど半刻たっても動きを見せない。
投降どころか抵抗する素振りもなかった。
「エクハルト、定刻となっても動きを見せない以上、投降勧告に応じないと判断するわ。攻撃を」
「かしこまりました陛下。全艦バンカーバスター投下準備!船の高度を上昇」
三隻の飛空船は、高度を上げる。
両舷の底にある射出口。
そこにバンカーバスターが装填された。
そして
「攻撃はじめ!」
エクハルトの合図で攻撃が始まった。
装填されていたバンカーバスターを固定していた物が外れたことで、自由落下を始める。
バンカーバスターの原理自体はこの世界でも変わらない。
しかし装填されているのは火薬ではなくて魔力と術式だ。
重さが重要なこの爆弾は体積が大きくなる関係上、魔術との相性がとても良い。
バンカーバスターは投下されると、重力によって加速、地面に激突する。そしてその速度と重量を持って地中へと打ち込まれた。
次いで地中で途轍もない爆発が発生、衝撃と轟音が地中から辺り一帯を響かせていく。
他の船からも続けて投下された後には、地上にあった建築物が既に跡形もなく粉砕されていた。地面には大穴がいくつも開き、爆破された跡が生々しく残っている。
「計10発の爆撃ですが…反応がありませんね」
爆撃は成功している。地面に開いている大穴からは、所々地下にあったであろう空間が見えることからもし施設があったことも間違いないはずである。
地下に入っていくのは斥候部隊が確認済み。
地下にいるであろう人が本当に居ないとすれば、どこかに隠し通路があるのかも知れない。
「仕方ない…イリーナとシクスタスはわたくしに続きなさい。一度地上に降りて構造を確認するわ。船はこのままの高度を維持、上空からの偵察をお願い」
「「「了解」」」
三人して艦橋を後にする。
甲板に出ると凍えるような空気に包まれた。
元々寒い季節と場所ではあるが、高度が高くなったことで想像以上に寒く感じる。
「っ…!着地はイリーナに任せるわよ。準備は良い?」
高いところから飛び降りることは、今までも何回かあった。しかし雲よりも高い位置から飛び降りるのは初めてだ。思わず後ずさりそうになる。
「ええ、任せて」
「いつでもいいですよ」
三人して空へと踏み出して、一斉に飛び降りる。
短い時間だが薄っすら出ている雲を突き抜けて、重力によって加速していく。
冷たい空気に晒されて落ちながらも、ある程度の高さになった時点でイリーナが魔術を行使した。
「重力逓減と風による減速よ」
降下速度が徐々に遅くなり地上まで一定の距離になる。同時にイリーナが魔術を解除した。
私たちは地面に降り立つ。
念のため周囲の気配を探るが気配を全く感じない。
「これは妙ね…人が居た形跡はある。けれど人影がないわ」
バンカーバスターは高火力ではあるが、地中を貫通する以外は普通の爆弾だ。たとえまともに命中したとしても跡形もなく消し飛ばすまでは行かない。
だというのに影すらないというのは、ありえないだろう。
「地下に撤退したあと、どこかに逃げた可能性もありそうですが…腑に落ちないですね」
「都市の地下ならともかく平野の地下に道を作っても魔物に壊される可能性があるわ…リスクを覚悟で掘っていたのかしら?」
シクスタスとイリーナも怪訝な表情で周りを見ていた。
陣地の跡地を地道に探索していく。
地上に何もないことを確認した後、爆撃によって生じた穴に飛び込む。穴の中から繋がっている崩れかけている地下空間に入った。
イリーナは「明かりも必要でしょうし、わたくしが先頭を歩くわ」と言って、近くに魔力による光を浮遊させる。
光によって地下空間が照らされていく。
「なにこれ!?」
地下空間に広がっている光景を見た私は、思わず声に出してしまった。
目の前にはたくさんの人々が着ていたであろう軽鎧や服、武具が転がっている。
肝心の中身が見当たらない分、不気味な印象を受けた。
「逃亡のために脱いだ?けれど…もしそうだとしても服まで脱ぐ意味はないわね…ん?」
小さな揺れが足元から伝わっている。
爆撃による影響で崩落しかけているのかと、いつでも防御できる体制をとろうとして
「崩れた場合は直ぐに地上へ退避を!?」
今まで感じたことのない揺れが足元から駆け巡る。
思わず頭上を打ち砕いて地上へ戻ろうとした瞬間…
私たちは巨大な魔力の柱に包みこまれた。
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