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第8章 女王の日常と南の国々
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「飛龍の相手もうまく言っているみたいね」
「そうだな。後は敵の航空戦力が全滅するまでこちらを守りきるわけだが……なかなか苦労しそうだ、な!」
上空では飛龍が攻撃を受けて堕ちていくのが見えている。しかし飛龍自体は100はくだらないため、全滅するには時間がかかるだろう。
それに対して地上でも総力戦が繰り広げられている状態だ。攻めてくる相手を迎撃する関係上こちらが有利となるが、数的不利は否めない。
このまま長時間戦い続ければ魔力か体力かどちらかが先に尽きるだろう。
「概算ですが敵地上部隊の総数割り出せました…およそ10万です」
騎士隊2千に対して10万。戦力差にしておよそ50倍。
仮に魔術士隊と弓兵隊を加えても25倍差ということになる。
私は一つ手を打つことにした。
「アドリアス…聖槍の力を使いましょう。消耗がはげしいから短い時間で良い。大打撃を与えておきたいわ」
「了解した。では初披露と行こうか」
アドリアスはそう言葉にして聖剣を納める。代わりに手に取ったのは聖槍ファスケストだった。
「ファスケスト全権開放…同調開始」
槍はアドリアスの声に反応して輝く輪が広がっていく。
精霊の加護を宿す聖槍ファスケスト。
その能力は味方同士での同調と共鳴。
一定の範囲内の味方の魔力を繋いで同調させる。そして繋がった魔力を共鳴させることで魔力全般を大幅に向上させる。
つまりは個人の魔力の出力や演算能力を複数人で共有するということ。原理的には軍団魔術に近いが、各々が行使する身体強化や魔術にも反映される点が大きく異なる。
同調している誰かが魔力を使えば、残りの全員も無意識に魔力を使うため全員が徐々に消耗していくが、消耗に対する効果が大きく向上するだろう。
「長い間ファスケストの能力を使い続けることはできない。だから……」
「ええ。航空戦力の相手は弓兵隊と魔術士隊がなんとかしてくれると信じてる。だからその間だけでも、持ちこたえることができれば問題ないわ!」
地上戦だけになれば地形を最大限に生かすことができる。
この渓谷という場所は、前から攻めるしかない。だからこそ守るこちらが有利だ。
アドリアスが同調を使用したことで、騎士たちの動きが良くなる。
各々が行使している身体強化の強度が増すだけでなく同調中は魔力通信が可能なため連携もとりやすいからだ。
魔術具の通信と違い、心の中で魔力に音を乗せることで届く念話のようなもの。声というものを出さなくても念じた先の相手に届くため、相手に察知されないという利点もあった。
押されつつあった戦線は、徐々に盛り返しを見せてナイトメア軍を押し返す形になっていく。
襲撃があってからしばらく経ち、空が暁の模様を見せる頃。
ついに最後の飛龍が堕ちる。
「全軍後退!敵を牽制しつつ指定区域まで下がるわよ!」
「同調解除…全軍反転!後衛部隊は撤退の支援に入れ!」
敵の航空部隊を殲滅できた。
ようやくこの戦いに転機が訪れる。
前線で戦っていた部隊を後退させて、後方にいた部隊が前衛へ入れ替える。
魔術士隊と弓兵隊の準備が整うまでの間、徐々に後退するつもりだ。
「デトローク。あなたには後で高火力の一撃を期待したいから、一度下がって良いわよ」
「了解した。一度下がらせてもらう」
「アドリアスも消耗が激しいでしょう?一度下がって。シリウス、アルキオネは前線の支援を!」
「「「了解」」」
私とアドリアスも下がって、シリウスとアルキオネが前線を支援する。
遅滞戦闘といわれる戦術。
戦闘と後退を繰り返し敵を牽制しながらも確実に後退していく。
敵も追撃してくるが最初に起こした落石の影響で幅が狭まっている。
当然敵部隊も横幅が縮んで縦に長くなっていた。
何度目かの後退をした直後、別動隊として動いていた魔術士隊と弓兵隊から準備完了の通信が入る。
「後退!」
アドリアスの合図で自軍は後退。
そして目的の地点までたどり着いた。
「全軍反転攻勢!総攻撃放て!」
私は通信で全隊長に指示を伝える。
次の瞬間。
敵軍近くの渓谷の壁側。崩れ落ちていた瓦礫が一斉に爆発した。
爆発による衝撃波が敵を襲い、瓦礫の破片が追撃となる。
「全魔術士隊…初級攻撃魔術一斉射。撃て!」
イリーナの声で渓谷の壁の中にいた魔術士隊が一斉に魔術を放つ。
そして構えていたのは他にも居て。
「弓兵隊…矢は即時爆破。曲射にて中央から後方を狙え…放て!」
シクスタスの合図で後方から一斉に矢が放たれた。
弧を描くようにして矢の群れが敵軍の頭から降り注ぐ。
降り注いだ矢は、衝撃を受けた瞬間一斉に爆発した。
騎士隊も他の隊に負けず劣らず反撃を開始して。
「皆下がっていろ。我は雷なり…」
デトロークが魔剣を構えたまま小さな声で呟くと雰囲気が変わる。
膨大な雷を身に纏っているのは同じだが、いつもよりも動きが洗練されているように感じた。
魔力の剣を振りかぶって雷の斬撃を放ち敵軍を吹き飛ばす。
続いてアドリアスも聖剣グラディウスの聖属性の斬撃を放ち、シリウスとアルキオネも暴風の槍と斬撃をそれぞれ放つ。
敵から見て前方からは騎士隊の攻撃と雷撃と暴風が襲い。
両脇からは魔術士隊からの魔術攻撃が襲う。
上空からは矢が降り注ぎ当たった瞬間爆破される。運よく矢が当たらなくても地面に当たった刺さった瞬間、足元から爆破された。
前方、左右、地面と空。
後方以外のあらゆる方面からの攻撃。
ここに包囲殲滅陣の完成したのだった。
「そうだな。後は敵の航空戦力が全滅するまでこちらを守りきるわけだが……なかなか苦労しそうだ、な!」
上空では飛龍が攻撃を受けて堕ちていくのが見えている。しかし飛龍自体は100はくだらないため、全滅するには時間がかかるだろう。
それに対して地上でも総力戦が繰り広げられている状態だ。攻めてくる相手を迎撃する関係上こちらが有利となるが、数的不利は否めない。
このまま長時間戦い続ければ魔力か体力かどちらかが先に尽きるだろう。
「概算ですが敵地上部隊の総数割り出せました…およそ10万です」
騎士隊2千に対して10万。戦力差にしておよそ50倍。
仮に魔術士隊と弓兵隊を加えても25倍差ということになる。
私は一つ手を打つことにした。
「アドリアス…聖槍の力を使いましょう。消耗がはげしいから短い時間で良い。大打撃を与えておきたいわ」
「了解した。では初披露と行こうか」
アドリアスはそう言葉にして聖剣を納める。代わりに手に取ったのは聖槍ファスケストだった。
「ファスケスト全権開放…同調開始」
槍はアドリアスの声に反応して輝く輪が広がっていく。
精霊の加護を宿す聖槍ファスケスト。
その能力は味方同士での同調と共鳴。
一定の範囲内の味方の魔力を繋いで同調させる。そして繋がった魔力を共鳴させることで魔力全般を大幅に向上させる。
つまりは個人の魔力の出力や演算能力を複数人で共有するということ。原理的には軍団魔術に近いが、各々が行使する身体強化や魔術にも反映される点が大きく異なる。
同調している誰かが魔力を使えば、残りの全員も無意識に魔力を使うため全員が徐々に消耗していくが、消耗に対する効果が大きく向上するだろう。
「長い間ファスケストの能力を使い続けることはできない。だから……」
「ええ。航空戦力の相手は弓兵隊と魔術士隊がなんとかしてくれると信じてる。だからその間だけでも、持ちこたえることができれば問題ないわ!」
地上戦だけになれば地形を最大限に生かすことができる。
この渓谷という場所は、前から攻めるしかない。だからこそ守るこちらが有利だ。
アドリアスが同調を使用したことで、騎士たちの動きが良くなる。
各々が行使している身体強化の強度が増すだけでなく同調中は魔力通信が可能なため連携もとりやすいからだ。
魔術具の通信と違い、心の中で魔力に音を乗せることで届く念話のようなもの。声というものを出さなくても念じた先の相手に届くため、相手に察知されないという利点もあった。
押されつつあった戦線は、徐々に盛り返しを見せてナイトメア軍を押し返す形になっていく。
襲撃があってからしばらく経ち、空が暁の模様を見せる頃。
ついに最後の飛龍が堕ちる。
「全軍後退!敵を牽制しつつ指定区域まで下がるわよ!」
「同調解除…全軍反転!後衛部隊は撤退の支援に入れ!」
敵の航空部隊を殲滅できた。
ようやくこの戦いに転機が訪れる。
前線で戦っていた部隊を後退させて、後方にいた部隊が前衛へ入れ替える。
魔術士隊と弓兵隊の準備が整うまでの間、徐々に後退するつもりだ。
「デトローク。あなたには後で高火力の一撃を期待したいから、一度下がって良いわよ」
「了解した。一度下がらせてもらう」
「アドリアスも消耗が激しいでしょう?一度下がって。シリウス、アルキオネは前線の支援を!」
「「「了解」」」
私とアドリアスも下がって、シリウスとアルキオネが前線を支援する。
遅滞戦闘といわれる戦術。
戦闘と後退を繰り返し敵を牽制しながらも確実に後退していく。
敵も追撃してくるが最初に起こした落石の影響で幅が狭まっている。
当然敵部隊も横幅が縮んで縦に長くなっていた。
何度目かの後退をした直後、別動隊として動いていた魔術士隊と弓兵隊から準備完了の通信が入る。
「後退!」
アドリアスの合図で自軍は後退。
そして目的の地点までたどり着いた。
「全軍反転攻勢!総攻撃放て!」
私は通信で全隊長に指示を伝える。
次の瞬間。
敵軍近くの渓谷の壁側。崩れ落ちていた瓦礫が一斉に爆発した。
爆発による衝撃波が敵を襲い、瓦礫の破片が追撃となる。
「全魔術士隊…初級攻撃魔術一斉射。撃て!」
イリーナの声で渓谷の壁の中にいた魔術士隊が一斉に魔術を放つ。
そして構えていたのは他にも居て。
「弓兵隊…矢は即時爆破。曲射にて中央から後方を狙え…放て!」
シクスタスの合図で後方から一斉に矢が放たれた。
弧を描くようにして矢の群れが敵軍の頭から降り注ぐ。
降り注いだ矢は、衝撃を受けた瞬間一斉に爆発した。
騎士隊も他の隊に負けず劣らず反撃を開始して。
「皆下がっていろ。我は雷なり…」
デトロークが魔剣を構えたまま小さな声で呟くと雰囲気が変わる。
膨大な雷を身に纏っているのは同じだが、いつもよりも動きが洗練されているように感じた。
魔力の剣を振りかぶって雷の斬撃を放ち敵軍を吹き飛ばす。
続いてアドリアスも聖剣グラディウスの聖属性の斬撃を放ち、シリウスとアルキオネも暴風の槍と斬撃をそれぞれ放つ。
敵から見て前方からは騎士隊の攻撃と雷撃と暴風が襲い。
両脇からは魔術士隊からの魔術攻撃が襲う。
上空からは矢が降り注ぎ当たった瞬間爆破される。運よく矢が当たらなくても地面に当たった刺さった瞬間、足元から爆破された。
前方、左右、地面と空。
後方以外のあらゆる方面からの攻撃。
ここに包囲殲滅陣の完成したのだった。
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