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第6章 エスペルト王国の革命
15 親子対決
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アドリアスとドミニクは共に槍を交える。何合か打ち合った後、ラティアーナたちが先に行ったことを確認すると一度距離をとった。
「父上は、初めからこうするつもりだったのですか?」
アドリアスはドミニクに問いかける。
ドミニクの強さであればアドリアスと戦いながらでも、他の人たちを通さない立ち回りができると踏んでいるからだ。しかし、ドミニクは買い被り過ぎだと苦笑した。
「アドリアスのことをそこまで甘くは見ていないよ。それに先程はラティアーナ王女殿下とイリーナ嬢もいた…誰も通さないように全員を相手にすれば、その時点で負けるだろう。」
ドミニクは王立学園に1年通っている間に、アドリアスが成長しているのを感じていた。元々、同年代の中でも頭1つ抜けていて、実戦経験を重ねることでエスペルト王国内でも上位の実力者に匹敵する。
そこに同年代で最上位の実力者であるラティアーナとイリーナと共にする時間が増えて、スピカと恋仲になり騎士や貴族としてだけでなく、いずれ家族としても守ると言うことを意識した。
そのことが、アドリアスの今に繋がっているのだろう。
「まぁそうですね…悔しいですが魔術ではイリーナに勝てませんし、総合的な強さではラティアーナに勝てないと思います。貴族として、騎士として、ラティアーナのことを守らなければいけないのに…だからこそ、俺は、ここで父上を倒して前に進みます!」
アドリアスは、ドミニクと自身に言い聞かせるように言葉を発する。
「ならば全力で来るといい…王の剣として、こう言ったやり方しか私はできない。だからこそ…超えて行きなさい。」
そこからは無言で向き合う時間が続き、唐突にけれども同時に、構えて踏み込み槍を突き出す。
身体強化によって、威力を増した槍同士がぶつかり合うことで、甲高い音と衝撃が立て続けに起こった。
アドリアスは流れるように槍の連続攻撃を仕掛けるが、その全てが避けられていなされる。しかし、ドミニクの攻撃も同じように避けて弾いているため2人とも無傷だった。
アドリアスは全体重を乗せて槍を回転させるように叩きつける。これにはドミニクも受け止めきれずにそのまま後方に流された。
「やはり単純な槍術では適いませんね…魔槍アルカナストの力も使わせていただきます。」
アドリアスはそう口にすると槍に魔力を込めていく。
魔槍アルカナストの能力は大きく2つ。担い手の身体能力向上と攻撃時の衝撃増幅だ。
魔槍による身体強化も重なることで、アドリアスの身体能力は一時的にドミニクを超える。次第にドミニクは槍の防御が追いつかなくなり手傷を負っていった。
それでも、長年の経験からか戦闘に支障をきたす傷は避けているため決め手にはならない。
「攻撃力は上がったが…その分隙が増えているぞ!」
ドミニクはアドリアスの攻撃をかするかどうかの距離でかわした後、無手だった左手で殴りつけた。アドリアスは回避することを諦めて、自ら後ろに飛ぶことでダメージを最小に抑える。
(あの猛攻の中で反撃してくるとは、流石父上だな。しかし父上はどうやって攻撃に反応しているんだ…?)
アドリアスは攻撃が対処される理由を考えていた。
目だけでなく音や気配といったものを身体全体で感じることは既にやっている。近くの魔力の流れや空気の流れも感じているし、相手の動きから次の動きを予測することもしている。
それでも身体能力が同じであればドミニクのほうが上手だった。
アドリアスが強敵として真っ先に思い浮かべるのは、グランバルド帝国との戦争でラティアーナと共に戦ったデトローク将軍だ。
ただし、あの時は魔剣による膨大な雷属性の魔力に苦戦したが、今回ドミニクは膨大な魔力を纏っているわけではない。
(かつてデトロークが行いラティアーナも生み出した戦法は、魔力を循環させて攻撃や防御といったものを底上げするもの。だが父上のそれは…魔力で攻撃を受けるのではなく、どうにかして攻撃を避けるもの。ある意味で魔力の循環と対極になると思う…)
アドリアスは策を考えながらも槍を振るっていくが、有効打が入らず逆に反撃を受ける。
しかも時間が経つに連れて反撃される頻度が増えてきた。
(相手の動きを読む…いや、俺にはできない。重心などからある程度予測するならまだしも、ラティアーナのように相手の思考まで読むような…擬似的な未来視に近いものは不可能だ。考えても分からないなら……いっそのこと!)
アドリアスは考えるのをやめた。心を落ち着かせ無心になる。相手の動きを予測するのではなく、肌で感じることにした。
雰囲気がかわったアドリアスに対してドミニクは怪訝な表情を浮かべながらも槍で攻撃を加えた。
「なっ!?」
アドリアスは槍に反応すると即座に避けながら蹴りを繰り出す。
そして……そのまま槍を連続して突き刺していく。
「これはっ…!?」
ドミニクも反撃を試みるが、アドリアスは反撃を寸でのところで避けて更なる攻撃へとつなげる。
2人の長い攻防のやり取りが続いていく。
しかし、魔槍による身体強化も行っているアドリアスのほうが有利で、ついにドミニクに有効打を与えた。一瞬の隙をついて槍の叩きつけが直撃し、ドミニクを吹き飛ばす。
「がっ…!」
お腹にまともに打撃を受け内臓までダメージを負ったらしく、起き上がろうとして時に咳き込んで口から血が毀れる。
「…いい一撃だった。私の負けだ。」
ドミニクはそのまま槍を手放して降参する。アドリアスは地面に座ったままのドミニクに近付くと
「父上は…どうして剣を使わなかったのですか?」
疑問に思っていたことを問いかける。
「私はここに元帥としているからだ。この聖槍ファスケストは、初代当主が初代国王から軍の頂点に立つものとしていただいた槍。公爵家に伝わる剣はこのような戦いでは抜かんよ。」
ドミニクは嘲笑混じりの言葉を吐いた。
「わかっていたのだろう?私がここにいる意味を。アドリアスは私のことを不器用と思うかも知れないが、これが私の選んだ道…エスペルト王国のために最善だと思った選択だ。だから…この結果に満足しているさ。お前は次期公爵家に相応しいと思う。これを持っていくといい。」
そう言ってドミニクはアドリアスに剣を渡した。
「これは!?…聖剣グラディウス、良いのですか?」
「渡すのが少し早くなっただけだ。私の負けを大々的に広めて王国軍の指揮をアドリアスの下に置く。いいな?」
アドリアスは了承すると、王国軍用の通信用魔術を借りるのだった。
一方で先に進んだラティアーナたちは、近衛騎士団に囲まれていた。
「あなたたちは…主に仕える近衛騎士でしょう!?どうしてわたくしたちに敵対するのよ!」
ローザリンデが騎士たちに向かって叫んだ。この場を囲む騎士たちは、近衛騎士団に所属する半数以上の騎士になる。なかには、ローザリンデやリーファスの騎士団に所属する者もいた。
「既に騎士団はディートリヒ陛下の元、直属の部隊として編成されました。…最早、あなたたち元王族に仕えるわけではありません。」
「っ…!あなたたちは!」
ローザリンデが悔しそうな顔で騎士たちに詰め寄ろうとするが、私は肩に手をかけて止めた。
「騎士団総団長フランツ…あなたはお父様に仕えていた筆頭騎士のはず。お父様のことも裏切るのですか?」
「先に裏切ったのはグラビス様だ。賊に攻められた時に抵抗していれば…このような状況にならなかった。私にも守りたい家族がいます。そのためにも…罪を犯すわけには行かないのです。」
フランツを筆頭に騎士たちの決意は固いようだった。同時に理由についても納得する。
「ラティアーナはディートリヒのところに急ぎなさいよ。結局、新王になったディートリヒを討たないと戦いは終わらないわ。ラティアーナ1人ならなんとでもなるでしょう?」
イリーナは気安い雰囲気で提案する。それでもこの数となるとかなり厄介だろう。それは流石に辛いのでは、と声をかけようとした時
「私たちのことは心配せずにラティアーナ姉上の好きなようにしてください。イリーナ様だけでなくローザリンデ姉上や私も戦えます。」
「それに…ここの騎士たちがディートリヒについたのはお父様の…ひいてはわたくしたち王族の不甲斐なさが原因ですわ。責任はしっかりと取らせていただきますの。」
リーファスとローザリンデはここは大丈夫だ、という顔をして私に先に行くように勧めた。
「ここは任せるわよ…すぐに片付けてくるから!」
「任されたわ。…マギルス公爵家が王国の盾と言われる由縁を見せてあげるわ!」
イリーナはそう口にすると、魔法袋から盾を取り出した。その盾はマギルス家に代々伝わるもので、聖剣や聖槍同様に特級と呼ばれる武具になる。
イリーナは盾を地面につけると魔力を流して、私たちを囲むように防御結界を作った。そして、そのまま急速に広げていき騎士たちを結界に叩きつけて、吹き飛ばしていく。
「なっ…!盾の使い方じゃないだろう!?」
所々で悲鳴や抗議の声が聞こえるが、イリーナは「今のうちに…早く!」と私だけに聞こえる声で呟く。
私も「ありがとう。」と伝えると、身体強化をかけて体勢を崩している騎士たちの間を、一気に走り抜ける。
「させません!」
私に気づいたフランツが魔剣を抜くと同時に剣に炎が纏わせると、通さないとでも言うように斬りかかってくる。
私は辰月を抜いて魔力を纏わせて魔剣と切り結ぶ。
「なに!?」
フランツの魔剣に纏っていた炎が、辰月に触れたことで部分的に霧散した。フランツが驚いた隙に跳躍して、騎士たちを飛び越えるとさらに奥に進む。
フランツも追おうとするが、リーファスの放った魔術を避けたことで追う機会を失う。
戦いの気配を背中に感じながらディートリヒの元へ急ぐのだった。
「父上は、初めからこうするつもりだったのですか?」
アドリアスはドミニクに問いかける。
ドミニクの強さであればアドリアスと戦いながらでも、他の人たちを通さない立ち回りができると踏んでいるからだ。しかし、ドミニクは買い被り過ぎだと苦笑した。
「アドリアスのことをそこまで甘くは見ていないよ。それに先程はラティアーナ王女殿下とイリーナ嬢もいた…誰も通さないように全員を相手にすれば、その時点で負けるだろう。」
ドミニクは王立学園に1年通っている間に、アドリアスが成長しているのを感じていた。元々、同年代の中でも頭1つ抜けていて、実戦経験を重ねることでエスペルト王国内でも上位の実力者に匹敵する。
そこに同年代で最上位の実力者であるラティアーナとイリーナと共にする時間が増えて、スピカと恋仲になり騎士や貴族としてだけでなく、いずれ家族としても守ると言うことを意識した。
そのことが、アドリアスの今に繋がっているのだろう。
「まぁそうですね…悔しいですが魔術ではイリーナに勝てませんし、総合的な強さではラティアーナに勝てないと思います。貴族として、騎士として、ラティアーナのことを守らなければいけないのに…だからこそ、俺は、ここで父上を倒して前に進みます!」
アドリアスは、ドミニクと自身に言い聞かせるように言葉を発する。
「ならば全力で来るといい…王の剣として、こう言ったやり方しか私はできない。だからこそ…超えて行きなさい。」
そこからは無言で向き合う時間が続き、唐突にけれども同時に、構えて踏み込み槍を突き出す。
身体強化によって、威力を増した槍同士がぶつかり合うことで、甲高い音と衝撃が立て続けに起こった。
アドリアスは流れるように槍の連続攻撃を仕掛けるが、その全てが避けられていなされる。しかし、ドミニクの攻撃も同じように避けて弾いているため2人とも無傷だった。
アドリアスは全体重を乗せて槍を回転させるように叩きつける。これにはドミニクも受け止めきれずにそのまま後方に流された。
「やはり単純な槍術では適いませんね…魔槍アルカナストの力も使わせていただきます。」
アドリアスはそう口にすると槍に魔力を込めていく。
魔槍アルカナストの能力は大きく2つ。担い手の身体能力向上と攻撃時の衝撃増幅だ。
魔槍による身体強化も重なることで、アドリアスの身体能力は一時的にドミニクを超える。次第にドミニクは槍の防御が追いつかなくなり手傷を負っていった。
それでも、長年の経験からか戦闘に支障をきたす傷は避けているため決め手にはならない。
「攻撃力は上がったが…その分隙が増えているぞ!」
ドミニクはアドリアスの攻撃をかするかどうかの距離でかわした後、無手だった左手で殴りつけた。アドリアスは回避することを諦めて、自ら後ろに飛ぶことでダメージを最小に抑える。
(あの猛攻の中で反撃してくるとは、流石父上だな。しかし父上はどうやって攻撃に反応しているんだ…?)
アドリアスは攻撃が対処される理由を考えていた。
目だけでなく音や気配といったものを身体全体で感じることは既にやっている。近くの魔力の流れや空気の流れも感じているし、相手の動きから次の動きを予測することもしている。
それでも身体能力が同じであればドミニクのほうが上手だった。
アドリアスが強敵として真っ先に思い浮かべるのは、グランバルド帝国との戦争でラティアーナと共に戦ったデトローク将軍だ。
ただし、あの時は魔剣による膨大な雷属性の魔力に苦戦したが、今回ドミニクは膨大な魔力を纏っているわけではない。
(かつてデトロークが行いラティアーナも生み出した戦法は、魔力を循環させて攻撃や防御といったものを底上げするもの。だが父上のそれは…魔力で攻撃を受けるのではなく、どうにかして攻撃を避けるもの。ある意味で魔力の循環と対極になると思う…)
アドリアスは策を考えながらも槍を振るっていくが、有効打が入らず逆に反撃を受ける。
しかも時間が経つに連れて反撃される頻度が増えてきた。
(相手の動きを読む…いや、俺にはできない。重心などからある程度予測するならまだしも、ラティアーナのように相手の思考まで読むような…擬似的な未来視に近いものは不可能だ。考えても分からないなら……いっそのこと!)
アドリアスは考えるのをやめた。心を落ち着かせ無心になる。相手の動きを予測するのではなく、肌で感じることにした。
雰囲気がかわったアドリアスに対してドミニクは怪訝な表情を浮かべながらも槍で攻撃を加えた。
「なっ!?」
アドリアスは槍に反応すると即座に避けながら蹴りを繰り出す。
そして……そのまま槍を連続して突き刺していく。
「これはっ…!?」
ドミニクも反撃を試みるが、アドリアスは反撃を寸でのところで避けて更なる攻撃へとつなげる。
2人の長い攻防のやり取りが続いていく。
しかし、魔槍による身体強化も行っているアドリアスのほうが有利で、ついにドミニクに有効打を与えた。一瞬の隙をついて槍の叩きつけが直撃し、ドミニクを吹き飛ばす。
「がっ…!」
お腹にまともに打撃を受け内臓までダメージを負ったらしく、起き上がろうとして時に咳き込んで口から血が毀れる。
「…いい一撃だった。私の負けだ。」
ドミニクはそのまま槍を手放して降参する。アドリアスは地面に座ったままのドミニクに近付くと
「父上は…どうして剣を使わなかったのですか?」
疑問に思っていたことを問いかける。
「私はここに元帥としているからだ。この聖槍ファスケストは、初代当主が初代国王から軍の頂点に立つものとしていただいた槍。公爵家に伝わる剣はこのような戦いでは抜かんよ。」
ドミニクは嘲笑混じりの言葉を吐いた。
「わかっていたのだろう?私がここにいる意味を。アドリアスは私のことを不器用と思うかも知れないが、これが私の選んだ道…エスペルト王国のために最善だと思った選択だ。だから…この結果に満足しているさ。お前は次期公爵家に相応しいと思う。これを持っていくといい。」
そう言ってドミニクはアドリアスに剣を渡した。
「これは!?…聖剣グラディウス、良いのですか?」
「渡すのが少し早くなっただけだ。私の負けを大々的に広めて王国軍の指揮をアドリアスの下に置く。いいな?」
アドリアスは了承すると、王国軍用の通信用魔術を借りるのだった。
一方で先に進んだラティアーナたちは、近衛騎士団に囲まれていた。
「あなたたちは…主に仕える近衛騎士でしょう!?どうしてわたくしたちに敵対するのよ!」
ローザリンデが騎士たちに向かって叫んだ。この場を囲む騎士たちは、近衛騎士団に所属する半数以上の騎士になる。なかには、ローザリンデやリーファスの騎士団に所属する者もいた。
「既に騎士団はディートリヒ陛下の元、直属の部隊として編成されました。…最早、あなたたち元王族に仕えるわけではありません。」
「っ…!あなたたちは!」
ローザリンデが悔しそうな顔で騎士たちに詰め寄ろうとするが、私は肩に手をかけて止めた。
「騎士団総団長フランツ…あなたはお父様に仕えていた筆頭騎士のはず。お父様のことも裏切るのですか?」
「先に裏切ったのはグラビス様だ。賊に攻められた時に抵抗していれば…このような状況にならなかった。私にも守りたい家族がいます。そのためにも…罪を犯すわけには行かないのです。」
フランツを筆頭に騎士たちの決意は固いようだった。同時に理由についても納得する。
「ラティアーナはディートリヒのところに急ぎなさいよ。結局、新王になったディートリヒを討たないと戦いは終わらないわ。ラティアーナ1人ならなんとでもなるでしょう?」
イリーナは気安い雰囲気で提案する。それでもこの数となるとかなり厄介だろう。それは流石に辛いのでは、と声をかけようとした時
「私たちのことは心配せずにラティアーナ姉上の好きなようにしてください。イリーナ様だけでなくローザリンデ姉上や私も戦えます。」
「それに…ここの騎士たちがディートリヒについたのはお父様の…ひいてはわたくしたち王族の不甲斐なさが原因ですわ。責任はしっかりと取らせていただきますの。」
リーファスとローザリンデはここは大丈夫だ、という顔をして私に先に行くように勧めた。
「ここは任せるわよ…すぐに片付けてくるから!」
「任されたわ。…マギルス公爵家が王国の盾と言われる由縁を見せてあげるわ!」
イリーナはそう口にすると、魔法袋から盾を取り出した。その盾はマギルス家に代々伝わるもので、聖剣や聖槍同様に特級と呼ばれる武具になる。
イリーナは盾を地面につけると魔力を流して、私たちを囲むように防御結界を作った。そして、そのまま急速に広げていき騎士たちを結界に叩きつけて、吹き飛ばしていく。
「なっ…!盾の使い方じゃないだろう!?」
所々で悲鳴や抗議の声が聞こえるが、イリーナは「今のうちに…早く!」と私だけに聞こえる声で呟く。
私も「ありがとう。」と伝えると、身体強化をかけて体勢を崩している騎士たちの間を、一気に走り抜ける。
「させません!」
私に気づいたフランツが魔剣を抜くと同時に剣に炎が纏わせると、通さないとでも言うように斬りかかってくる。
私は辰月を抜いて魔力を纏わせて魔剣と切り結ぶ。
「なに!?」
フランツの魔剣に纏っていた炎が、辰月に触れたことで部分的に霧散した。フランツが驚いた隙に跳躍して、騎士たちを飛び越えるとさらに奥に進む。
フランツも追おうとするが、リーファスの放った魔術を避けたことで追う機会を失う。
戦いの気配を背中に感じながらディートリヒの元へ急ぐのだった。
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